谷 好通コラム

2009年05月03日(日曜日)

2198.全球凍結、白く美しい地球になるか

四日間ゴロゴロの三日目、
本を読むのもくたびれで、テレビをDVDで見た。

 

地球は絶妙なバランスで今がある。
太陽から地球の距離が1%遠くても、近くても、
H2O=水が、液体、固体、気体の三様の相で同居できる温度にはならず、
特に、水が液体の形でいられる0゜Cから100゜Cまでという極端に狭い温度帯が、
広い地域で維持されているバランスは、
生物が存在する上で重要な事実で、極めて絶妙なバランスに成り立っている。

 

 

地球は、
小さな宇宙空間物質がぶつかり合って集まった惑星で
大きくなるにしたがって引力を増し、
より多くの宇宙空間物質を集めて、今の大きさにまで形成されていった。
地表は衝突エネルギーで熱し続けられ灼熱の火の海であっただろう。

 

やがて何億年もかかって宇宙空間物質が少なくなってくると、
それまで宇宙空間物質の衝突から得られるプラスのエネルギーよりも、
宇宙に放熱するエネルギーの方が多くなって、
地球は冷え、
地球の大気に水の気体が満ちた。
かなり長い間、地表は水が気体でしかいられないほどの高い温度であった。
この時期に地球よりも小さく、引力が弱い惑星では、
気体を我が身につなぎとめられず、多く水を宇宙に逃がしてしまったが、
地球はある程度の質量を持っていたので、
地球がもっと冷えて、水が液体になるまでの間、
気体としての水をつなぎとめるだけの十分な引力があった。
地球は冷え、空中に存在した水の気体は凝固して、
その重さに耐えかね、長く続く大豪雨となって一斉に地表に降り注ぐ。
そして海が出来た。

 

ぶつかってくる宇宙空間物質はますます減って、
地球はどんどん冷えていく。
しかし地球内部の巨大な重力による熱が地表に伝えられ、
高い比熱を持つ水はその熱をため込み、宇宙への放熱を防ぐ。

 

太陽からの光エネルギー量と、宇宙へ放熱と、地球内部からの発生熱と、水の保温効果と、
もっとたくさんの要素が微妙にバランスして、
その温度が、0゜C~100゜Cという極めて狭い温度帯、
つまり「液体の水」が存在し得る地域を多く持つ惑星となった。

 

そして、液体の水の中で生物が生まれ、天文学的な回数の世代交代の中で、
突然変異と種の淘汰を経て進化し、今に至る。

 

その過程では、地軸の変化や色々な要因でバランスが崩れ、
低温に傾いた時には、
水は雪・氷という非常に光の反射率が高い状態の地域が多くなって、
[太陽からの光エネルギーの吸収 < 高い光反射率で宇宙への放熱]
となって、バランスが低温へ加速し、
億年という単位で地表は雪と氷だけで覆われた事もある。
それを「全球凍結」と言うそうだ。(私は“全球凍結”という言葉になぜか惹かれる。)
青い地球も美しいが、
真っ白に輝く地球は宇宙から見るとどんなに美しかっただろう。

 

地球は今に至る過程で、大きく高温に傾いたり、低温に傾いたり、
絶妙なバランスの中でも、
かなり大きなリズムを持っているのだ。

 

 

とここまで、テレビのDVDと番組で見た地球の壮大な歴史の受け売りだ。
で、ここからは読んだ本からの受け売り。

 

地球の気候は過去に大きく高温になったり低温に振れたりを繰り返していて、
恐竜が絶滅した6,500万年前よりも1,000万年前、
気温は今よりもかなり高く、
北極にも南極にも全く氷が無くなっていて、海面も100メートル以上高かったそうだ。

 

そして6,500万年前、ユカタン半島に直径10kmの隕石が落ちて、
空中高く舞い上がった粉塵が何百年も地表を覆い、
太陽の光をさえぎって急激に温度を下げ、激変した生態系の中で、
巨大に進化しすぎた恐竜は適応できずに絶滅した。(噴火説などもあり諸説紛々)

 

地球には地軸が移動したり、磁場が移動したり、隕石の衝突、巨大噴火によって、
かなり大きな気温の変動があって、
何度もあった大氷河時代の痕跡も世界中にU字谷と残っている。

 

と、ここからが本論。
「今、盛んに言われている“CO2による地球温暖化問題”は、
この地球の大きなスパンでの温度変化のリズムや、
隕石の衝突、巨大噴火などのアクシデントによる劇的な温度変化に比べれば、
むしろ微小な変化であって、
壮大な地球の温度変化のリズムに吸収される程度の変化だ。
地球温暖化問題は、実はエコビジネスで一儲けを狙うユダヤ商人の陰謀なのだ。」
そんな議論が、
今の時代においては反社会的であるがゆえに裏話として、
一部の実力者の中でささやかれている。
裏話は、裏話なので、いかにも信憑性があるかのように語られるのが特徴だ。
かく言う私もそんな話をマジに聞いたことがあるのだ。

 

本当にそうなのだろうか。
本当にCO2は果てなく出し続けてもいいのだろうか。

 

地球温暖化はユダヤ商人の陰謀だとするそのような本を、私は読んだことがないが、
やはり嘘だと思う。

 

地球の大きな温度変化のリズムは何百万年、
あるいは、短くてもせいぜい何十万年単位でのサイクルであろう。
これだけの時間があれば、他の生物でも「適応」という進化によって生き延びるだろうし、
人間はゆとりを技術の進化で対策できるだろう。

 

それに比べて、今のCO2増加による地球温暖化は、
1800年前後にイギリスで始まった産業革命を発端にわずか200年の間のことである。
地球の気候変化のリズムに比べれば何千倍、何万倍のスピードだ。

 

しかも、CO2の増加スピードはますます加速している。
先ほどテレビで言っていたが、
石油などの化石燃料から排出されるCO2は年間71億トンであり、
植物が吸収するCO2が9億トン、海や海の生き物が吸収するCO2は23億トンであって、
差し引き、年間39億トンの増加を続けている。

 

しかも、CO2の排出は先進国でもなかなかブレーキがかからず、
BRIC,sなどの発展途上国では加速度的に排出が増えている。
反して、CO2を吸収する役目の植物は伐採、開発で加速的に減少し、
海は吸収したCO2で酸化し、CO2を固定化する生物が減少しているそうだ。
差引勘定で言えば、何年かあとには100億トンクラスのCO2増加ペースになるそうだ。
温暖化はますます加速する。
その上、温暖化によってシベリア凍土が加速的に溶け、
凍土に含まれていたメタンガスなどCO2より100もの温室効果を持ったガスが
大量に大気に放出され続けている。
温暖化は継続的、かつ非常に加速的に進んでいると考えるべきだろう。

 

すると、私たちに許されている時間は数十年レベルであり、
地球が持っている温度変化のリズムの数万倍、数十万倍という
過激なスピードで進んでいると考えるべきだ。

 

いや、隕石の衝突、
大噴火(イエローストーンが危ない?)による激的な気候変化に比べれば、
それでも緩やかな変化だ。
とするのは、
根本的な間違いがある。

 

隕石の衝突で一番恐ろしいのは「衝撃波」と「巨大津波」で、
想像を絶する被害はあるだろうが、
衝撃はそのもので大きな種の絶滅があったわけではないし、
しかも隕石ならば1回だけの衝撃波、
噴火でも何十年も続く事はない。
本当に怖いのは、
上空に巻き上がる土砂・水蒸気などが数十年に渡って空を覆って太陽をさえぎり、
地球規模で温度が下がる事だ。前述のように恐竜はこれで絶滅したらしい。
しかし、土砂は引力によっていずれは地表に落ち、水蒸気もいつかは晴れ上がる。
長期の気温低下で地球の生態系はズタズタになるが、
植物が減ればCO2が増え、
長い時間かかって温度は上がり、
いずれは新しい生態系が構築され、新しいバランスが出来る。
恐竜は2億年も続いた進化の中であまりにも巨大化し膠着していたので、
気候変化に適応できず絶滅したが、
他の多くの生物も、少なくとも人間はその英知によって間違いなく生き延びるだろう。

 

しかしCO2の増加による地球温暖化は加速するばかりで、
ブレーキがかかる要素がほとんど無い。
CO2は引力で地表に落ちてくる事もない。
温度が上がる一方向で、下がる要素がほとんど無いのだ。
地球上のすべての雪、氷も無くなって光反射率は落ち、光反射による放熱も減る。
100mも海水面が上がった海は、酸性度が上がって、ソーダ水のようになっている。

 

ただ気温が上がれば、宇宙への放熱量そのものは上がる。
宇宙に漂うわずかな原子にエントロピーの法則によって熱が移る放熱だ。
温室効果と絶対的な放熱量の増加がバランスすれば、
気温の上昇は止まる訳だが、
それがどれくらいの温度なのか知らない。
たぶん、気温が数十度上がった時にやっとバランスするのでないか。
しかも、そこから気温が下がる要素はなかなか見つからない。

 

実は、地球を冷やす方法がある。

 

恐竜が絶滅したあの要因を人工で作り出せばいいのだ。
つまり、
地球を「何かの白く厚い雲」ですっぽりと覆い、
光反射率を極端に高めれば
太陽光が地球を暖めることなく、冷えていく。
しかし、この方法は地表に光が届かなくなってしまうので、
人工の雲を具合良く調整できないと、
植物は全滅し、地球規模での生態系は壊滅する。
ほとんどの生命体が壊滅した地球に、
化学的に作られた食物だけを、ひっそりと人間だけが食べる世界になるか。

 

あるいは、地球を冷やしすぎて、
冷却スパイラルが止まらず、
あの、私の大好きな「全球凍結」になってしまう可能性もある。
全球凍結か・・・・・
真っ白な地球・・・・・・

 

宇宙から見ると、素晴らしく美しいかもしれない。

 

しかし、こんな美しいものも、すべてなくなってしまう。

 

 

 

四日間ゴロゴロの三日目、
膝の痛みが徐々に引き、
こんな駄文をダラダラ書いていると、時間が過ぎるのが速い。

 

今日で四日間、ヒゲを剃っていない。
ヒゲは、今、結構流行っているが、
私にはただ、だんだん薄汚れたオッサンになって行くように見える。
明日の朝、ヒゲを剃ろう。

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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