谷 好通コラム

2010年07月11日(日曜日)

2549.会社倒産は経営者として最大の負け

会社を倒産させるのは、
会社の経営者として最大の負けであり、
倒産とは経営者が最も恐れることであり、恥とするところだ。

 

経営者は会社を倒産させるとすべてを失う。
中小企業の場合、
会社が銀行などから借り入れる資金には経営者の個人保証が必要である。
(株式を上場している企業は個人保証を必要としないが)
企業の業績、規模によっては県保証協会などの公的保証を加えなければならないし、
その公的保証にも個人保証を付けることになる。
そしてほとんどの場合、
個人所有の不動産は、借り入れのための担保として登記される。

 

つまり、
名目的には会社が銀行からお金を借りる形になっているが、
事実上は、経営者個人が銀行からお金を借りて、会社に提供しているのと同じだ。
だから会社が倒産すると、経営者、とりわけ会社のトップである社長は、
個人の財産のすべてを失うことになることが普通だ。
会社の資金調達のためのリスクは社長(同族会社の場合は社長一族)が一身に負う。
まれには、素晴らしい業績で「無借金経営」を続けている企業もあるが、
このような会社が倒産することはほとんどあり得ないので、
「会社が倒産する=社長は個人のすべてを失う。」の方程式は変わらないことになる。

 

ならば、会社の社長はすべてを失うリスクを背負っているのだから、
法外な報酬を取っていいかと言うと、そうではない。
社長が取るべき報酬とは、
経営者として会社に対する貢献度、
つまり社会に提供する付加価値に対してどれだけの役割を果たしているか、
そして、その結果どれだけの利益を会社に造り得たかで報酬は決まるべきものだ。

 

そして、先に書いた「資金調達のリスク」を報酬に乗せるならば、
その金額の対する保証リスク、保証料の相場、年1%前後が適切なのだろうと思う。

 

いずれにしても、
会社の倒産は経営者のすべてを奪うことに違いない。

 

 

しかし、万が一、この会社が倒産して、
経営者である私が、丸裸、無一文になることは、私はほとんど怖くない。
子供たちは自立しているし、
私たちが無一文になっても彼らは生活に困ることは無いだろう。
ただ、自分の年取った母親が今の家を出て行くことになるのは辛いが、
自分自身が持っている物がすべて無くなるのはそれほど怖くはない。
しばらく不便に慣れるまでがつらいだけだろう。

 

 

二十数年前、独立してからしばらく経った頃、
まだ経営はまったく安定していず、何か不測の事があれば
いとも簡単に会社は倒産する可能性があった頃、
あの頃の私たちの商売であるガソリンスタンドの仕事が終わって、
代車の古いスズキ・アルトに乗って堤防を走って帰ることがあった。
なぜかは忘れたが時間がまだ早く、夕日に向かって走っていた。

 

何ともクッションの悪い車、初代アルトに乗りながら、
「会社が潰れたら、この車だけもらって、二人でどっかへ行こう。
それもなんか楽しいな。自由だよ。」
そんなことを話し、本当にそれでもいいなと思った。
会社が潰れても何も怖くないような気持ちがした。

 

会社を興して、一つの商売を始めると、
サラリーマンの時より少しは多くの報酬を手に入れるようにはなるが、
色々な所と取引が始まり、社員の生活を預かり、
買い掛け金と売り掛け金が発生し、借入金が出来、
その会社を維持し発展させることに、
全身全霊を傾けることになる。
もう「この仕事は自分に合わなかったな」とか
「他のことをやりたかった。」とか、
サラリーマン時代のように、そんな理由で会社をやめる事は出来なくなるのだ。

 

独立した者が、
いつかは気付くことになる束縛感であり不自由感である。

 

二十数年前のあの時、
スズキ・アルトに乗って夕日に向かって走る時、
「会社が潰れたら、この車だけもらって、二人でどっかへ行こう。
それもなんか楽しいな。自由だよ。」
自由があったら、
それはそれで別のいい人生が送れそうな気がして、
そう気付いたら、本当に怖いとは思わなくなったのだ。
あの頃の会社と比べれば今は何十倍かの規模になったが、
自分自身の生活そのものは、あの頃となんら変わっていない。
だから、今でも同じ気持ちであることに変わりない。

 

 

しかし、私はこの会社を絶対に倒産させない。
会社が倒産すると、私も含めてすべて仲間たちの夢と理想が散り、
仲間たちが散り散りバラバラになっていくのは、これは本当につらいことだ。

 

その前に、私たちの提供する付加価値、車のキレイを喜んでいただき、
支持してくれた人たちに失望を与えてしまうことは申し訳ない。

 

私たちはこの会社を絶対に発展させ、
この会社が提供する付加価値(キレイ)を、
もっともっと多くの人に喜んでもらいたい。
多くのユーザーの喜びが、すなわち提供する側である私たちの喜びであり、
この大きな喜びを、たくさんの施工店さんに味わっていただきたい。
そのことによってまた、たくさんの人が喜んでいただきたい。
そう考えるとものすごく楽しいし、実現したらものすごく嬉しい。
多くの仲間たちもきっと同じだと思う。

 

私も本気でそう思っているし、
会社のみんな全部がそう思っているならば、
絶対にたくさんの人から支持されるはずなので、
会社はまだまだ発展するだろうし、万が一にも倒産することは無いはずだ。

 

会社の倒産は、経営者として最大の負けであるのは、
それが社員の生活を潰し、
多くの人の夢と理想を潰すことであり、
支持してくれている多くの人々に対する裏切りであるからだ。
決して経営者が財産のすべてを無くすからではない。

 

 

今の時代の経済情勢は厳しい。
そんな中で売上げを大きく落とし、
会社の存亡をかける状況に陥っている会社がたくさんあることを知っているが、
そんな時に、経営者が個人の保身を中心に今後を考えると、
その会社の未来はむしろ見えてこないのだろう。
会社の経営の動機が経営者自身の保身にある時こそが、
ユーザーと、社員の支持が得られなくなる時であって、
それこそ、深刻な倒産の危機と言えるのではないだろうか。
とても心配になることがある。

 

 

今日は、KeePer LABO快洗隊を何軒か周ろうと昼から動き始めたが、
刈谷店と大府店に行ったところで、
「雨降ってるし、なかなか、みんないないな。帰ろうかな。」と思ったら、
帰りたくなってしまい、帰った。
久しぶりに動かない時間が欲しくなった。

 

私は言っていることは元気がいいが、体力的には大したことない。

 

刈谷店は来週から新店長と新チーフになる。
バンちゃん、トミナガ君、ウシダ君。
君たちがしっかりと新しい店長とチーフを支えてください。
最強のチームになるはずです。

 

 

ほとんど一日中「雨」にもかかわらず、
刈谷店でも3台のクリスタルキーパーが施工されていた。
全国からの日報によると、
全国的な雨の中、多分40台くらいのクリスタルキーパーが施工されたようだ。
「守る」のが役割のコーティングは
雨はあまり関係ないことを実証しているかのようで、
世の中、ボーナスが出揃っていよいよクリスタルキーパーが爆発するのか。

 

 

大府店でもクリスタルキーパーが複数台施工中だったが、
新卒で入社の小森君が技術認定1級の検定を今日は受けると言っていた。
結果が楽しみである。
それにしても、
「今日は白黒で撮るから渋い顔をしてくれよ。」と言うのに、
上谷チーフは、どうしても面白モードから抜け出せない。
こいつ、いい奴だがアホチンである。

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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