谷 好通コラム

2012年05月08日(火曜日)

サービス業の特異性、その2(外食産業)

サービス業は「店舗で、店舗の設備と道具、材料を使って、
店舗のスタッフの技術と労力を使って商品を作る。」としました。

 

ならば、ラーメン屋、レストラン、ファミレスなどの外食産業も
同じではないかということになりますが、
それぞれに少し違うところがあります。

 

ファミリーレストランとか、ハンバーガー、牛丼屋さんなどは
食材が、工場で、ほとんど調理し終わった形で造られて、店舗に送られ、
店舗では電子レンジやオーブン、フライヤーなどで
解凍され、規定どおりに暖められるだけで、
その店舗の技術によって”味”や”質”が変わったりすることはほぼありません。
だから消費者は、その外食店舗のブランドで判断すれば、
ほぼ期待通りの”味”、つまり付加価値を得ることが出来るのです。

 

管理された工場生産という要素で、
“味”という付加価値が一定に保てるので、
多店舗展開、FC戦略で拡大しても消費者を大きく裏切ることはありませんが、
しかし、店舗での接客、店舗の美化、
オペレーションなどで差はかなり出ます。
いずれにしても、
工場で調理をある程度完結させて、
”味”の均質化が出来る種類の外食産業は、
店舗作り、接客、店舗運営をマニュアル化すれば、
大規模なチェーン展開がしやすいことは確かなようです。
このような形態の外食チェーン店は、広い意味で物販と同じとも言えます。
★物販業的要素8:2サービス業的要素

 

しかも、その味が、その工場の直営店やFC店においてのみ販売されるので、
時代の流れによる流通の短縮、省略という変化は無いでしょう。

 

 

それが、ラーメン屋さんになると少し違います。
ラーメンでも、工場で、麺とかスープを
一定の品質で作り出すことは出来るでしょうが、
それを電子レンジとかフライヤーでマニュアルどおりに作れば、
誰でも同じ味が作り出すことが出来るとは限りません。
店それぞれによって独特の味と工夫があって、
秘伝?の麺とスープの素を使いつつ、
店舗での麺のゆで方や、スープベースのだしの取り方など
ある程度の経験と修行が必要だと聞きます。
また、それを一定の水準で保ち続けることは大変難しいでしょう。
“人間の技術”という要素が絡んでくると、均質化が急に困難になってきます。
だから、
大規模チェーン展開は、なかなか難しいようで、
チェーン店でも数軒から数十軒規模の店舗展開をしている場合を多く見ます。
★物販行的要素3:7サービス業的要素

 

しかし最近の「来来亭」のように、
目覚しい多店舗展開を行っている会社もありますが、
ここの持っている特徴は、
店舗の”人”の意識を一つの価値観に集約しているところです。
金ピカで、ど派手な社長が、強烈な個性で”人”の意識を集め、
「人」の要素が大きいラーメンで、
定評のある”味”と、素晴らしく良い”接客”を実現し、急成長しているようです。

 

 

その点、
くるくる寿司はネタを工場で生産し、
店舗では、それを人あるいは機械が、機械的に握り、
“味”の均質化は比較的容易で、しかも、
接客、店舗オペレーションをマニュアル化できる仕組みになっているので、
大規模チェーン店が圧倒的に多い業界になっています。
★物販行的要素8:2サービス業的要素

 

反対に、
昔ながらの寿司屋さんは、
ほとんどすべてを人の手作業で造っているので、
熟練が必要であり、多店舗展開する事はもちろん、
店舗の技術を継承する事も難しく、
くるくる寿司に、寿司文化の主役を取られてしまいました。
★物販行的要素0:10サービス業的要素

 

イタリアンレストランは、
基本がパスタとソースであり、ピザであり、
これにメニューを限定すれば、
その組み合わせで多彩なメニューが揃えられるので、
“味”の工場管理、
“味”の画一化が比較的容易に出来るので大規模なチェーン店が多い業種です。
★物販行的要素8:2サービス業的要素

 

しかし、
イタリアンには一流のシェフが鍛えた腕で、
その店独特の味をこだわって造る店も多く、両極端のようです。
★物販行的要素1:9サービス業的要素

 

フレンチはさすがにチェーン店はありません。
料理の種類があまりにも多すぎて味の均質化などとても出来ず、
一軒、一軒、独自のシェフが、その店独特の味を競っています。
そしてお客様の好みが、
その店の味と店の雰囲気に合えば、
その人は、ずっとその店に通うことになります。
フレンチは完全なサービス業でしょう。
★物販行的要素0:10サービス業的要素

 

人の要素が小さく、工場生産での味の均質化が容易な外食産業ほど、
「物販」の性格が強く、大規模なチェーン展開がしやすい業種のようです。
反対に、人の技量の要素が大きなスタイルの外食ほど、
“店舗で味が作られる”ので「サービス業」の性格に近くなり、
味と店舗の均質化が難しいので、大チェーン店には出来にくい業種のようです。

 

 

話はあちらこちらに飛びましたが、
それでは、キーパーラボや、
キーパープロショップさん
専門店化したあるいはコーティング技術に特化した施工店さんなど、
洗車とコーティングを提供する業種は、
外食産業にたとえれば、何になるのでしょうか。

 

今、私は、それがカレー屋さんではないかと思っています。

 

全国ネットのカレー屋CoCo一番屋さんが、
何年か前に、300店舗から数年で一挙に1,300店舗に急拡大した時、
店舗でのホスピタリティの品質が一定に保てず、
短期間に300店舗を閉店させたという話を聞いたことがあります。
それがあったからこそ今の成功があるのだと。

 

つい最近、この話を聞いて、
ますます我々の洗車・コーティングのビジネスに似ていると思いました。

 

 

この話は、また明日
「サービス業特異性、その3(カレーと洗車・コーティング)」で書きます。

 

 

三日間休暇をとって、グァムに行ってきました。
素晴らしい夕日でした。

 

 

飛行機で飛び上がると、上空には夏の積乱雲があり、
南国はすでに夏がやってきていることを思う。

 

 

下を見ると、雲からシャワーとなって落ちる雨に
強い太陽の日が当たり、
“光る虹”がまぶしいほどであった。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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