谷 好通コラム

2012年05月11日(金曜日)

セスナになりたいと、思った。

先日グァムに行った時、初めて、軽飛行機のセスナに乗りました。
グァム島一周約1時間の遊覧飛行です。

 

私は旅客機には仕事柄よく乗る方で、
1年間に少なくとも50回は乗ります。
頻繁に飛行機に乗るのは、今は、私よりも鈴置常務ですが、
昔、私が営業の現役バリバリの頃は、年間100回以上乗ったこともあります。
それほどたくさん飛行機に乗るくせに、
軽飛行機のセスナにはまだ一回も乗ったことがありません。

 

セスナは、2人乗り、4人乗りの
単発プロペラ機のだ代名詞みたいに呼ばれますが、
本当は、セスナという航空機メーカーの名前であって、
単発プロペラ機メーカー自体はものすごくたくさんあります。
構造が簡単だからでしょう。
そして、メーカーとしてのセスナは
セスナ・サイテーションという高級ビジネスジェットも造っていて、
決して単発プロペラ機専門の航空メーカーではありません。

 

でも、今回乗ったのは、
正真正銘の単発プロペラ、四人乗りのセスナ製です。

 

単発プロペラ機に乗って空を飛ぶのは、私の夢でした。
本当に眠っている時に見る夢の中に、
何度か自分がセスナに乗って空を飛ぶ自分が出てきましたが、
実際に乗ってみたら、
それはもう、
感動でした。

 

「飛ぶ」というよりも、飛翔の「翔ぶ」という感覚です。

 

鳥にたとえれば、
ツバメでもなく、鷲(わし)でもなく、
白鳥でもなく、
雁(がん)でもなく、
鵜(う)でもなく、ひばりでもなく、
あえて言えば「伝書バト」ですね。
いえ、
むしろ、
オオマダラ何とかいう名前の”渡り”をする”蝶”のイメージでした。

 

優雅に、一生懸命、何千キロも翔ぶ、たくましい蝶のようでした。
あくまでも、か弱いのに、
フラフラと空にさえ舞い上がれば、
何処へでも、何処にまででも行ける、
そんな夢みたいな存在でした。

 

しかし夢はあっという間に覚めます。
ほんのちょっとした気流の乱れでも、機体ごと大きくあおられて、
フラフラと、
狭い空間で決して居心地が良いはずがない1時間が、
現実の夢を見ているうちに、あっという間に目覚めてしまいました。
本当にあれは夢と現実が一緒くたになったような、現実の夢でした。

 

非現実的が故に、余計に、現実の夢のようでした。最高でした。

 

自分もこんなセスナのようになりたいと思いました。
何百倍、何千倍もの力のジェットエンジンを持ち、
最新の複合材とジュラルミンの頑丈な機体に、
最新鋭の電子機器を搭載して
数百人の乗客を地球裏側にまで運ぶ大型ジェット旅客機は、
飛んで、乗客を運ぶだけ。
運ぶのが仕事。
でも、あのセスナは違った。
たった二人の乗客ではあったが、
フラフラと空に舞い、
私たちに夢のような時間を作ってくれた。

 

私は、あのセスナみたいになりたいと、思った。

 

 

ブーーーと、単調なエンジンの音を立てて、
グァム国際空港から、ふわっと空に舞い上がる。
すぐに旅客機とは反対側に機種を曲げ海に出る。

 

 

そこから北上して、
なんと米空軍のアンダーソン基地が一望できる空に進入。

 

パイロットが無線で空軍基地の管制塔に
「入っていいか?」と、聞いて、
・・・・・・・
「OKが出たので入りマース。」で、入ったのだ。

 

セスナだからこそ許されるみたい。

 

 

撮った写真を拡大すると、
アメリカの超大型爆撃機B-52がずらっと並んでいる。
ベトナム戦争の頃から使われている老兵だ。

 

 

アンダーソン基地をぐるっと回り込むと、
太平洋戦争当事に使われていた旧空軍基地の跡があった。
ここからB-29が日本本土に爆撃に飛び立ったのです。

 

 

もっと回り込むと、レーダー基地が一望される。
画面右の方に真上を向いたパラボラアンテナがある。
軍事静止衛星との通信に使われているようだ。

 

 

グァム島北部は米空軍基地で占められていた。
そこから南下すると、ビーチが現れ始める。
少しほっとする。

 

 

観光ホテルのメッカ「タモン湾」を通り過ぎてしばらく、

 

「正面からスタージェットが来る。無線がそう言っている。」
とパイロットが言う。
スタージェットとはオーストラリアの格安航空会社の名前。

 

そこは一般のジェット旅客機が
グァム国際空港へ着陸のための進入のルートなのだ。

 

そこを反対の方向に飛んで進みながら
「正面からスタージェットが来る。」
とは、おだやかではない。というより恐怖だ。

 

でも、パイロットは
「大丈夫、高度が450m、向こうの方が高いから。」
というが、もちろん怖い。

 

すれ違うはずのジェット機を目を凝らすように見るが、
見えないまま過ぎてしまったようだ。
本当にドキドキだった。

 

 

ホッとしたのもつかの間、
今度は米海軍の基地だ。グァムは島全体が基地のようだった。

 

 

上空をゆっくり飛ぶと(もともとゆっくりだが)
原子力潜水艦が停泊しているのが見える。
攻撃型の原子力潜水艦のようだ。

 

 

同じような型の原子力潜水艦がもう一隻。

 

 

これで物騒な島の部分が終わって、平和なグァムに戻る。
沿岸を南下して、最南端に近い。

 

 

8年前の台風で壊滅的に壊れてしまった観光島「ココス島」の上を飛ぶ。
宿泊施設は破壊されたままだが、ビーチとしての観光は復活しているそうだ。

 

 

ココス島から北上。
島内部に入っていく。

 

 

横井庄一さんが二十年以上隠れていたジャングル。
ジャングルといっても木のないところがまだらにあって、
よくこんなところに隠れておれたものだと感心する。

 

 

道路脇に人家がまばらに続く。

 

 

「さぁ、そろそろ帰ります。」とパイロット。

 

 

低い雲の間を飛ぶ時に「ブロッケンの輪」が見えた。
太陽が反対側にあって、飛行機の影を雲に映した時、
影の周りが屈折した光で虹のような輪になる現象だ。

 

見えますか?真ん中より少し左にあります。

 

 

正面にグァム国際空港が見えてきた。
ここでパイロットが困ったように
「まいったなぁ」と言う。

 

「無線が込み合っていてなかなか割り込めない。着陸許可が取れないんだよね。」
「大体この無線が壊れていて、なかなか通じないんですよ。」
無線のボタンを何度も何度もカチカチと切り替えて、
やっと無線が通じ、
「よし、OKが出た。着陸しますっ」
またまた、ドキドキでした。

 

 

かなり斜め前から急角度で滑走路に進入する。

 

 

旅客機に乗っていたら絶対に撮れない絵だ。

 

 

あっという間にタッチダウン。

 

滑走路の黒い跡はジェット旅客機のタイヤの跡」

 

 

着陸してから何百メートルもしないうちにさっさと脇に逃げる。

 

 

セスナの基地に帰還だ。

 

 

私の目の前。
「そっちの方が景色がいいから、そっちに座ってください。」と言われて、
私はずっと操縦席に座っていたのです。
「ちょっと操縦してみますか?」と、親切に言ってくださったが、
もちろん、・・・

 

 

「SKY GUAM」のグァム島一周コースでした。
降りてから「こいつポンコツだからなぁ」とパイロットさん。
いえいえ、とても素敵なセスナでした。

 

 

主翼とエンジンがないセスナの脇を、
次のお客様を乗せて「SKY GUAM」が、また滑走路に向かいます。

 

 

その手前には、尾翼の方向舵と主翼の一部がないセスナが止まっている。

 

 

・・・・・・
エキサイティング、スリリング、かつ、ドリーミーで素敵な1時間のフライトでした。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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