谷 好通コラム

2010年04月09日(金曜日)

2470.経営者が持つべき三つの目?

今日は福岡でのキーパープロショップ研修会とセミナー。
約160名の方が出席されると聞いている。
今回は技術研修がないので各地一度の開催が基本となり、
福岡では一度にこんなに多くの皆さんに集まっていただくことになった。
大変ありがたいことであり、その重さに緊張するところである。

 

さて、今は福岡に向かう飛行機の中でこれを書き始めた。

 

飛行場のカウンターでチェックインした時に驚いた。
(私は身障割引なので自動チェックインが出来ない)
私はANAの「プラチナ会員」であったが、
いつのまにか「ブロンズ会員」になっていたのだ。

 

プラチナ会員とかブロンズ会員と言うのは、
一年間に飛行機に乗った回数によって決まるらしいので、
だから、プラチナ会員といっても別に高級であるわけでもなんでもない。
ただ単にしょっちゅう飛行機に乗っているというだけのことだ。

 

プラチナがブロンズに格下げになったことは、
別にどうでもいいことだが、
私の仕事の内容が、明らかに変化している証なのかもしれない。

 

 

別の話だが日本全体の飛行機需要自体が減っているらしい。

 

2001年9.11ニューヨークでの同時テロに始まりSARS問題まで
色々なことがあって世界レベルで航空需要が減った。
一昨年のリーマンショック以来の不況も深刻だ。

 

それに加えて日本では「高速ETC1,000円」が実施され、
航空需要の主役である観光客が、高速道路に流れた。

 

国策会社であるJALは、
航空需要が減ってきたのに、
会社の事業縮小がまったく進まなかったのが倒産の大きな要因であろう。
経費のもっとも大きな要素である人件費は、
強大な労働組合の力でまったく減らず、
常識はずれの高額な企業年金にも手が付けられない。
政治的に押し付けられてきた赤字路線の整理もまったく出来ない。
市場拡大予測で大量に購入したB747-400ジャンボは、
「大は小を兼ねる」が経費は大のままで、
需要減少の中でただの大きなお荷物に成り下がった。
これは、倒産すべくして倒産したとしか言いようがない。

 

会社更生法適用という会社として最も恥じるべき状態になって、
はじめて人件費の節減や年金問題にも手がつき、
赤字路線の大幅撤退も始まった。

 

しかし、そんな動きの中で
JALの子会社である「Jエアー」が、
名古屋小牧空港から全面撤退するというのにはがっかりした。
小牧のJエアーは小型ジェット旅客機「ボンバルディアCR-J」を飛ばしていた。
私はこの飛行機が大好きだっただけでなく、
小牧空港は、中部空港と違って、
空港内で歩かなければならない距離が短くて、大好きであったのだ。

 

また、小牧空港からは、
中部空港からは飛んでいないローカル空港への便もあったので、
便利にしていたのに、すごくがっかりだ。

 

・・・・
・・・・・・
・・・・
と、ここからは福岡でのキーパープロショップ研修会が終わって、
福岡空港から中部空港へ向かう飛行機の中で。

 

 

飛行機は物凄く便利な乗り物だ。
たとえば、一昨日行った高松は、
高松から1時間に一本のマリンライナーで岡山に行き、
岡山から名古屋まで新幹線。
乗り換えも入れると3時間以上は見ておかなくてはならない。
それが何年か前まで飛んでいた小牧空港⇔高松空港のNAL便なら50分で行けた。
ローカル空港からの便は羽田便で、名古屋へは飛んでいない空港が全国にいっぱいある。
そんな空港が、小牧空港からのJエアー撤退でますます増えるのだ。
電車を乗り継いでいくには途方もなく時間がかかる。
本当にがっかりである。

 

地方空港がなぜかどんどん豪華に建て替えられている。
まったくバカバカしい。
空港を立派にしたって旅客が増えるわけではない。
空港維持費が増えて着陸料が上がり、乗り入れる航空便がかえって減るだけだ。

 

少子化が進み、旅客の絶対数が将来的に増える見込みは少ない。
それにも増して、
地方の過疎化は進む一方で、
ローカル空港を利用する人は減っていくのではないか。
そんなローカルの空港を立派にすることが
地域振興につながるというのは空想でしかないのではないか。
空港が立派になったから観光に行こうなんてことを観光客は思わない。
旅客が減ってくるのに、着陸料が上がれば、その空港に乗り入れる便はかえって減る。
すると不便になって観光客は遠のく、悪循環ではないのか。

 

 

三日前に名古屋で聞いた経済学者の講演会で
こんな話を聞いた。

 

「経営者は、三つの目を持っていなければならない。
一つは(鳥の目)、空の上から客観的に広く物を見る目。
二つは(虫の目)、すぐ身近のことを細かく物を見る目。
三つは(魚の目)、世の中全体の流れ(潮目)を見る目。
大所高所から見る目と、
細かいことを馬鹿にせずに見る目は、
経営者として立派に身に付けていても、
世の中がどちらに向かって大きく流れているのかを見きわめる目を持っていなければ、
経営者は会社を発展させることは出来ない。」

 

なるほどな、と思った。

 

 

今日の福岡での研修会。
なんと160名以上もの熱心な方々に来ていただいた。
ありがたいと思った。
私たちにもっと何が出来るのか、真剣に考え、行動していく。

 

 

・・・・
・・・・・・
本当にそう思っているのだが、
空港で1時間ほど余ったので、つい、ビールを小瓶三本ずつも飲んで、
いい気分になってしまったのでした。
そのビールのおいしかったこと。

 

私たちはただのノンベエかもしれない?

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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