谷 好通コラム

2009年06月27日(土曜日)

2242.ふっと救われる時がある

何かのきっかけでネガティブな思考に陥るとなかなか出て来られない。
人間には気分の波があって、
気分が良い時にはどおって事のないことでも、
気分がネガ世界に入り込んでしまっている時は、
大した理由もなく、どうしても許せなくなってしまうことがある。

 

そういう時の思考パターンは、
必ず自分が被害者的になっているのが特徴だ。
「自分はこんなにやっているのに、あいつのおかげでちっともうまく行かない。」とか、
「これまで信じていたのに、ひょっとしたら裏切られているのではないか。」とか、
一生懸命になっている時ほど、それがうまく行かないと、
自分が被害者であるかのように思えてしまうのだ。

 

 

マイケルジャクソンが50歳で死んだというニュースが
テレビでいっぱい流れていた、
私も若い時「スリラー」「バット」などを
車の中でガンガン鳴らして運転していた頃がある。
マイケルジャクソンはビートルズに匹敵するほど衝撃的であり新鮮であった。

 

あっという間に世界のトップスターになり、
世界一の金持ちの一人になった彼は、あまりにも若く、
お金の意味を学ぶ間もなく若くして大金持ちになって、
またたく間に、金の匂いに敏感なハイエナどもの餌食になったのだろうか。

 

スターになってからの彼の言動や行動は、
かなり変わっていたとテレビが言っていた。
私はスターのゴシップ記事を読む人間ではないので、よく解らないが
少なくとも多くの人達と正常な関係を持ち、
当たり前のコミュニケーションを交わす生活が出来ていなかったように感じた。
お互いの心を許しあう相手がいなかったようだ。

 

彼の周りにいる人の多く人が彼の持つ莫大なお金が目当てで、
彼から何らかの利益を得ようとするのが目的であり、
彼のためになることには興味が無かった。
つまり、彼に何かを与えることなく彼からお金を得る、
つまり奪うことが目的であった。
すべての人がそうではなくとも、
彼に、すべての人がそうであると、信じさせるだけの多くの人がそうであった。
いや、あくまでも想像でしかないので、そうであったかのかもしれないか。

 

だとしたら、彼は自己認識としてどこまでも被害者であったはずだ。
また、小さな頃からスターであったので、
本当の普通の世間を知らないという意味で、強いコンプレックスを持っていたはずで、
執拗なまでに成型手術を受けたり、
メラニン色素をなくして自分の姿かたちを変えることに執着して、
自分である事を否定しようとしていた。
そこまで自分に自信がない上に、
すべての周りの人が加害者であって自分は孤独な被害者である。
そんな救いのない世界で彼が生きていたのなら、
ひょっとしたら彼は、囚人よりも不幸であったのかもしれない。

 

たくさんの人の前ではてニコニコとポーズを取り、
時にはちょっとしたパフォーマンスを演じるが、
本当は一刻も早く自分ひとりの世界に逃げ込みたいと思い、
一人、いつも泣いていたのかも知れない。
何を聞いても見ても、ネガティブにしか感じることが出来ず、
何も信じられず、何を考えてもネガティブシンキングのどん底から抜け出すことなく、
私よりも7歳も若い、わずか50歳で、
過度な薬によってショック死したか、
自ら死んだか、
何らかの理由で、
例えば、ロンドンでの50回ものステージを務められないと解って、
払い戻しのために巨額の損失を出すのを恐れた何者かが、殺したか。

 

いずれにしても、
人を信用できず、常に被害者であり続けたと同時に
自分に対する嫌悪感に苛まれ続けた一人の人間の死は、
とても幸せとは言えない臨終であったのではないか。

 

まったくの邪推でしかないが、そんな事を想像した。

 

 

私だってちょっとした被害者妄想からネガティブシンキングの罠にはまり、
自力で抜け出せなくなる時がある。
自分で「この状態はまずいな」と自覚しても、
否定的なスパイラルからなかなか抜け出せなくなることがある。
その時の自分は、
明らかに不幸であって、決して幸せではない。

 

しかし何かの拍子に、
ふっと抜け出せることがある。

 

それは、思わぬ人の真心を何かに見出した時だ。
何週間か前、何かの拍子にネガティブなパターンに入り込んでしまった時に、
そこから抜け出したきっかけは、
身近にありながら気が着かなかった花壇を不意に見た時であった。
その花壇に、造った人のきれいな心が見えて、
自分の心を凍らせていた呪縛が溶けた。

 

今日の朝も、ただ単なる寝不足から来たとしか思えない軽いネガティブが
心に中に巣食っていたようだったが、
その気持ちを救ってくれたのが、
午後からの温かい結婚式であった。

 

今は、その結婚式が終わって東京から新幹線で帰るところ。
自分のカメラをクロークに預けたカバンに入れっぱなしで写真が一枚もない。
同行した青山君が撮っていた写真を、
家に帰ってから私に送るように頼んだので、
その結婚式の様子はまた明日に。

Posted   パーマリンク

ページのトップへ ページのトップへ

  • 最近の記事

  • プロフィール

    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

  • カレンダー

    2009年6月
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    282930  
  • リンク集

  • 過去の記事

  • RSS1.0

    [Login]

    (C) KeePer Giken. All rights reserved.