谷 好通コラム

2009年02月12日(木曜日)

2135.SONAX研究室撮影

今回のテレビコマーシャルは30秒で、
キーパーコーティングの信頼性と力強さを表現する。
オリバー カーンはドイツナショナルチームのゴールキーパーとしてだけでなく
前回のワールドカップでの活躍ぶりと共に
その力強さと人間味あふれるキャラクターが世界中のファンの心を掴んだ。
ドイツにおいては国民的英雄として神様的な存在らしい。
そんなオリバー カーンがキーパーのCMに出演してくれることになったのは、
詳しい経緯は知らないが、奇跡的な出来事と聞いた。

 

加えて、「信頼性」を強調するために、
ダイヤモンドキーパーを共に開発し、
製造しているSONAXの存在をCMの中で紹介することになっている。

 

SONAXの研究開発の責任者である化学博士マンフレッド ピッチ氏(Dr.ピッチ)とは、
もう何年来のお付き合いであり、
Dr.ピッチの家庭にお邪魔したり、
一緒に沖縄に行って高温でのテストを行ったり、
何度も厳しい議論を交わしたりの度重なるコミュニケーションで
かなり深い信頼関係を築いてきた。
だから、今回の彼の研究室を公開してのCM撮影にも快く応じてくれた。

 

 

ミュンヘン郊外のホテルでの朝は快適であった。
名古屋からミュンヘンまでの長い旅のあと、ぐっすり寝て時差ボケはほぼない。
夜のうちに降った雪が、景気を白くしていた。

 

 

ホテルを出て、すぐアウトバーンに乗り
約90km離れたノイブルグにあるSONAX本社に向かう
北海道の広大な畑のような景色が延々と続く。

 

 

畑の中に忽然と巨大な風力発電の風車が何度も表れた。
ドイツではエコが進んでおり、こんな様子がいくつもあった。

 

 

もう昼近くになるというのに、まだ太陽がなかなか上がってこない。

 

 

雪が横殴りに降る中、
速度制限なしのアウトバーンは時速200kmで走る車が真ん中の車線を突っ走る。

 

 

SONAX本社は去年の11月に新築されてものすごく立派になっていた。
しかし、SONAXの人達とたくさんの話をしていて社屋の写真を撮るのを忘れて一枚もない。

 

撮影の為に用意された化学研究室。
実は、ここは企業秘密の固まり様な所で
そのため他社に見られたくない物をすべて撤去したあとの様子。
本当の研究室の様子とは若干違う。

 

 

日本からやってきた撮影班によって準備が進む。

 

 

約一時間の準備のあと、リハーサル。

 

そして本番。Dr.ピッチをはじめとする研究チームは最初から動きが良く、
7テイクほどでOKが出る。

 

 

次にDr.ピッチのアップシーン。
カメラが回っていない時はジョークを飛ばし続け、ニコニコしているが
カメラが変わると真剣な科学研究者の表情に一変するのはまるで一流の役者のようだ。

 

 

撮影は2時間ほどで終わってしまった。
すでにSONAXのスタッフの方たちによって準備がほとんど出来ていたことと、
本物の研究室の素晴らしい俳優ぶりで、予定を大幅に上回るペースで終わった。

 

SONAXの名優たち。

 

 

そのあと、撤収の作業が続く
毎度のDr.ピッチと製品開発についての厳しい議論をやって、
でも、思ったより手短に議論が終わったのは、
お互いの信頼がますます増していた結果だろう。

 

ミュンヘンのホテルへの帰路に着く。
午後5時だというのに、もう暗い夕日になっている。

 

 

ホテルに帰って、
翌日の「オリバー カーン」の撮影について、
江口監督、加藤クリエイティブたちとその方法や、考え方について議論をする。
世界のサッカーファン、オリバー カーンのファンをがっかりさせるような絵は作れない。
すべての人が妥協することのない議論で、
全員の納得ずくの結論が出た。

 

あとは飲むべし。
ホテルの隣にあるイタリアンのレストランでピザを食べながら飲む。
右からSONAX吉村さん。ADKフランクフルト駐在の井上さん。
ADKクリエイティブの加藤さん。営業責任者のひょうきん松岡さん。

 

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2009年02月12日(木曜日)

2134.もう48時間同じ服で同じ格好

 

Fin Airは至極快適であった。
最近おろしたばかりであろうエアバスA-340は、
今まで乗った国際便の中でも最も新しく、最新の設備を持っていた。

 

シベリア上空を飛んでいる間、
太陽が地平線に近づいているという意味の夕方のような景色が続く。
緯度の高い地域に、しかも西に向かって飛ぶ時の現象だ。

 

太陽は相変わらず地平線にくっついたままであるが、
北極海からフィンランド上空に届く頃、
眼下にはフィンランド特有の沼地が凍っている様子が不思議な光景を作って延々と続く。

 

 

やがて、降下をはじめ、ヘルシンキの街が見えてきた。

 

 

フィンランドのヘルシンキ空港に降りたのは現地時間で午後3時前。
日本時間で午後10時前である。

 

 

ヘルシンキ空港からミュンヘン行きの飛行機への乗り換え時間はわずか1時間だ。
大急ぎで乗り換え口に急ぐが、手荷物とボディチェックの場所が異常に混んでいる。
パスポートチェックにも長い列が出来ている。
以前にオランダのスキポール空港経由でミュンヘン空港に飛んだことがあったが、
その時は、パスポートチェックといっても形だけのものでスムーズに通過できた。
そんな経験から今回も乗り換えに1時間あれば十分でと思っていたのが、
ここヘルシンキでのチェックはまったく違い、遅い!
焦りながら、ミュンヘン行きの飛行機に乗ったのは出発時間の10分前だった。

 

乗った飛行機はブラジル製の「エイブラエル190」
日本のANAとJALも今年導入予定の「エイブラエル170」と同系列の飛行機である。
一列が2席・2席の配置の細長い胴体を持っている機体で、
実際に乗るのは初めてなので、ちょっとワクワク。
凍った滑走路に、ちょうど同じエイブラエム190が写っている。

 

 

その時、窓の内側に異なものを見つけた。
外気と機内を隔しているガラスと客席側のポリカの間に水滴を見つけたのである。
露が吹いてそれが水滴に成長している。
それ自体は機内の空気が外へ漏れているわけでもなく安全に影響はないのだが、
この水滴は上空に上がったらすぐに凍るはずである。
また、露が窓ガラスについて凍り、
ガラスが曇り外が見えなくなるはずと思っていたら、
案の定、水滴は凍り窓ガラスは露が一面に凍って、見えなくなってしまった。

 

ヘルシンキ空港からミュンヘン空港への2時間半、
新鋭機の「エイブラエル190.170」にはちょっと不安を感じた。

 

 

しかし飛んでしまえば普通のジェット旅客機で、
上昇中、ヘルシンキが凍った街であり、工業の街であることが新鮮に見えた。

 

 

やっぱり凍った。
そしてやっぱり凍った露のおかげで、外はほとんど見えなかった。

 

 

しかし、実は、ここからが大変だったのだ。
ミュンヘン空港は強風に見舞われており、
飛行機にはたくさん乗っている私でも、スリルを感じるほど着陸は大揺れであった。
揺れるというより、強い横風で機体が進行方向に向かって斜めになって降りていく。
着陸寸前など明らかに10度以上横方向に斜めだった。

 

 

そんなスリル満点の着陸のあとが、またひと騒動、
空港内の荷物受け取りで貨物室に預けたスーツケースなどが出てこないのだ。
すでにミュンヘン空港に迎えに来てくれていたSONAXの吉村さん、Dr.ピッチも、
外で心配そうに見ているが、いつまでたっても荷物が出てこない。
その内、何か案内の放送があって、
荷物を待っていた乗客全員が、カウンターの前に並んだ。
こんなことは初めてだ。
私はそれがいったいどういう意味なのかさっぱり分からず、ぼぉーっとしていたら、
吉村さんから電話が入って、
預けた荷物がミュンヘン空港に降ろされていず、
そのままヘルシンキに帰ってしまったと放送で言っていたと聞いた。

 

カウンターでは、乗客1人1人にどんな荷物を預けたか係員が聞いている。
たった20人ほどの乗客であったが、意味が分からず列に並び損ね、
一番後についた私たちの順番が来るのに1時間近くかかった。
そのうちに、吉村さんが複雑な手続きを経て、荷物受け取りの部屋に入れてもらって
なんとか、翌日(つまり今日)の午後、
ホテルにスーツケースなどを届けてもらう手続きを終えた。

 

だから、10日の10時過ぎに着替えた服を、下着もろとも
翌日の11日、SONAXでの撮影を終えホテルに戻った今まで、ずっと着ていたことになる。
時差も考えると48時間以上、ずっと同じ服を着続けたわけだ。
文字にしてしまえばそれだけのことだが、
けっこうツライ。なんとなく汚い。

 

汚いって、けっこうつらい。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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