谷 好通コラム

2015年05月27日(水曜日)

5.27.カードケースを拾い、送っていただいたことの意味

何日か前、東京から帰ってくる新幹線に中で、
いただいた名刺をいっぱい入れたカードケースをうっかり落としました。
私はそれに気が付かず、名古屋で降りてしまったのですが、
その日の夜、
隣の席に座っていた方からメールが送られてきました。

 

「突然のメールをお許し願います。
今晩、グリーン車で隣に座っていた者です。
カードケースをお席の下に落とされておりました。
お困りだと思うので、
カードケースを大府市の御社の本社まで郵送させていただきます。
数日かかると思いますが、どうぞよろしくお願いします。」

 

こんなにうれしかったことは久しぶりです。
うっかり落とした「カードケース(名刺入れ)」を拾ってくださった親切な人が、
私の手元に郵送してくれると書いていただいています。
というだけのことですが、これに多くの意味を感じたのです。

 

まず、列車の中で何か物を拾ったら、
普通、JRの拾得物係に届けるか、
「こんなのが落ちてたよ。」と車掌に渡して済ませるかでしょう。
変な責任が自分にかかってきても嫌なので、それで済ませるのが普通です。

 

しかし、そうすると、
私は、どこかのJR駅の拾得物係の所に、
それをわざわざ売け取りに行かなくてはならなくなります。
けっこう大変な手間です。
厳しいスケジュールの中で動いている私としては、
直接送っていただけると、ものすごく助かります。

 

ご自分が「送る。」のは、
この方にとっても、少なくとも、手間です。
自分の時間も少なからず使うし、労力と、神経を使うので、
ある意味では「損」です。
しかも私が悪い人間だったら何かトラブル発生の可能性もゼロではありません。
そういう意味でも、もうちょっと「損」かもしれません。

 

しかし、JR駅の拾得物係に届けてしまったら、
落とし主である私の手間がそれ以上に大きくなるので、
ご自分の少しの手間を選択されました。

 

自分の少しの手間は、それをかけなくても、
相手の人(見知らぬ人)の手間がどんなに大きくなっても、
ご自分には、何の責任もないし、
誰もその人を非難することはありません。

 

あるいは、
相手の人がどんなに困っていても、
それを助けることによって自分に少しでも損があれば、
それを助けないのが、今は”普通”です。

 

でも、この人は、
私が困るだろうと心配して
自分の手間と時間を使って
私のカードケースを送って下さいました。

 

これは重要な事です。
これが出来るということは、
ビジネスにおいて成功する要素を、
しっかりと備えているということになります。

 

ビジネスとは、
自分の手間と時間を、相手(お客様)のために使い、
それによって造られた付加価値が、
自分が使った時間、手間、材料などのコストに加え、自分の利益を足しても、
相手が払う付加価値(報酬)よりも大きければ、
そのビジネスは黒字であることになる。

 

こちらが相手に与えた価値「得」が、
こちらが使った自分のコストよりも大きければ、そのビジネスは黒字。

 

ビジネスの基本は、
自分が得る「得」の大きさよりも、
相手に与える「得」の方が、ずっと大きいことにあります。
さらに、与えるが先に来て、得るが後に来ます。
ギブ&テークであって、テーク&ギブはありません。
だから、利益が得られ、ビジネスが成立するわけです。

 

逆に言えば、
カードケースを送る手間の自分の損よりも、
カードケースを拾得物係に届けてしまった時の相手の損が大きければ、
躊躇なく自分の手間を使い、少し損することを選択したこの方は、
ビジネスの鉄則がしっかりと身に着いていらっしゃる方でしょう。
というより、
これは人間性のことかもしれません。

 

しかも、この方は、
ご自分の名前と所属と身分を名乗っていらっしゃいます。
立派な会社の責任ある立場の方のようです。
自らを堂々と名乗って、
ひょっとして発生するかもしれない間違った責任からも
まったく逃げようとしていません。
この堂々としたさわやかさに感動します。

 

ありがとうございました。

 

スタッフブログに何度か載っていますが、
最近、KeePer技研㈱内のキーパー技術コンテストをやっています。
営業とLABOのスタッフだけでなく、
デザイナーとか、管理の事務職の人とか、少なくとも、
あらゆる部門の、KeePer技研㈱の社員である人は、ほぼ出ています。

 

与えるものが得るものの先に来て、
与えるものが得るものよりもはるかに大きなものでなければならない。
ということなのでしょうか。

 

Posted   パーマリンク

ページのトップへ ページのトップへ

  • 最近の記事

  • プロフィール

    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

  • カレンダー

    2015年5月
     12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    24252627282930
    31  
  • リンク集

  • 過去の記事

  • RSS1.0

    [Login]

    (C) KeePer Giken. All rights reserved.