谷 好通コラム

2010年04月18日(日曜日)

2478.コーティングとユーザーメリット・その2

「手間をかけずに、車の塗装を守り続けたい。」
言い換えれば
「ラクして、新車のようなキレイさを守りたい。」
これが一般の人が持つコーティングへの期待、
一般的なユーザーニーズである。

 

 

17年ほど前に磨き+コーティングを憶えた私たちは、
1年間、磨きに没頭し、
一部のマニアックな人たちにそれなりに支持された。
しかし1年後、その店がガソリンスタンドを平行して営業するようになってから、
疑問を持つようになった。

 

ガソリンスタンドに燃料を入れに来るお客様にも
私たちがやっていた磨きとコーティングを販売したのだが、
いわゆる普通の人、一般の人は、磨きの価値を見ようとしない。

 

磨きは繊細なもので塗装面を舐めるようにして見ると、
その価値がよく分かるのだが、
一般の人は車から1m~2m位離れた所からしか車の仕上がりを見ようとしない。
しかも、鏡面状態に仕上がった車を平気で洗車機に入れて洗ってしまう。
あのころの洗車機はナイロンブラシのものばかりで、
一回入れて洗っただけで、鏡面状態には無数のキズが入ってしまった。

 

職人の目になっていた私たちはそれをがっかりして見たものだ。
だって、何時間もかけてヘトヘトになって磨き、テラテラ、ツルツルにしたのに、
お客様はそれに気が付かないどころか、
洗車機に入れてキズがまた無数に付いたことにすら気がついていないのだ。
「素人はこれだから困っちゃうよな」

 

こんなことを繰り返すうちに、ふと気が付いた。

 

お客様が素人なのは当たり前のことであって、
ごく一部の人以外は、
誰も玄人(くろうと)になりたいとも思っていない。
塗装を舐める様に見たいなんて思っていないし、そんな必要もない。
車全体を見て、
本当にきれいだと感じればそれで十二分なのだと。

 

車は床の間に飾っておくものではなく、
実用的なものであり財産でもある。
だから大切にしたいし、出来れば新車のような状態で維持できればもっといいが、
当然、外を走るものであり、雨の日も走る。
車は飾っておくものではなく、使うものなのだから、
塗装にヘアーラインのようなものが付くなど当たり前であって、
まったくの鏡のようである必要などない。

 

車から1m以上離れ、
車全体を見て「きれいだ」と言う人のほうが普通であって、
塗装を舐め回すように見て、ヘアーラインをキズと呼び、
「素人には分からないだろうな」などと言っているほうが普通ではない。
自分が普通でなく「職人の目」になっていることに、ふと違和感を覚えた。

 

圧倒的多数である「一般の人」に満足して頂くようなコーティングを
広範に提供しなければ、ビジネスの成長はあり得ない。

 

それで、
ガソリンスタンドに来ているお客様が、
店で待っていられる時間、つまり40分程度で、
どんな方法と取れば、車を最大限にキレイにできるか。
お客様がご自分で手入れをするよりも、
私たちに任せたほうがいいな、と思ってもらえるようなキレイさを作り出せるのか。
色々と試行錯誤しながら作り出したのが、
今のピュアキーパーの原型「Qシステム」であった。
市販のケミカルと、その時私たちが持っていた技術や知識を活かして、
しかもポリッシャーを使う磨きを行わず(時間がかかるので)、
いかにキレイさを出せるか。

 

その答えが「塗装面改善方向性」という考え方で、
塗装そのものを大切にして、
一切、塗装を痛めるようなケミカルも使わず、
塗装を痛めるような方法も取らずに、
塗装の付着した汚れを除去し、
塗装そのものの状態にした上で、
塗装の身代わりになる「犠牲被膜」の役割としてのポリマーコーティングを施す。

 

今ある塗装を犠牲被膜としてのコーティングで覆い、
コーティング被膜は塗装の身代わりとなって汚れ、傷むものと割り切る。
つまり、もう塗装そのものには触らず、
コーティング施工を3ヶ月程度の短期間で繰り返すことによって、
塗装の代わりに汚れ傷んだコーティングを被膜の一部を入れ替えて、
残った一部の上を新たな被膜で強化していく。

 

すると、もう塗装そのものは傷まず、
つまり新車ならば、新車の状態が維持される。
また、ある程度の経年車で、
ある程度、塗装が痛んでいても
塗装の上のコーティング被膜が強化されていくことによって、
表面がより平らになっていって、ツヤが増し、新しい塗装のような状態に戻っていく。

 

もちろんその3ヶ月の間、ワックスなどをかける必要はなく、
洗車をしていればキレイさを維持できる。
つまり、お客様はラクが出来る。

 

これが「塗装面改善の方向性を持ったボディケア」であり、
特許として登録され、今でも生きている。

 

この方法のポイントは、
元々そんなに長い耐久力をコーティング持っていない(有機物なので)ポリマー被膜を、
塗装の長期保護剤とせず、「犠牲被膜」と割り切って使ったことだ。
だから、磨きの副次的な役割として使ったポリマーコーティングとは根本的に違うのだ。

 

キーパーコーティング(今のピュアキーパー)は、
ユーザーニーズである「ラクして(水洗いだけで)、塗装を守ること」に合致した。

 

キーパーコーティングは約15年前から進化し続け、
今のケミカル「ファイナル1」「ホワイトロン」には、
15年間、微細かつ膨大な数の改良を加え続けられ、
初期の製品に使っていた原料はほとんど使われていず、ほとんど別のものになっている。
それでも、「犠牲被膜」としての役割は全く変わらない。
その目的に対する性能が、初期のものに比べて飛躍的に上がっているだけだ。

 

ピュアキーパーは地味であるし、
一部のマニアックな人には十分な満足を与えられるものでもない。
しかし一般の人、車を「使う目的」で所有しているユーザーニーズには合致した。
ユーザーニーズに合致した製品、サービスはロングセラーになるという。
ピュアキーパーは15年間、ずっと伸び続け、
今では全国のキーパー施工店さんのおかげで、
1年約300万台に施工されるサービスまでに成長した。

 

だが、5年前に一つの転機があった。
カーディーラーさんが5年保証コーティングを広範に販売され始めていて、
周期的にキーパーコーティング(ピュアキーパー)を施工して頂いていたお客様が、
「新車買った時、5年保証のコーティングしたから、これからは水洗いだけでいいよ。」
と言い始め、それが目だって来た時だ。

 

 

この続きはまた明日。
(これは長くなる予感がしてきた)

 

 

今日は愛知県下の9軒のKeePer LABOを周って来た。

 

まず岡崎店。
忙しそうだったところを「10秒だけ全員集合!」と号令をかけ、カメラを向けたら、
一瞬だけみんなでいっせいに静止してしまった。

 

特に右から二人目は誰だか分からないほど不自然である。
このあと、全員、それぞれの担当の仕事に大急ぎで散っていった。

 

 

この看板が強烈に効いているそうだ。
これがいいのだそうだ。
お客様が飛び込みで「19,800円のやつ、やって」と来るのそうだ。
ちなみに今日も四台。

 

 

続いて安城店。
店長に聞くと、この看板、かなり目立っているのだが、
そこまでは効いていないようだった。

 

 

安城はいいメンバーでみんな元気である。

 

 

またメガネが変わっていた服部店長と、和田君。

 

 

続いて知立店。
岡崎店と同じように「5秒だけ全集合!」とやったら、
同じように、不自然に静止してしまった。
そして同じようにこの直後、クモの子を散らすように仕事にすっ飛んでいった。

 

 

それでも、美咲ちゃんだけは特別扱いなのだ。

 

 

全員集合はみんな止まっちゃうからイカンな。と思って、
とりあえず止まらないように頼んだら、
不自然に動いているように止まった。

 

 

こちらも同じ。
忙しいのに、一瞬だけ止まっている。

 

 

大須店では、いつものように、
何も言わずに10枚くらい連続でシャッターを押したら、自然なった。

 

 

中川店では全員集合をかけて、でも全員が集合する前に撮ってしまった。

 

 

こちらはちょっと待て、と動きを止めさせたら、
体カチカチで、顔だけ笑顔の写真になってしまった。

 

 

夕方になって、なんと一台もお客様の車がなくなってしまった鳴海店。
こうなると、みんな自然ですね。
中川君は堀店長がほんとに好きみたいですね。

 

 

東海店では全員集合をかけなかった。
杉浦店長が、ふと大人っぽい表情をするようになっている。

 

 

新人の阿部君は、私の名前の引き出しの中で「矢部君」になってしまったので、
しばらくは矢部君と呼ばれるのであろう。ごめんな。

 

 

「顔だけこっち向けて」と言って撮った写真。

 

 

最後に大府店。
相変わらず上谷君はいい奴だが、・・変である。

 

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2010年04月18日(日曜日)

2477.コーティングとユーザーメリット・その1

話は、コーティングの起源にさかのぼる。

 

20年ほど前から始まった車のコーティングは、
元々、町の磨き屋さんが「マニアックな人」のために施工する商品で、
施工の主体はコーティングというよりも「磨き」であった。

 

17年前にこのビジネスに関わった私自身もそうであった。
朝から晩までひたすら磨いていたように憶えている。

 

車をコンパウンドとポリッシャー+バフで磨いて、
とことんキズを消して、
塗装の凹凸まで平らにして、
つまりテカテカの鏡のような状態にし、
新車よりもツヤを出すことを売りにして、
5万円から10万円以上の高い値段で施工していた。
あくまでも磨きが主体で、その上に塗るコーティングは副次的なものであった。

 

それを、カーディーラーさんが新車販売時に、
「一般の人」にも販売するようになった。
もちろんお客様のためになると思ってのことだ。
新車を買う時は百万円以上、
車によっては数百万円の買い物になるわけであり、
「一般の人」でも5~10万円のプラスアルファの買い物には抵抗が少ない。
コーティングは「一般の人」にも広まって、
町を走っている車の50%近くまでがコーティング既施工車になった。

 

5~10万円もの値段で販売されていたのは、
もともと「磨き」が重労働であったためだ。
昔の磨きは、今のように多機能なポリッシャーとか、
低反発バフも無く、また素晴らしく切れのいいコンパウンドや、
自己粉砕型という一回の作業で済むような便利なコンパウンドも無かった。
粗目、(中目)、細目、極細目と段階を踏んで磨き、1台磨くのに5時間以上、
下手すると10時間以上もかかった重い労働であったのだ。
だから、それくらい貰わなくては採算が合わない。
塗装保護の能力がそれほど無いコーティングでも、
「メンテナンスをきちんとやればツヤが5年年持ちます」という注釈を付けて、
「NO WAXコーティング」として高価格で販売され続けた。

 

「一般の人」には「NO WAX」とあれば
ワックスをかけなくていいのだから
「楽が出来て、塗装が守られる。これはいい。」と思ったのは当然であろう。

 

しかし残念ながら「一般の人」が期待するような
「ラクして5年塗装を守る」という能力はなかった。
NO WAXと言いながらWAXがけ同様のメンテナンスが必要で、
それもメンテナンスキットを使って自分でやらなければならない場合が多い。
コーティング被膜そのものが長期間塗装を守ってくれるわけではなく、
メンテナンスというWAXがけのような作業で塗装のツヤを守っているわけだから、
一般の人が期待した「ラクして5年塗装を守る」は難しかった。

 

 

もちろんそれは一般的な話であって、
すべてのコーティングがそうであったわけではないし、
だれもが「ラクして5年塗装を守る」を期待したわけではないかもしれないので、
決め付けてはいけないが、
昔からのコーティングとはマニアックな人が好む「磨き」が主体であって、
一般の人が期待する「ラクして、塗装を守り、車の価値を守る」ものではなかった。

 

そこに大きな意識の食い違いが発生して、
一般の人の実に70%近くまでの人が、
「コーティング」という商品に「不満と不信」を持ってしまった。
(ユーザーアンケートより)

 

その食い違いを埋めようと
本当に被膜が5年の耐久力を持つ「ボディガラスコーティング」が登場したが、
ガラス特有の宿命、ミネラル分が固着する「水シミ」の問題でクレームが多かった。

 

そんな事情の中で、
5年耐久コーティングは、行き止まり状態に陥り、
保証期間の5年が過ぎてもコーティングを再施工する人は少なく、
新車時での施工も減りつつあった。

 

一昨年の6月に日本国中の46.7%もあったコーティング既施工車が、
昨年の9月の調査では38.9%に急減してしまったのは、
新車の販売台数が減ったのも一つの要因ではあろうが、
やはりこの類の商品そのものにも問題があったと考えるべきだろう。

 

 

この続きはまた明日。

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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