谷 好通コラム

2013年02月12日(火曜日)

2.12.こめかみに銃を突きつけて、あとで「やってない、因縁だ。」

尖閣諸島周辺の海域で、
中国の軍艦が、日本の自衛艦に向けて、
ミサイル照準用のレーダー波を照射したとして問題が起きている。

 

一般的に考えると、
「レーダー波を当てたぐらいで、何を騒いでいるのか。」と考えそうだ。
民間の飛行機だって、
いつもレーダーで航路の安全を確認している。
お天気レーダーでは強力なレーダー波で常時、遥かかなたの雲まで写している。
街角や高速道路では”オービス”がレーダーで車の速度を測っている。
私達は、常日頃からレーダー波を普通に浴びていると言ってもいい。

 

なのにレーダー波を当てたぐらいで、
何を大騒ぎしているのかというと、
「照準用のレーダー波を相手に当てる」ということは、
「相手のこめかみに銃を押し付ける」のと全く同じ行為であるから、と言える。

 

ミサイルの照準レーダーは、
狙う相手を見つけて、ロックオンすると
自動的にその標的を追尾するようにできている。
こうなると、
標的はもう逃げられない。
どう逃げようとしてもレーダー波に執拗に補足され続け、
どのタイミングであれ、ミサイルがいったん発射されれば、
そのレーダー波に誘導されたミサイルを確実に自分に当てられる。

 

現代の戦闘機が出てくる映画、
たとえば、トム・クルーズの出世作「トップガン」では、
トムクルーズが乗る艦上戦闘機グラマンF14トムキャットが、
空中格闘戦の訓練で、
模擬共産軍戦闘機ノースロップF5タイガーを追い回し、
照準レーダーで「ロックオン」したら、「勝ち」であった。

 

つまり。照準レーダーでロックオンされたら、
基本的にもう逃げることは出来ず、
ミサイル発射のボタンを押されてしまえば、
確実にミサイルは自分の乗る飛行機に当たる。

 

現代の戦闘は、
先に相手にレーダー波を当て、ロックオンして、ミサイルを撃つ。
これは戦闘機だけではなく、艦船でも、戦車の闘いでも同じである。

 

先に相手に照準レーダー波を当て、ロックオンして、ミサイルを撃つ。
つまり照準レーダーのレーダー波が敵に当たれば、
当然自動的に「ロックオン」され、ミサイルが撃たれるので、
通常の戦闘では、
自らにレーダー波が当たれば、それは戦闘状態に入ったとみなして、
すぐさま、こちらも相手に照準レーダー波を当てて、
一刻も早くロックオンして、適からのミサイルがこちらに届くまでに、
こちらからもミサイルを撃って報復をする。

 

こちらに向けて打たれたミサイルから逃れる手段も無くはないが、
それは至難の業で、非常に高い確率でミサイルが当たり、破壊される。
しかし、こちらはこちらで、
一刻を争う早業で、
レーダー波照射→ロックオン→ミサイル発射をすれば、
相手を破壊して、相討ちに持ち込める。

 

この早業をどの時点でするのか、
相手のミサイルが撃たれたことを確認してからでは、遅い。
相手との距離が数Kmしかないような接近した状況では、
ミサイルが発射されてから、
ほんの十秒もかからないうちに、ミサイルはこちらに届き、爆破される。

 

照準レーダー波がこちらに照射された時点で、
報復攻撃にかからないと、間に合わないのだ。
向こうがロックオンをしたかどうかは、こちらは判らないので、
照準レーダー波がこちらに照射された時点が、最終の反撃のタイミングとなる。

 

そこで反撃しないと相手を撃破出来ず、自分だけが破壊されてしまう。

 

つまり、照準レーダー波の照射とは、
敵が拳銃を自分のこめかみに着き付けた状態と同じである。
拳銃の引き金を引かれる前に反撃しないと、確実に死ぬ。

照準レーダー波の照射とは、
拳銃をこちらに向けた時点ではない、
拳銃をこちらに向けただけでも反撃すべきなのだろうが、
こちらに向けただけなら、まだ弾が外れる可能性もある。
しかし、照準レーダー波を照射されれば、
その時点でロックオンされたと判断すべきであり、
ミサイルが外れる可能性は基本的に無い。
引き金を引きさえすれば確実に殺される状態、
つまり、こみかみに銃を押し付けられている状態なのである。

 

私はこういうことに無駄に知識が、中途半端にあるので、腹が立つ。

 

 

あの時点で、中国の軍艦は、
こちらが反撃できないことを知っていて
日本の自衛艦のこめかみに拳銃を押し付けて行った。
これは本質的には恫喝ではなく、明確な戦闘状態であろう。

 

相手がアメリカの軍艦だったら、
照準レーダーを照射された数秒後に、
アメリカ軍艦も、中国軍艦に照準レーダーを照射しロックオンして、
かなり高い確率でミサイルを打ち合っただろう。
照準レーダーを照射した時点で、戦闘状態に突入したと同義なのだ。

 

私はナショナリストでもなんでもないが、さすがに腹を据えかねている。

 

中国政府の報道官が、最初は「知らない」と言ったのは本当だったのだろう。
ここまでばかげた事を中国軍艦の誰かがしたことは報告されていなかった。
その意味を知っている者は、とても信じられなかっただろうから。

 

しかし、その事実がわかった後は、
「これは事実無根であり、中国のイメージを落とす為の日本のでっち上げ。」
として居直った。
それ以外にここまでばかげた戦闘行為を正当化できなかったのだろう。

 

中国は北京など全土に広がる深刻な大気汚染を、
「中国にある日本の会社の工場から出た排気ガスのせいだ。」
「震災で原発が止まっている日本が、石炭を発電に使うようになって、
その排気ガスが中国に流れてきて大気汚染になっている。」
中国がそんな風に報道していると、テレビのニュースが言っていた。

 

こめかみに拳銃を突きつけて、
あとで「そんなことはやってない、因縁をつけるな。」と・・・同じだな。

 

 

 

 

 

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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