谷 好通コラム

2012年03月02日(金曜日)

2988.H.オサムの「宇宙に行きたい」に、反論。

先日、H.オサムが、カーボンナノチューブの宇宙エレベーターが出来たら、
ぜひ宇宙に行って見たいと夢を書いていた。
http://www.keeperlabo.jp/blog/index.php?date=2012-02-29

 

夢は持っていなければならない。
男たるもの夢を語るロマンをいつまでも持つべきだ。

 

・・・
・・・・・
と、言いながら、

 

まず、その夢を木っ端微塵に壊してみよう。

 

 

カーボンナノチューブによる宇宙エレベーターでは、
論理的に「静止軌道」にまで上がらなくてはならない。

 

地上から35,786kmの高さの静止軌道に衛星が乗ると、
地上から見て、その衛星が天空の一点に静止して見えるので
その衛星を静止衛星と呼び、その高さを静止軌道と名がついているが
もちろん静止しているわけではない。
地球の自転の角スピードと、
衛星の地球を軸とした角スピードがシンクロしているだけである。
一点に見える軌道だからそこを繋げばエレベーターで宇宙に入れるという発想だ。
静止軌道、地上35,786kmの高さ。

 

地球そのものの直径は12,756kmなので、
たとえば直径1m27cmの玉を、3m57cm離れて見るようなもので、
地球はそんなに大きくは見えない。

 

H.オサムは、
テレビでよく出るスペースシャトルから見た壮大な地球の様子をイメージして、
超巨大な地図を見ているような、
夜などは大都会の様子が灯りで宝石のように見えると想像しているのだろうが、
静止軌道上から見た地球は、
地球を両手で抱きしめられるくらいの大きさにしか見えず、
スペースシャトルから見える地球大スペクタルとはほど遠い。

 

また、カーボンナノチューブの持つ軽さと強さならば、
地上と静止軌道上の構築物をつないでも理論上は可能かもしれないが、
約一ヶ月間、重力に逆らい続けて昇り続けるためのエネルギーをどう供給するのか。
すべての高度を連続して敷設されるカーボンナノチューブに
数万、数十万とも言われる宇宙ゴミが当たればひとたまりもないだろうし、・・・
などなど実際には、
問題が山積みであり、実現はほぼ不可能視されている。

 

万が一、実現できたとしても、
長さ35,786kmのカーボンナノチューブの敷設費用とと、
まず35,786kmの軌道上に構築部を造るコストを考えれば、
宇宙旅行は決して驚くほどには安くならないだろう。

 

それに35,786kmの距離を重力に逆らって昇っていくには、
上昇スピードがハイスピードエレベーター並みであったとしても、
せいぜい時速30kmか、時速50km程度であろう。
とすると、35,786km/50km時間≒715時間、つまり約1ヶ月となるから、
一ヶ月間、エレベーターに乗って暮らすための食料と水が必要となる。
それはエレベーターに乗る人間の重量に匹敵するような重量になるだろう。
狭い空間に往復2ヶ月暮らさなければならない観光旅行は、
豪華客船ならば船内のアトラクションや数々の寄港地での観光もあるが、
エレベーターの中にずっと閉じ込められる旅では、あまりしたくない。

 

 

とか、とか、なんて
人の空想的な”夢”に、数ある懸念を並べ立てて、
そんなことは不可能であるとそしるのは、いとも簡単だ。

 

しかし、振り返ってみると、
私達のこの会社も懸念を持って見れば不可能のようなことばかりを
やってきたような気がする。
失敗も数知れずやってきた。
それによる損失は、今ある会社の微々たる蓄えの何倍、何十倍もあった。
あの数知れない失敗がなければ、この会社ももっともっと余裕があったかもしれない。
しかし、失敗を恐れず、
懸念を並べ立て始めたら何も新しい事など出来ないと、
失敗した時の痛手を省みずやってきてしまったから、
今、少しは夢が実現してきたのだと思う。

 

失敗を恐れず、懸念を振り払って、夢を持ち続けると、
叶う夢が、一つくらい出てくるのかもしれない。
そう思える人間だけが、叶えられる夢を。

 

だから、H.オサムは宇宙エレベーターに本当に乗るかもしれない。

 

 

今日も、そんな懸念だらけの夢をみんなで見始めた。

 

韓国のLee社長は、きのうの朝の地震に気付かなかったと言っていた。
たいしたものだ。

 

 

私とLee社長の間に割って入って、力んでいるのはH.オサムではないか。
どういう意味なのかな。何の意味なのかな。???

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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