谷 好通コラム

2009年01月22日(木曜日)

2118.ひそかなる出張の楽しみ

自分でスケジュールを組んでいて気が付かないのだけれど、
私は、週ごとに、外に出る週と、事務所にいる週を区別して作っているようだ。
今週は外に出る週。
木曜日である今日、もうすでに、東京、札幌、大阪、鹿児島と渡り歩いた。
その間に事務所でもずいぶん仕事をしているので、
出っ放しというわけでもない。
これで明日、鹿児島で一日仕事をしたあと、夜、事務所に戻って、土曜日はまた東京だ。
しかし出張先で泊まったのは札幌の千歳空港内のホテルと、
今日の鹿児島だけ。
どうやったらこんなスケジュールになるのか自分でも解らないが、
実に上手くできている。(自分で言うのも変だが)
そして移動中にもパソコンでコソコソと仕事をして
会議の打ち合わせ、給与チェック、稟議、膨大な報告、意見の交換などの社長業をする。

 

今でこそ各地に営業所も出来て、トレーニングセンターもあるので
営業のみんなも出張がほとんど少なくなったが、
かつての営業と、今でも本部長クラスは出張が多く、
「今日は、久しぶりに“家に泊まる”。」などという言い方を平気でするのは、
実はみっともない話で、
家庭をもかえりみない仕事人間、あるいは企業戦士という化石のような存在なのだ。
いや、みっともなくても、本人もそれで幸せなのだから
家族もきっと、幸せなのだと言い聞かせる。

 

こんな風に書くと過酷に仕事をやっていると思われるかもしれないが、そうでもない。
スケジューリングを上手くやると、
これくらいは本当にへっちゃらで、
上手く仕事と仕事をつなぎ、肉体的にはまったく苦痛ではない。
負け惜しみで言っているのでない。本当にそうなのだ。
おまけに、旅先では必ずと言っていいほど予期せぬ楽しみがある。

 

 

一昨日の札幌・千歳空港では華麗なるダンスを見た。
朝6時前、早朝の飛行機に乗るために早起きをしたら、
吹雪の中、誘導路あたりでしきりにライトが動いている。
ライトが列を成して円を描き、ダイスをしているように見えるのだ。
「なに、やってんだろ。」

 

 

徐々に夜が明けて、空が明るくなってくるとその正体が見えてくる。
早朝、朝一番発着の飛行機の為に、
何十台もの除雪車が列を作って、ぐるぐると回りながら“華麗に除雪”していたのだ。

 

 

こんな光景は、
真冬、夜にかけて雪が大量に降った時に、
空港内のホテルに泊まって、
しかも滑走路、誘導路が見える部屋で、
夜が明ける前に起きて、外をじっと見なければ経験できないことだ。
こんな光景を見た人間は、空港関係者以外にはほとんどいないだろう。
密なスケジュールをこなす出張者ならではの楽しみである。

 

 

昨日、雪を被った伊吹山。
名古屋から大阪への途中だ。
この辺は日本列島でも
日本海側と太平洋側が比較的平地で繋がっている唯一の場所であり、
雪雲の通り道なのか、いつも雪が降り、曇っている。
だから、意外とこんな風にスキッと伊吹山が見えることは少ない。

 

 

そして今朝、中部空港から鹿児島に飛ぶ空。
真っ白の雲の上に透き通った紺碧の空が広がる。
自動調整を自然に行ってしまう人間の眼には、空がこんなに暗くは見えないが、
光の量そのまま表現するカメラに撮ると、空はこんなに深い不思議な“碧”なのです。

 

 

今日は狙い通りであった。
朝、空が曇っていて、その雲が高くはなく、西に飛ぶ飛行機ならば、
飛行機の進行方向に座って右側、つまりAの逆の窓側の席に座れば、
「ブロッケンの輪」が見える確率が高い。

 

ブロッケンの輪とは、太陽の光と雲の間に飛行機が入って、
飛行機の影が雲に映り、影の周りに丸い虹の輪が出来る現象。
この写真は、一見、ただ白い雲が写っているだけに見えるが、
じっとしばらく見ていると、
真ん中のちょっと下あたりに、うっすらと虹の輪が見えませんか?
その真ん中に飛行機の影も。
少し離れて見ると見やすいかもしれません。

 

 

実際には上の写真の明るさに見えるのだが、
見やすいように露出を2ポイント下げて撮ると、虹の輪がはっきり分かるでしょ。

 

 

これは標準の焦点距離で、実際に目で見えるように撮った写真。
上の2枚の写真を見たあとなら、
この写真でも、ブロッケンの輪が見えるはずです。

 

 

こんな素敵なブロッケンの輪でも、
あの飛行機でそれを判り、楽しんだのは、多分私だけです。
こんなことも過密な出張を嬉々としてやれる元気の素になるのです。

 

鹿児島では、今年初めてのセミナー。
今年も、気合を入れてやらねばならない。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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