谷 好通コラム

2009年06月26日(金曜日)

2241.株主総会に出て、不思議な存在に

今日は日本国中で株主総会が開かれている数が最も多い集中日らしい。
「総会をみんなと同じ日にやってしまえば、
株主総会にとって最も厄介な総会屋の人数は限られているので、
当たる確率が低くなる。」という理由で、このような集中日があるのだそうだ。
日本は三月決算としている会社が最も多いので、
ちょうど今ぐらいに総会が開かれるということもある。

 

今日参加した株主総会は、
私が個人的に株を持っている会社の総会だ。
昔から私は、「株」にはまったく興味は無かったが、
その会社自体に興味があって、ほんの少し、恥ずかしいくらいほんの少しだけ持って、
ノコノコと株主総会に出てみたのだ。

 

その総会が終わって、
今の感想を一言で言えば「面白くなかった。」
もっと議論を吹っかける人がいっぱいいて、
会社側がどんな対応をするのか興味津々であったのだ。
しかし会社からの事業説明を
プロのアナウンサーらしい女性が長々と読み上げるのを聞き、
議長である社長からの「ご質問、ご発言を求めます。」の言葉にも、
平和そのものの質問が二三あっただけで、すべて平穏無事。
みんなで拍手を5回ぐらいして、
お土産のお菓子とパンをもらっておしまいであった。
お土産は同行のH.オサムに上げた。
本当は総会には株主である私しか入れないのだが、
私が身障者であることを理由に「付き添い」として彼も総会に入ったのだ。
(私の身障者はいつもとても便利なのだ)

 

「会社とは誰のものか」という話がよくされるが、
今日の感想として「会社は、少なくとも、一般株主のものではないな」と思った。
日本の大きな会社は、銀行とか大きな取引先と株の持合をして、
株価の安定を得ている会社が多く、
議決権はオーナーとこのような大株主に集まっていることが多い。

 

その上、小額の一般投資家は、
その会社のシンパシーであるわけでもなく、
何か社会的な意義を感じて株を持っているわけではなく、
株価が上がり利益を得ることを目的として株を取得しているだけの人も多いのではないか。
だから、株の持ち合い先の株価が下がって(主に銀行)大きな損失を出しても、
「損しちゃったなー。」
「でも、みんなそうだから仕方ないな。」と思うぐらいで、
その会社の関係者として会社を心配するでもなく、
その会社の「一員」「仲間」でもなく、「所有者」でもなく、「お客様」でもない、
でも、どちらかと言えば「お客様」に近いような不思議な存在として私の目には映った。

 

資本主義経済として成り立っているこの国において、
投資家として「株主」は正しく会社の所有者であることは私もよく知っている。
小額であっても、私財を投じてその会社の可能性に賭けている人が
一般株主である事も知っている。

 

しかし私も会社を経営する一人の人間として、
会社、経営者とは高い「志」を持つべきであり、
志なき経営者、会社には世の中における存在意義がないとすら思ってきたが、
その会社の法的に正当なる所有者の興味は、
その会社の志とは関係なく、
ひょっとしてその会社の収益性であり、配当であり、株価だけだとすると、
そこには埋められないギャップがあることになる。
もちろん、その会社を本気で応援している株主もいるが、そうでない場合も多い。

 

だからあの場で私は、
一般投資家である小額株主(私も含めて)に対して
その会社にとって「不思議な存在」と感じたのかもしれない。

 

この会社も一時は本気で株式の公開を目指していたのだが、
ふと思うと、何のためにそれを目指していたのか見失いそうな気がした。
株式の公開を通じて一般投資家からお金を集め、
創業者利益を獲得して個人的な資産を増やそうと思ったわけではない。
株式公開でより大きな社会的な信用を得、
有能な仲間を増やし、
一人の経営者としての志を、実現するために、
あるいはその志を共有する仲間たちのために、株式公開を目指していたはずだ。

 

しかし、私は株主として初心者なので、
まだ株主の気持ちが全然解っていないのかもしれない。

 

自分を含めて株主としての気持ちとその意味をよく解らなければ、
自分たちの志を実現するというこちら側の目的だけで、
株式の公開を進めるための努力はしてはいけないのかもしれないな。
私を含めて、一般小額株主の存在を不思議と感じ、
過去、自分たちがやろうとしていたこと自体が、不思議な事に思えてきた。

 

初めての経験で複雑な気持ちになった今日だった。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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