谷 好通コラム

2010年02月03日(水曜日)

2416.「人のふり見て、我がふり直せ」

膝がまたパンクしている。
歩くのがまたつらくなってしまった。

 

思い当たる原因の一つには、先日、広島でJR広島駅新幹線口(北口)から、
南口まで歩き、そこからいつものホテルまでまたかなりの距離を歩き、
足が痛くなって途中で二度休みながらであった。
そういえば、今までは広島駅についたらすぐ営業所に行って仕事をし、
仕事が終わったらホテルまで車に送ってもらっていた。
それが、たまたま今回の仕事は前日入りで、
新幹線口からホテルまで初めて歩いたことになって、
約800mの遠さを初めて知ったのだった。
もちろん、誰が悪いわけではない。
たまたまそうなっただけである。

 

それから、恐る恐る仕事をしていたのだが、
それが昨日決定的なパンクになってしまったのは、
千歳空港と中部空港でのこと。

 

札幌でのマイナス10℃近くの寒さは
防寒の膝サポーターを通してかなり冷やしてしまった。
それでも、千歳空港までは車の暖房で温めそんなにはつらくなかった。
空港で一般車用の降車場で車を降りるのだが、
工事中の降車場に書いてある「案内」では、
「日本航空」は三つの降車場の内一番奥であるとあった。
私の記憶では
たしか二番目の降車場で降りると日本航空カウンターに近いはずだったが、
「案内」では二番目は間違いなく「全日空」とあり、
ご丁寧に「日本航空は前方」と矢印つきで書いてある。

 

変だなあ、と思いながらも三番目の降車場に行って降り、
近くにあったエスカレーターに乗って二階に上がったら、
すぐに日本航空のカウンターがあった。
「アー、やっぱり案内のとおりで良かったんだ。」と思って近づいたら、
それは「国際線」のカウンターであって「国内線」はダメだという。
国内線のカウンターは、
約300m戻ったところ、
つまり、やはり二番目の降車場に近いところにあったのだ。
(私には遠く感じたが250mくらいかもしれない)

 

仕方ないからトボトボ歩く。
国内線カウンターまで行ってチェックインをする。
身障者割引を使っている私はカウンターまで行って、
手帳をカウンターで見せなければチェックインできない。

 

しかも今回の飛行機の搭乗口は、悪いことに一番端っこ。
今来たところに引き返して、
つまり、先ほど行った国際線を通り越して、
そのまた300mくらい向こうにある。
結局、同じところを往復して登場口にたどり着いた時には、
オーバーでなく膝がグロッキー気味になった。

 

その後ろ姿を見た係りの人が、
「車椅子をお持ちしましょうか」と声を掛けてくれたが、
「いや、あのですね、・・・
降車場の案内に日本航空は三番目の降車場と書いてあったので・・・」
と、訳を話し、あの案内は歩くのがしんどい人には、ひどくツライことを話した。
そして、かなり歩いた後だったので、
いまさら車椅子が到着するのを待つ気にはならなかったので車椅子は断った。

 

次回千歳空港に行った時に、
あの不親切な案内板が改善されているかどうか楽しみに見てみたい。
日本航空の役人体質は今回の倒産劇で少しでも直るのか、どうだろうか。

 

中部空港に到着したら、最後の試練である。
この空港は、日本で一番無駄に歩かなければならない空港だ。
しかも、この便は、また一番遠いブリッジに停まった。
さすがに車椅子をお願いしたいところだが、
ここのボーティングブリッジは将来の超大型飛行機(絶対にない)に合わせてか、
極端にボーティングブリッジ全体が急な傾斜になっている。
その坂を92kgの私が乗った車椅子を押して上がるのは至難の技なので、
申し訳なくて、やはり頼めない。
何度か休みながら、
と言ってもどこにも椅子がないので、
立ったまま止まっているだけなので、全く休みにはならないが、
苦労して駐車場まで歩いていく。
その距離オーバーではなく、1000mはあるのではないか。
ここで完全に膝がパンクしてしまった。

 

 

「歩けない人」にはバリアフリーで空港などは各所に気遣いがされているが、
「歩くのがツライ人」には、新しい施設が出来るたびに広くなって、
つまり遠くなって、どんどんツライ施設になっていく。
「歩けない人」に対して「歩くのがツライ人」は、
お年寄りをはじめ数十倍はいるだろう。
そんな人にとって新しい施設につきものの「余裕ある空間」は、ツライだけでしかない。

 

 

自分とは違う立場の人のことは、なかなか分からないものである。
今日、覆面モニターに、ある快洗隊店舗に行ってもらった。
率直な意見が欲しかった。

 

 

モニターの率直な意見


今後女性客をターゲットにするなら、
もう少しトイレを綺麗にしては如何かと思った。
(最近のパチンコ店はすごく綺麗になってるらしい)
初めてネットで見た時、快適なゲストルームと書いてあり、
車にかける値段が比較的高価な商品を扱っているので
勝手に綺麗な部屋を想像していました。

 

初めての女性客としては、男社会に紛れ込んでしまった感がありました。
女性の下着売り場にいるのを、男性が居心地悪く感じるのに似ているかもと思いました。
私がゲストルームで待っている間、ネットをしているお客様はいませんでした。
殆どの人が雑誌を見て過ごしていました。
真ん中で資料を広げ熱心に仕事をしながら待つお客様もいるのだと思ったら
社員の人でした。

 

雑誌が男性向けばかりで、女性客はターゲットにしてないのか?
洗車待ちの時間にメニューを見ていたら、いろいろとやりたくなったが
途中で追加してはいけないのかと思った。
最初にいろいろ見てから、自分で紙に書いてオーダーしたい。
自販機から間違った缶ジュースが続けて2度でて200円損した。
(不都合があったら、社員に申し出てくれる様テプラで張る・・・)


 

恥ずかしい。
私たちには日航や中部空港を批判する資格はない。
しかし、「他人のふり見て、我がふり直せ」とも言う。
どんどん批判しよう。
そして、我がふりを率直に見て、
自分がやっていることを自ら批判できなければならない。

 

 

 

千歳空港の日航カウンターの前にこんな案内が張り出してあった。
日本語としてはもちろん間違っていない。
正しい日本語で、正しく伝えたいことが書いてある。
しかし、何となく、どこか役人っぽい匂いを感じませんか。

 

 

これは、下の文章の方が、
「これから日航を応援しようかな」と思えるのではないだろうか。
「人のふり見て、我がふり直せ」である。


{お願い}
国内線全席での新聞サービスの中止について

 

平素は日本航空をご利用いただき、まことにありがとうございます。
申し訳ありませんが、国内線全席における新聞のご提供を、
諸事情により2010年1月4日を持ちまして中止させていただきました。
お客様にはご不便をおかけすることとなりますが、
何卒ご容赦賜りますようお願い申し上げます。

 

2010年1月5日
株式会社日本航空
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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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