谷 好通コラム

2017年01月06日(金曜日)

1.06.あんなに混んでいた大人気パン屋がガラガラに

ある所に、テレビに取り上げられ、
いろんなグルメ雑誌でも絶賛の、
大人気、大繁盛だったパン屋さんがあります。

 

いつも行列が出来ていて、
レジだけでも30分もかかるほどで、
長い時間待ったお客が文句を言うと、
若い店員さんは「順番にやっていますのでっ。」と決まり文句。
店員さん一人一人が自意識を持ってスターのようです。
あまりにもの大繁盛に自信を持ったオーナーは時の人となり、
二号店、三号店と、有名な地に出していったそうです。(詳しくは知らない)

 

たしかに私は、この店のパンがすごく美味しいと思いました。
しかし、やはりパンはパンなので、それほど沢山も食べられず、
おいしいパンだからと言ってべらぼうに高いわけもなく
おいしい割には、結果的にずいぶん安く済みます。
何度か買って家で食べましたが、
何度かだけで、食事の定番にはなっていません。
早い話が、何度か食べただけで飽きたのでしょうか。

 

何よりも、大繁盛していた時の、
店員さんの
いらっしゃいませ。
申し訳ありません。
ありがとうございました。の言葉は平坦で、ただの掛け声になっていて、
歓迎なく、感謝なく、お詫びの気持ちも感じさせることもなく機械的でした。
だから、お世辞にも好感を持つような接客ではなかったのです。
もちろん悪い子たちではなかったのでしょう。
しかしあまりにもの大混雑の中で、
わがままをいうお客を相手に、
店頭をさばいている間に、
笑顔を忘れ、お客様に対しての、
歓迎、感謝、お詫びの気持ちを見失ってしまったのではないでしょうか。

 

その上、
この大繁盛パン屋にとって不幸だったのは、
パンの生地を発酵させる酵母が、
遺伝子の組み換え科学の発達で改良されて、
店頭で簡単に生地の発酵ができるようになって、
焼き立てパン工房が日本国中に乱立したことです。
そんな店では、
焼きたてパンが簡単に造れるようにはなったのですが、
技術は幼く、セントラルキッチンとマニュアルだけで造るので
確かに焼き立てではあっても、そこそこの味で、
決して「おいしいっ!」ではありません。
すぐに飽きてしまい、そんな店はそれほど繁盛しません。
先に書いた大繁盛だったパン屋さんに不幸だったのは、
多くの消費者が、
おいしくないパンで、パンそのものに飽きたてしまったことです。
パンに対する意欲が、
そのたいして美味しくないパンのせいで、
パンそのものからなくなってしまったのです。

 

それに加えて、好感の持てない大繁盛店の接客が、
その大繁盛だったパン屋さんを一気にヒマなパン屋にしてしまったのです。

 

私の勝手な想像です。

 

でも、そんな想像をするにあたって、本気で寒気がしました。

 

私たちのキーパーラボは、新店を出した当初、なかなかお客様が来ず、
少ないお客様のリピートが積み重なっていって、
二年目のジャンプを経て、
やっと「らしい」店舗になる過程があり、
その暇な日が続くヒマな1年目の過程で、ポスティングを地道に続け、
少ないお客様を、本気で心から歓迎し、感謝する経験をします。
その経験が、ある程度店舗が繁盛してきても、
お客様に対する歓迎と感謝の気持ちを持ち続けられる動機になっています。
大切な時期です。
しかし、新店を多数出しているうちに、
その文化が薄くなってきていることも感じます。
新店が最初からある程度のお客様が来るようになって、
一人のお客様が来ると嬉しくて大歓迎する機会がなくなりつつあります。

また、
どこの店だか忘れましたが、
繁盛するようになった店舗の店長が、
「出来るだけたくさんのお客様の車をキレイにして”上げたい”ので・・・・」
という言葉に非常に強い違和感を持ったことがあります。

 

恐ろしいことです。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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