谷 好通コラム

2015年05月18日(月曜日)

5.18.だからダメなんだよね。で、えげつなく速くなる。

畠中君が、昨日の日曜日、
ジェントルマン第2レースで大デッドヒートを繰り広げ、
富士のサーキット中を沸かせました。

 

土曜日の第1レースで優勝している畠中君は、
第2レースをポールポジションからのスタートです。
スタート直後、
第一コーナーでのブレーキング競争には勝ったものの、
各コーナーで追いまくられ、
とうとう最終コーナーで谷口選手にインを刺されて抜かれてしまいました。
その後は、第1レースの時のように第一コーナーでの逆転を狙って、
ブレーキングを遅らせて、インに入ろうするが、
谷口選手はインをキッチリと締めて、畠中選手にスキを与えません。
それでも畠中君は決してあきらめず、
全コースに渡って谷口選手とデッドヒートをするが、
かえってそれでタイムが落ちてしまい、
うかつにも後ろの堀選手にまで抜かれて、三位にまで下がってしまいました。
しかしそのデッドヒートは、
サーキット中に感動を与える程の激しさでした。
サーキット内の放送が、
「畠中選手がえげつないほど速くなっています。」と絶賛です。

 

畠中君は、本当に速くなっています。
しかしタイムにして1周0.5秒からせいぜい1秒だけ。
それでも、1分48秒台での0.5秒の改善は劇的です。
ベテランのセミプロ級のドライバーたちと互角に渡り合っています。

 

最終周の第1コーナーでは前の2台をまとめて食う勢いで、
車輪を半分外に出しながら強引にインに突っ込むファイティングスピリッツは、
最後まで勝利を諦めない良い根性しています。
結果として3位に終わったとしても、いいレースでした。

 

彼は、日本でも若手1.2を争う速いプロレーサー中山雄一選手から、
何度もマンツーマンの濃いレクチャーを受けています。

 

車載カメラで撮った自分のドライビングと、
若きプロ中山選手のドライビングを見比べて、
自分のドライビングの欠点を、指摘されて、納得して、
次の練習で、それを集中して直すことを繰り返します。
繰り返すと言っても、
そんなに何十回も走れるわけではないので、
数回の練習で、全力で走り、
走り終わったら、見て、素直に学習して、次に集中して修正して走ります。

 

二人がビデオを見ながら、
中山選手「畠中さんは、ここでもっと強くブレーキを踏めなくちゃ。ダメです。」
畠中君「そうか、ここがダメなんだ。」
中山選手「そうですよ。ここがダメです。」
畠中君「ここがダメなのは、俺はここで抜こうと思ってないからダメなんだ。」

 

中山選手は、
畠中君に平気でダメ出しをしています。
畠中君はそれを深刻な顔をして真剣に聞いて、
納得しながら、自分のことをダメだ、ダメだと言っています。

 

ダメだと言いながら、

 

それを何とか修正できるように、
中山選手「ここでブレーキがロックして不安定になっても、問題はありません。」
畠中君「そうか、俺は結局どうでもいいことをビビッているのなぁ」
中山選手「そうですよ。畠中さんなら絶対大丈夫ですよ。」
なんて、
畠中君は歳が半分位しかない中山選手にダメ出しされても文句を言わず、
逆におだてられたりしたら、むしろ嬉しそうな顔をしています。
素直なもんです。

 

自分の欠点を修正するには、
ほんの何回かのチャンスしかないので、
畠中君は変な自己主張している暇はありません。
信じられないほど素直に自分のことを「ダメだから‥」と自己否定しています。

 

こうやって畠中君は、
短時間で学習して、
とんでもないハイレベルの戦いの中でデッドヒートが出来るようになりました。
サーキットの場内アナウンスによると
「畠中選手は、えげつなく速くなりましたね。」だそうです。

 

畠中君は、
サーキツトで中山選手に素直になって教えてもらい、
それで自分を「ダメだ」と言って、否定し、
否定しきって、学習して、進化し、速くなりました。

 

 

これは大切なところです。
人は自分が年を取ってくると、
だんだん自分が”もうできる人”になったと思ってしまいがちです。
こうなると、何を助言されたり、注意されても、
自分を正当化するばかりで、自分を否定することが無くなってしまいます。
こうなると、もう進化できません。
何を学習することもできなくなります。
だつて、”もう自分は出来る”のですから、
学習も進化もする必要がなく、
だから、自分を否定することもないのです。

 

こうなったらもう終わりです。ただ歳を取っていくだけです。
でも、畠中君は、自分をダメだと言っていました。
だから、もっと進化できるし、もっともっと速くなるのでしょう。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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