谷 好通コラム

2017年03月11日(土曜日)

3.11.お金も単なる数字になると意味が無くなる。

昔々、”お給料”はみんな「現金」で渡されていました。

 

毎月、会社から受け取った現金の入った給料袋を、
子供と一緒に並んで座る奥さんに亭主が手渡すのが、
ちょっとした儀式で、
その日だけは、晩ごはんのオカズが亭主だけ一品多かったり、
お酒が一本余分についたりして、
給料日は亭主の一日天下でした。

 

亭主によっては、給料袋をそのままは渡さず、
決まった金額を抜いて取って生活費として奥さんに渡し、
残りの分は全部、自分の自由にするという豪傑もいた。

 

それが府中の「三億円強奪事件」からだっただろうか、
あれは確か東芝の従業員に支給される給料の現金が強奪された事件だった。
あれが一つのきっかけになって
給料日に多量の現金が運ばれることが危険の元でありって
これを全部、銀行振り込みにすれば現金輸送が不要になって安全であり、
従業員さんも会社から家庭に現金を運ぶ危険が無くなる。
それに経理担当部署の大幅に手間が減って、
つまり楽になるので人件費の削減=合理化にもなるということで
長く現金支給が当たり前だった給料も、
「銀行振り込み」に変わっていった。

 

給料はいったん口座に全額入金され、
それを”奥さんが引き出す”というスタイルが当たり前になった。
亭主の働いている時間にしか銀行は開いていなかったので仕方なかった。
あれから、
亭主が奥さんに現金の入った給料袋をに渡すプチ儀式は無くなった。
だから、当然、亭主だけオカズが一品多くて、
お酒が1本余分出る特典もなくなった。亭主の一日天下は消滅したのだ。

 

それよりも、いったん銀行の預金口座入ってしまった給料は、
銀行が開いている時間に銀行に行ける奥さんが銀行印やカードを持ち、
結果的に奥さんが自由にお金を出し入れできることになって、
奥さんがその家庭のお金についての”イニシアティブ”を完全に取り,
亭主が働いて稼いだお金はすべて奥さんの手に握られたのだ。

 

そして、なんと!
亭主は奥さんからお小遣いを支給されるようになったのだ。
古い私には信じられないのだが、多くの亭主がそのようだ。

 

何が変わったのか。
昔に比べて、女性の社会的な地位が上がり、
あらゆることについて男女平等が根付いたということなのかもしれません。
しかし、表現ははなはだ不適切であり、
まれなケースではありますが
奥さんに働かされ、餌を与えられ、飼われているように見える亭主もいます。
私の偏見かもしれませんが、
そういう亭主は、あまり出世しないような印象があります。

 

それはともかくとして、
現金が入った給料袋には何かしらの威厳があったような気がします。

 

お金が銀行口座に入ってしまうと、
ともすると現金が、ただの数字になってしまう変な錯覚の現象があります。
たとえば、①10000000円と、②100000000円では、
どちらがどれだけ多いか判りますか?

 

パッと見ただけでは判りにくいですね。
では、桁区切り点(,)をつけて見ましょう。
① 10,000,000円と、②100,000,000円
大きな金額を見慣れている仕事をしている人はすぐに判りますが、
普段こういう数字を見ていない人は、パッとは判りません。
一、十、百、千、万、十万、百万、千万、億、と、
桁を一つ一つ数えて初めてわかるでしょう
漢字で書けば、
① 一千万円と、②一億円です。
なんと②は十倍もあったわけですね。

 

一千万円と一億円は大違いです。
一千万円も大金ですが、ちょっとした高級車が買えますが、それまで。
しかし
一億円あれば、立派な家が買えるどころか、
普通のサラリーマンの生涯年収に匹敵して、
普通に暮らせば、一生遊んで生活できます。
そんな遊んで暮らす一生なんて、誰からも必要とされない寂しい一生ですが。

 

一万円の札束にするともっと判ります。
一千万円は高さ10cmの札束一個ですが、
一億円はそれが10個なので、積み重ねると高さ1メートルの札束になります。
パッと見て、一目でどちらがどれくらい多いのか判ります。
しかし
① 10000000円と②100000000円とは大違いです。
まったく実感として判りません。

 

例えば、
経営の月次結果を見る時など、
売上5,000,000と数字だけ見れば、
前月比○○%とか、
予算比○○%で達成したのかどうかぐらいにしか、見えませんが、
その売り上げは、
誰が、どんなお客様と、どんなふうに話して
誰が、どんな車を、どんな思いで、どんなふう洗って、
或いはコーティングして、どんな仕上がりになって、
お客様がどんなふうに喜んでくれたのか、あるいは驚いたか、
それを見たスタッフがどんなに嬉しかったか、

 

5,000,000円の金額を作り上げた背景には、
こんなドラマが何百回、何百台分も重なって作り上げられた金額です。
それを感じかどうかは、
数字を見ているだけでは、絶対に判りません。

 

現場に行って、
車を見、従業員を見て、話して、お客様とその車を見て、
素晴らしくきれいに仕上がった車を見て感動し、
お客様が喜び、驚く姿を見て、
それにスタッフがどれくらい嬉しいのか、それを見て、感じて、
それが何百台も重なってできたことを感じて、
初めて
その5,000,000円の意味が解るものです。

 

5,000,000円の数字だけを見ても。ただ五百万円であることが判るだけです。
そこが事業のポイントだと思います。

 

経営者は、”数字”に対してクールになって、
客観的に見て的確に把握し、
慎重かつ大胆に判断し、素早く行動する必要もありますが、
その数字がどういう意味を持っているのかを忘れると、
事業がただの金儲けになって、
たいていの場合、失敗します。
そんなのをいっぱい見てきました。
自省しなければなりません。

 

暖かくなって、近くの梅畑の花が一斉に咲いています。

 

 

固定資産税対策の梅畑の割にはよく手入れがされていて立派です。

 

 

これは何の花でしょうか。

 

 

高くのSSのセルフ連続洗車機に洗車待ちの列ができていました。いよいよ春と本番です。

 

 

LABO大府店には十台くらいのお車が入っていました。すごいことになりそうです。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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