谷 好通コラム

2011年09月18日(日曜日)

2870.いらぬ概念を吹き飛ばした人たち

今年の第8回キーパー選手権は、
京都の専門店K’zCorporation @AQUAさんが、
総合で優勝(607ポイント)しました。
同じく専門店であるキーパーラボ各店舗すべてを大きく離しての圧倒的優勝でした。
(専門店トップK’zCorporation @AQUAさんについては、別スタンスでまた報告します)

 

一方全国のガソリンスタンドさんでは
福島県の㈲江戸屋燃料店・会津坂下西SSさんが第一位で、
総合では二位でしたが、@AQUAさんと同様、
全キーパーラボをも越しての圧倒的な実績を上げられました。
そのいきさつは前話にあるとおりです。

 

ここで一つ、思い出していただきたいことがあります。

 

今年全国SS第1位(478ポイント)の
㈲江戸屋燃料店「会津坂下西SS」は、
人口1万8千人の「福島県・会津坂下」にあります。

 

今年の全国SS第3位(406ポイント)、
昨年の全国SS第4位の
㈱誉田「川俣バイパスSS」は、
人口1万8千人の「福島県・川俣町」にあります。
しかも、この小さな町の中で、
㈱誉田さんは「川俣駅前給油所」が東北16位(166ポイント)に入っており、
両方合わせると572ポイントという驚異的な数字になります。

 

昨年全国SS第3位の㈲渡辺商店「Q-pit大熊」は、
人口1万2千人の「福島県・大熊町」にあります。
ここは福島第一原発にわずか2kmに位置し休業中、再開の目処は立っていません。

 

共通して言えることは、福島県にあり、
人口がわずか1万数千人のとても小さな町にあることです
これは重要なポイントになります。

 

そしていずれの店舗も
福島県のENEOS特約店である㈱倉島商店の販売店さんであり、
㈱倉島商店さんの販売店の会である「倉親会」の「マネージャー研究会」のメンバー。

 

私は㈲江戸屋燃料店「会津坂下西SS」を取材に行った翌日、
「倉親会・マネージャー研究会」の中心的存在の
㈱倉島商店・澤田課長を尋ね、色々とお話を伺いました。
そこで、面白い発見をしたのです。

 

 

前話の㈲江戸屋燃料店さんの記事の中で、
「コーティング大予約キャンペーンです。
とにかく見積りを出すことを徹底しました。」
「今経験したことのない数のコーティング施工をこなしながら、
「予約」を取り続けた。」
「話さえ出来れば予約は取れる。」
「追い上げはすごく、最低でもピュアキーパー、」
「最後のあたりはコーティング比率80%にも上がったらしい。」
などなど、
皆さんがすごく頑張った様子の言葉が並んでいました。

 

この部分だけを読んでいくと、
気合と根性で「売りに徹し」「売り切って」勝ち取った1位のように見えます。
ひょっとして「押し売り」でもしたかのように聞こえるかもしれません。

 

しかし、
会津坂下は人口わずか1万8千人の小さな町です。
このSSのガソリン販売量も決して多いほうではなく、
その少ないお客様に、
単に売りに徹し、無理に売り切ったのでは、
すぐにお客様が引いてしまって、いなくなってしまうはずです。
限られた小さなマーケットの中で
一時の利益に走り「押し売り」することは、
大切なお客様を失ってしまう致命的な自殺行為であることは当然です。

 

皆さんはもちろん、
そんな愚かなことはやっていません。
㈱誉田さんも、㈲渡辺商店さんも、同じです。

 

同じ「倉親会・マネージャー研究会」のメンバー
㈱誉田さんの川俣バイパスSSは、
1万8千人の川俣町で、
昨年、全国4位のランキングの実績を上げました。
そして今年も、全国SS3位にランキングインしており、
施工台数はむしろ今年の方が多くなっています。

 

会津坂下と同じような小さなマーケットの中で、
一時の利益に走り押し売りをしたのでは
お客様に逃げられ
このような二年連続での成功は無いはずです。
それどころか、㈱誉田さんでは、
クリスタルキーパーのリピート率が実に90%以上だと聞きました。

 

また、前話の㈲江戸屋燃料店さんの話の中には、こんな言葉もありました。

 

「今までは頼み込んで買ってもらっていたものが、
今回はお客様が本当に喜んでくれて、スタッフを褒めてくれて、
若い子たちも嬉しそうにしている。」

 

「自分達にクリスタル、ダイヤ、ピュアなどを施工させてもらったら、
その『お客様を絶対に喜ばせる自信がついた。』」

 

「洗車に来たほとんどのお客様が何らかのコーティングをして、
お客様は笑顔で帰っていく。その笑顔を見て、スタッフは、頑張ることができた」

 

そう、
お客様たちは喜んでくれているようなのです。
お客様が喜んでいるのは、自分の車がとってもキレイになったからでしょう。
若いスタッフ達の自信たっぷりの言葉で、その気になって車を任せたら、
キチンと、しかも自分の想像以上にキレイになって、
ものすごく嬉しくなって、その若いスタッフに
「すごいねー、こんなにキレイになるとは思わなかった。」と、
その技術を誉め、お礼を言ったら、
若いスタッフはものすごく嬉しくなって、余計に自信も持って、もっと頑張った。

 

そんなプラスの循環があったのでしょう。
それを実現するには、
本当にお客様を喜ばせるような商品でなければなりません。
手前味噌ではありますが、
クリスタルキーパーをはじめキーパーコーティングには、その商品力があります。
もちろん、きちんとした技術での施工が前提ですが。

 

しかし面白いと言ったのは、そういうことではありません。
やはり前話、㈲江戸屋燃料店さんの話の中にあった言葉に、

 

「本当に、すべての車に
ダイヤとクリスタルキーパーの見積もりを出させていただいたのです。
それでお客様が「引く」かと思ったら全然そうではなく、
意外と古い車でもちゃんと話を聞き、施工に繋がってくれたことが驚きでした。
お客様の反応は、我々の常識で判断してはいけない。
みんなが得た新しい発見です。
たとえボロな車でも、洗車をしてくれるお客様は車をキレイにして欲しいお客様です。
手洗いも洗車機のお客様も今まで洗車したことのないお客様だって、
たまたま立ち寄った県外ナンバーだって関係ありません。
こちらの概念で決めてはダメです。
『えっ、この車にクリスタルキーパー?』というようなことも多かったのです。」

 

ガソリン60klのお客様(80%が固定の掛売り客) に、
「古い車に乗っている人はダメ」とか
「カーディーラーさんでコーティングをやってある車はパス」とか、
「この人は洗車を自分でやっているから」とか、
「オイル交換すらさせてもらったことが無い人だから」とか、
「車がへこんでいるからパス」とか、「県外ナンバーだからダメだろう」とか、
そんなことを言っていたら、
とてもとても今回のような記録は出なかったでしょう。
何せ絶対数があまりにも少ないのですから。

 

どんな相手でも、
車がキレイになって嬉しくない人なんて居ないのです。
こちらが勝手な概念で、「あの人は・・・だからダメ。」は、
絶対に間違っているのです。

 

そうは言っても、
予約キャンペーンなどを行なうと、
まず、店をひいきにして下さっている喋りやすいお客様から始まって、
できるだけ楽に予約が取れそうな車とお客様を選んでトライするものです。
新米の保険屋さんが、
まず親類の家に頼み込むのと同じです。
商品力が無い商品のキャンペーンの場合とか、
洗車前売り券の販売が洗車キャンペーンの場合がそうだったように。

 

ここの部分を何とかして克服するのに、
実に面白い手法がとられました。
ここが面白いところです、

 

8月のキーパー選手権に先立つこと3ヶ月の5月に、
倉島グループ内の洗車キャンペーンがありました。
予約の重要性を教えることと、技術の習得、
そしてお客様の喜ぶ様子を経験させることで商品に対する自信を持たせること。
これを目的にキーパー選手権本番の前に、ミニキャンペーンでやったのです。
とは言ってもこれはこれでこの店の新記録を作ったのですが。

 

しかし、それより肝心なことは、
このミニキャンペーンで、
予約を取りやすい人をすべてコーティング施工してしまい、
7月月末三日間の「カキ氷、大予約キャンペーン」では、
『その他の人』ばかりに、
本番の予約キャンペーンをやらざるを得なくさせたことです。
これで、
「楽な人から予約を取っていく。という逃げ道を断たれた。」わけです。
こうなると、もう、
自分が持っているお客様に対する概念など吹き飛ばして
どんなお客様にでも、見境なしにトライせざるを得なくなった状況になった。
しかも、そのタイミングで
Q-pit大熊の鈴木店長や、㈱誉田の三浦店長など、
その店のお客様をまったく知らない、つまり概念がない、
しかも予約獲得に長けた強力なスタッフを投入して、
みんなが「あの人はコーティングなんて絶対やってくれない」と思っていた人に、
助っ人が、どんどん予約を獲得する姿を見せた。

 

そうなれば、その店のスタッフたちも
「あの人はダメだから・・」なんて言っていられない。

 

誰にでもトライしてみたら、
意外とみんな話を聞いてくれて、
意外とたくさんの人が施工をさせてくれて、
ものすごく喜んでくれて、スタッフも嬉しくなった。

 

スタッフの頭の中にあったしっつこい「概念」が吹き飛んだ一瞬です。

 

ここまでの仕掛けは、かなり私の想像も入っていますが、
大筋では間違っていないと思います。

 

人口1万8千人の町で、
ガソリン出荷量60kl、80%が固定客の
㈲江戸屋燃料店・会津坂下西SSが、
全国SS1位を獲得した奇跡(あえて言います)は、
実に、
『概念が吹き飛んで、誰でも車をきれいにしたいことに気が着いた。』
ここにポイントがあったのではないでしょうか。
だから、
同じように人口が1万数千人の町で
全国ランクの㈱誉田・川俣バイパスSS、川俣駅前SSやQ-pit大熊など
とんでもない実績を上げてくるのは、
「誰でも、車をきれいに、その価値があれば何万円も出してでも、キレイにしたい。」
このことに、概念を吹き飛ばして気が付いている人達だからなのではないでしょうか。

 

概念とか、思い込みとは、実にしつこいもので、
分かっていても簡単に克服できるものではないようです。
しかし私が野菜嫌いであるのと同じ程度に、大した根拠があるわけではなく、
何かのきっかけで吹っ飛んでしまうものです。

 

しかしそれがやっぱりしつこいのですね。
私達のキーパーラボでも、
要らぬ概念の呪縛からなかなか開放されない者もいます。
それが実績の差となって突きつけられて、やっと気が付くものです。

 

自分の概念から解放されるには、
お客様のことを一心不乱に見て、考えることです。
真実は自分自身の中にではなく、相手の気持ちの中にあります。
少なくとも商売についてはそうです。
お客様のことをいつも考えていると、
自分の中にある自分に勝手な概念は消えていくものだと思います。

 

お客様相手のビジネスで成功している会社は、
一様にお客様のことを考えることができる会社であり、
そういう社風を備えている会社であると思っています。

 

先日、福島でお話をしていただいた㈱倉島商店・澤田課長は、
私と話しをしている間、ずっとお客様のことを話していました。
なるほどな、と思うと同時に、
「倉親会・マネージャー研究会」が
お互い強力なライバルであると同時に仲間であること、
そしてそのレベルが、全国ランキングを常に輩出するだけの
恐ろしく高いレベルであることを納得しました。

 

 

澤田さんが全部ご自分で造ったものだそうです。

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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