谷 好通コラム

2012年05月28日(月曜日)

“長”たる者の成すべきこと

 

係長、課長、部長、社長と、”長”の肩書がつく人は、
何らかの複数の人の上に立つ立場を持った人です。
自分に任されたグループの人を率いて、任された役割を果たすのが仕事です。

 

こういう立場の人、つまり”上司”と、
そのグループを構成するいわゆる”部下”の人との関係は、
いろいろたくさんの要素があるでしょうが、
上司の仕事とは「部下を成功させること」に尽きるのではないかと思います。

 

少なくとも、上司とは部下に威張ることが仕事ではなく、
横暴であったり、部下に服従を求めることでもないでしょう。
ましてや、やるべき仕事を部下に押し付けて、
自分は楽をするのが上司の仕事なんかではありません。

 

上司とは、そのグループの中で一番能力が高いので”長”になったのですから、
そのグループに与えられた役割を果たすために、
一番たくさん働くのが当たり前なのです。

 

仕事で成果を挙げるには能力のある上司が一番働くのは当然としても、
もっと大切なのは、まだ能力が少ない部下たちに、
成果が出せるだけの能力を身に付けられるようにしていくことでしょう。

 

部下に能力を身に付けさせるには、
山本五十六の名言にあるように、
「やって見せて、言って聞かせ、やらせてみて、褒めてやらねば・・」
と、これに尽きると思います。

 

「やって見せ」とは、
上司たるものが範を示すことであって、
普段の仕事で上司が、
やるべき事を、やるべき方法で、やって見せ続ければいい訳です。
でも実際には、これに反して、
部下にはキチンとやるように指示をしても、
上司である自分は、やらないことが多いものです。
「ルールは上から破られていく。」という言葉がありますが、
部下である人は守らなくてはならないが、
上司である自分は守らなくてもいい。なんてルールも、仕事も絶対ない訳で、
「やって見せ、」は、「やり続けて見せる。」とも言えるのかもしれません。

 

特に“社長”は叱られる人がいないので、どうもこの辺が、
私のようにいい加減でいけません。

 

 

「言って聞かせ、」は、
“なぜ”この仕事をこのようにやるのか、どうやるのかを
言って聞かせる訳ですが、この「なぜ」の部分が非常に大事です。
ここの部分を面倒がって
「部下は上司の言うことを聞いていればいいんだ。」と、
命令しているだけでは、まったく「言って聞かせ、」になりません。
一つ一つの仕事や行動にはちゃんと理由があって、
部下はそこを理解することで、ぐんと能力が上がることになります。

 

そして「やらせてみて」となる訳ですが、
ここが一番大切な部分でしょう。
この次には「褒めてやる」と続くわけですから、
「やらせてみて、成功させる」ことが必須条件になってくる訳です。

 

成功させるには、
やって見せ続けることも、“なぜ”を言って聞かせることも必要です。
しかしそれでもなお、部下に成功させるのは非常に難しいことです。
理屈をいくら並べ立てても、
ましてや、やる気にさせれば、と思って、
檄を飛ばしたり励ましたりしても、必ずしも成功するとは限りません。
本人は一生懸命で精一杯やっているつもりでも、成功するとは限りません。
必要なのは、頑張っても中々うまく行かない時、
それがなぜうまく行かないのか、その要因を見つけてあげて、
どうすればそれが解決するのかを、
的確かつ具体的に指示してあげることではないでしょうか。

 

成功するために必要な知識と技術などの能力を身に付けているはずなのに、
どうしてもうまく行かない時、
うまく行かない要因と解決の方法のポイントを上司が見つけてあげることで、
成功に結びつくことはよくあります。

 

その経験が部下に自信をつけさせることになり、
その部下の実現力を大幅にアップさせることも良くあることです。
そうなってこそ、この部署全体の力が上がったと言うべきでしょう。

 

といっても、そう簡単ではありません。
一生懸命にやっているのに中々成功できない部下を見て、つい、
「あいつはダメかも知れんなぁ」と思ってしまうこともあるでしょう。
でも本当は、部下に成功する力がないのではなく、
上司に部下を成功させる力がないと思うべきなのかもしれません。

 

「やらせてみて、褒めてやらねば・・・」の
この二つの流れを作ることが一番難しいところなのでしょう。

 

この会社の中では一番の上司である我こそ、自省すべきと思っています。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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