谷 好通コラム

2012年01月18日(水曜日)

2957.あの「モヒカン」に乗りたい

先日、沖縄へ取材に行った帰りの那覇空港で、
思いもよらぬものを見た。
モヒカン塗装の全日空B-767-300。
「ANA B-767-300」ではなく、「全日空B-767-300」なのです。

 

何年前だったのか、多分十数年以上前か、もっと前か、
全日本空輸株式会社、略して全日空が、ANAとしてCIを行った。
ANAとはAll Nippon Airways Co., Ltdの頭文字だ。
CIの最初の頃はANAを「ア・ナ」と読んでいたが、
ア・ナは「穴」に通じて印象が悪いと「エー・エヌ・エー」と呼ぶようになった。
ANAとしてCIを行なった時に、
飛行機の機体塗装も、それまでの水色と白のモヒカンカラーから、
シャープな濃紺と白のウェッジカラーに変身したのである。

 

ANAカラーのB767-300ER

 

一番新しいB777-300ER

 

(現在、習熟訓練中のB787がもうすぐ就航すれば、B787がANAの最新機種になる)

 

私が全国を飛び回っていた最初の頃は、
全日空はすべてモヒカンカラーであった。
あのころ、名古屋空港(現・県営小牧空港)は、狭く、
発着便数が多く出来なかったので、
名古屋空港は中型のB767-200またはB767-300がほとんどであった。
だから、私はモヒカンカラーのB767にはよく乗った。

 

当時全日空で一番大型であった機体は、ロッキードL1011トライスターであり、
その輸入利権に絡まり、かの田中角栄首相が現役首相のまま逮捕された。
しかしそんなことは、乗客である私は関係なく、
最新のターボファンエンジンを三発積んだL1011に乗りたくて仕方なかったが、
現役を退く前の最後の最後、羽田→秋田の便に乗ることが出来て、
その独特の乗り心地(本当に独特であったのだ)に、感動したものだった。

 

これが全日空のモヒカンの最高峰? ロッキードL1011(テンイレブンと読む)。

 

あのころは、
出張も時間の余裕だらけで(仕事が少なかったから)、
ある意味、優雅なものであった。

 

沖縄・那覇空港で、
1機だけ作られたというモヒカンカラーのB767-300を見つけた時、
待合室で思わず
「エーーーッ! モヒカンだっ! エーーなんでーーっ!」
と大声を出してしまった私を回りの人たちはけげんそうに見て、離れた。

 

インターネットで見たら、「20年ぶりのモヒカンカラー」だそうだ。
昔、B747-SRがクジラのカラーに塗られて話題になったが、
その後、たくさんの機体が子供受けする「ポケモン」とかの漫画だらけになって、
飛行機好きとしては嫌で悲しかったが、
20年ぶりのモヒカンカラーは、涙が出そうになるくらい嬉しかった。

 

なぜ、今、モヒカンカラーなんだろう。
厳しい状況が続く今の日本、
高度成長期の空を飛び回っていたモヒカンカラーの復活は、
あの頃を懐かしむオジサンのノルタルジーなのか、
みんなもっと元気を出そう。という激なのか。

 

私にとって、あのモヒカンは若い頃の自分に会ったようだった。

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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