谷 好通コラム

2012年12月26日(水曜日)

12.26.雲上の人になるべからず、雲を吹き払え

飛行機に乗ると、地上の風景を俯瞰で見るのが楽しみです。
しかし一面雲が出ていて雲海となっていると、がっかりします。
夏の雲は別です。
夏の強烈な日差しに温められた空気が上昇気流となり
巨大積乱雲になって、その立派さにはため息が出るほど見事です。

 

 

「組織」においての「雲」は、
何をおいても吹き払わなくてはなりません。
組織の雲とは、
何事かが起こった時に、
組織全体を俯瞰した時に、あるいは詳細を見た時に
視界をさえぎって見えるべきものを見えなくしている存在です。

 

組織の隅々を見るには、
現場に自身の身を持って行かねば何も見えません。
組織を構成している個々の人々が公平に置かれているのか、
それぞれが活き活きとして働けているのか、
現場に行って、現場の中に入って共に話をし、見なければ何も判りません。
あるいは、
組織が何のためにあるかを考えれば、
当然、お客様のためにあるのですから、
お客様のために組織がキチンと役に立っているのか、
お客様にキチンと必要とされているのか、現場に行かねば何も見えてきません。

 

すべての真実は現場にあると言っても過言ではないのでしょう。

 

しかしそれでも、見えないこと、聞こえてこないことがあります。
それは、自分が雲の上の人になってしまっている時です。
社員さんやアルバイトさんなど従業員さんが増えてきて、
組織が大きくなってきた時、
自分と現場の間に役職のついた人がドンドン増えて、
そういう人が自分と現場の間に「雲」のごとく入りこんで、
見えるべきものをさえぎって、本当のものが見えなくなることがあります。
それに気がついて、
自らの意をせずして雲の上に上がってしまったことを知ることがあります。

 

あるいは全体を俯瞰した時に、
全体がボヤっとして、くっきり見えなくなっていることがあります。
俯瞰する視点と下界にもやっとした雲が入り込み、
なんとなくとしか見えていないのです。

 

組織においての「雲」の存在とは、
「報告・連絡・相談」をしない存在なのでしょう。
あらゆるポジションにいる人がその存在になり得ますが、
その多くは何らかの「長」であって、
実際に動いている現場から届いてくる情報を、
自らの所で止めてしまって、その上に届くのを遮断してしまう人のことです。
言い方を変えると、
自分に近づいたものを何でも吸収してしまうブラックホールのような人です。

 

自分に都合のいいことだけを報告し、連絡し、相談するだけで、
問題を含んでいるようなことは、自分の内輪で解決すればそれで済むと考え、
お客様の本当の声や、ヒントを含んだ情報を、
あるいは問題の発生を知らせる情報を
自分のところで遮断し、吸収して、
それが問題解決や、新たな問題提起がないまま、事が済んでしまいます。
これが、事なかれ主義であり、すべての活力を削ぐ悪しき方向でしょう。
いずれのうちにはすべてが衰退します。

 

自分が雲の上の人になると、
その間に存在している人が、すべからく雲になってしまう恐れがあります。

 

自分の雲の上の人にならないことです。
雲の上の人にならず、雲を吹き払う人になるべきです。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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