谷 好通コラム

2010年07月09日(金曜日)

2548.「君ならトラックを止めたろうね」「はい、止めます」

今朝、会社に向かう県道で、
私の車の前を、カルガモの親子の行列が横切った。
母親カモに引き連れられ子ガモが約10匹。
当然、私はカルガモ親子の行列の前で車を止めた。
と、横の車線を産廃ゴミの収集トラックがやってきて、
信号が赤信号だったこともあってカルガモ親子の手前で止まった。
でも、信号が青に変わったので、収集トラックは少しためらいながらも、
カルガモ親子の列を横切った。
心臓が止まるほどびっくりしたが、
トラックが横切った後には、
親ガモがうずくまったように動かず、子ガモの一部が轢かれたように見えた。

 

私の二台後の乗用車が道の脇に寄せて、
ドアが開けて誰かがカルガモの群れを助けようとしている。
目の前の信号は青信号になっていて、後の車が前に行く動きをしている。
私は、そのまま車を前に進め、そのまま会社に向けて走らせた。
しばらく車をゆっくりと運転して
後悔と自己嫌悪で涙が溢れた。
私は、
なぜあの時、あのトラック前に出て、止めなかったのだろう。
間に合ったはずだ。
私はじっと見ているだけだった。
あの時、躊躇することなく車を出て、トラックの前にふさがれば、
あの親子を、平和のままに、道を横切られせる事が出来たはずだ。
そうすれば、あの親子は平和であったはずだ。
あの親子が轢かれたあとも、
助けようともせず、
なぜ、今、走っているのだろう。

 

私は自分のすべき事としている事はきれい事かもしれないが、
本気でそう思い行動すれば必ず成功する、などと言っているくせに、
体を動かさず傍観することで、あの親子の平和を壊してしまった。
私は自分を恐ろしいと思った。

 

今日の夜。
そのことをある人に話し、
「君なら出て行ってトラックを止めただろうね」と聞いたら、
「はい、止めます。」と自然に言った、
「そうだね。」

 

私は自分がイヤになった。
本当にそうだと思った事でも、そうすべきだと思った事でも、
体を動かそうとしなかった自分は最低である。
しばらく自己嫌悪のどん底に陥る。

 

でも、落ち込んでい続けるわけには行かないし、
仕事をしなくてはいけない。
自分の中に、自分の嫌いな部分、情けない部分があったとしても、
それに溺れていては、いけない。
そういう部分があることを自分に認めた上で、
精一杯、自分のために、誰かのために、みんなのために仕事をしなければいけない。
否定したり、弁護したりすることも必要ない。
そういう部分がいっぱいあることを自分で受け入れて、でも許さず、
しかし、あると言う事実を認めた上で、受け入れ、
本当に自分ですべきと思ったことを、精一杯していかなくてはいけない。

 

私はこの人のようになりたいと心底思った。
「君なら出て行ってトラックを止めただろうね」
「はい、止めます。」
「そうだね。」

 

 

この人の部署は年度パーフェクト予算達成で素晴らしい成績を上げてくれた。
今日はその達成会。
達成のその秘訣はと聞いたら、
「今までの人、今の人、その人たちがずっとやってきたことの
積み重ねの結果です。きれい事じゃなくて本当にそう思うんです。」
と言う。

 

感謝の気持ちを往々にして忘れる私は、恥じ入るばかり。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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