谷 好通コラム

2012年12月08日(土曜日)

12.08.目が覚めたら1時間遅れに驚いた大物・増田君

札幌・千歳空港に向かうANAの飛行機の中。
昨日から爆弾低気圧で日本海側は暴風雪で荒れているが、
札幌の天候はそうでもないらしく、
「天候によっては引き返すかもしれない条件付」では”なく”、
普通に飛び立った。

 

ところが、開発研究所と機械課関係の3人は、
昼からの便で札幌に飛ぶはずであったが、
そのスカイマークエアラインの便が早々に欠航の案内がでてしまった。

 

午後からの便なのに、朝8時の時点で欠航を決めるとは
ANAやJALでは考えにくいことですが、
(格安航空会社)LCCでは普通のことなのです。
基本的に最小限のギリギリの機体数で運営しているLCCは、
何らかの理由でダイヤが乱れると、機体繰りにまったく余裕がありません。
だから、悪天候など何らかのリスクの可能性があれば、
早い時期にとっとと欠航を決めてしまう特徴があります。

 

LCCは普通の航空会社に比べて半分以下の料金で飛んでいるので、
利用者の方がそれくらいの不便は我慢する事になります。
LCCなら当然です。それでいいのです。

 

 

一昨日、福岡の中西部長が、
福岡⇒羽田の便で東京にやってきて、会議に出席していました。
乗ってきた飛行機は、当然、格安のスカイマークエアラインです。
彼いわく、
その日は風が大変強かったので
飛行機がすごく揺れたらしく、
その上、いったん着陸態勢で滑走路間近まで降りて来て、
着陸寸前に、エンジン全開にしてまた上昇してしまったということです。
そして上空で円を書きながら30分くらい天候の回復を待って、
もう一度着陸にチャレンジし、なんとか着陸したそうです。

 

その行為を、着陸復行「go-around(ゴーアラウンド)」と言った気がします。
着陸に際して滑走路に進入する最終段階、
視程が足らないとか、強風で機体が安定しないとかの悪条件で、
そのまま着陸するのは危険と判断した場合、
着陸寸前、
エンジンを全開にして、
高揚力装置であるフラップを引っ込め、離陸と同じように上昇する事です。

 

中西部長は”運がいい”としか言いようがありません。

 

私は1,000回以上も飛行機には乗っていますが、
ゴーアラウンドは、過去に3回経験しただけです。
DC-10に乗って沖縄で、
フォッカー50に乗って富山で、
ジャンボに乗った時、どこか外国の空港で。

 

多分、私の十分の一の回数も乗っていないであろう中西部長は、
それを早々に経験してしまったのです。
これを運がいいと言う以外なんと言いましょうか。

 

しかし、上空で旋回して待機するので、
ゴーアラウンドを行うと着陸の時刻が、確実に1時間は遅くなります。

 

その話を一緒に聞いていた開発の増田所長が、
こんなことを言っていました。
「ゴーアラウンドは、僕も一回経験があります。
だけど僕は、飛行機に乗るといつもすぐ眠ってしまうので、
一回目の着陸を始めたのも、
着陸を中止したのも、
上空を旋回していたのも、
二回目の着陸を試みたのも、まったく憶えてません。
ただ、着陸して目が覚めたら、
到着予定の時刻より1時間も遅かったので、びっくりしました。

 

ゴーアラウンドをしなければならないような時は、
気象条件が厳しい時であり、
悲鳴が起きるほど機体が激しく揺れているはずです。
しかし増田君は”大物”なので、
乱気流で機体がドンドンと揺れても、ガタガタときしんでも、
着陸寸前にエンジン全開の大きな音と共に、
機体が急上昇に転じても、
増田君は、
深い眠りの中で、まったく気が着かなかったそうです。
つまり、
増田君は”大物”であることは違いないのですが、
飛行機の中では、ただの”大きな物”のごとくだったのかもしれません。

 

 

大物と大きな物では似て非なるもの、
本来の増田君はもちろん大物なのです。

 

機中からの宇宙

 

 

千歳空港に降り立ってみてびっくり。
雪なんてほとんど有りません。拍子抜けです。

 

 

LLCのスカイマークライン機は、
空(から)では絶対に飛びませんので、昨日から千歳を動かなかったようです。
どうりで中部→千歳が、早々に欠航になったわけです。
(このあと千歳は猛吹雪になった)

 

 

ところが、千歳から札幌市内に入る頃から、
猛烈に雪が降り始めました。

 

 

雪の中に札幌のキーパープロショップさんが有りました。

 

 

札幌営業所で営業会議を行った後、工場に向かう。
雪の勢いはいよいよ激しくなり、すっかり積もっています。
そういえば、機械の開発の主人公である増田所長が連絡がつかない。
午後1時過ぎには中部空港を飛び立って千歳に着いているころだが。

 

 

結局、増田君に連絡がつかないまま、
機械の開発は順調に進んだ。
どうも、増田君は飛行機に乗ったまま、上空を飛んでいるらしい。
吹雪で千歳空港が閉鎖になっているらしいのだ。

 

 

結局、増田君は現れなかった。

 

 

開発の仕事が終わった頃。
増田君からやっと電話が入った。
やはり乗った飛行機が千歳空港に着陸できずに、
秋田と青森の上空を約2時間以上旋回していたらしい。
その挙句に中部空港に戻ったという。4時間乗り続けた飛行機で、
増田君は2時間以上は眠っていたそうだ。
やっぱり大物である。

 

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    代表取締役会長兼CEO

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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