谷 好通コラム

2015年09月03日(木曜日)

9.03.自分の都合を優先する”豊かさ”の危機

ハングリーな時は、自分の都合などお構いなしに、
一生懸命、相手に付加価値を提供し貢献することに集中します。
それがサービスであれ、商品であれ、
与えた付加価値が大きければ大きいほど、返ってくる報酬も大きいので、
一生懸命相手のことを考えて、
相手の都合を考えて、相手のためを考えて、行動します。
そして、相手が喜び、満足することで、
自らのやりがいを得て自分も満足すると共に、
相手の喜びと満足に匹敵した大きさの報酬を得ます。
それがCSとESの同時実現によるビジネスモデルとして、
多くのお客様に支持され、この会社も発展してこれたのだと思います。

 

ところが、このビジネスモデルがリピートのお客様の積み重ねによって
効率が高くなってくると、
このビジネスに関っている者が豊かになってきます。
みんなで頑張って、高い効率を実現してきたのですから、
みんなが豊かになっていくのは、会社の目的の一つでもあるので、
喜ぶべきことではあります。

 

しかし、
豊かになって、
ハングリー精神が欠乏してくると、
人は、残念ながら、自分の都合を優先するようになることがあります。
自分を大切にすることはいいことなのでしょうが、
相手よりも自分の都合を優先させるようになると、
相手に対する自分の作りだす付加価値が低くなって、
あるいは自分勝手さを相手に不快と感じさせて、
CSとESの同時実現は成立しないようになってきます。
つまりこのビジネスモデルそのものが崩壊してしまいます。
これは決してオーバーなことではありません。
それだけCSとESの同時実現とは、
あくまでも「与えることに徹する」というデリケートさに寄っているのです。

 

貧しければ、相手への貢献に徹しますが、
豊かになると自分を優先するようになって、
相手への貢献は、
単なる”こなし仕事”として形骸化し、
その付加価値は相手から求められなくなり、不必要とされて、衰退します。
発展は一つ一つリピートの積み重ねであり毎年10%増ていどの遅いスピードですが、
衰退は、こちら側の姿勢が自分優先になって、付加価値が下がり、
相手の都合の優先度が下がったことを相手側が一斉に知るので
そのスピードは速く、一挙に衰退するのでしょう。
そういうイメージが強い危機感を持って感じられます。

 

ちょっと前に、ある機関投資家さんから教えてもらった「250人の壁」とは、
こういうことなのかと思いました。

 

社員が250人を超すと、
ハングリーから立ち上がってきた創業者がすべてを見通せなくなって、
ハングリーではない次世代の管理者が、会社全体を網羅するようにならざるを得ず
自分の都合を優先させるという非常に怖い行為を、
当然だとする社風が、一挙に出来て、
早いスピードで衰退していく。
それが250人の壁であり、衰退の構造であるのかと気が付きました。

 

会社の発展によって一人一人が豊かになって、
自分の時間も増えて、自分を優先させるようになる怖さを、
本当の恐怖、危機として感じられるのは、
ハングリー精神が未だに体の真ん中にある創業者だけなのかもしれません。
恐ろしさをひしひしと感じます。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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