谷 好通コラム

2017年05月10日(水曜日)

5.10.参考出席者だらけの役員会

今日はKeePer技研株式会社の「役員会」でした。
通常、役員会には代表取締役、常務取締役、取締役、
これにプラス執行役、監査等役員で開かれるものですが、
これだと実際にこの会社を動かし、
社会に対して価値を提供している者、
つまり会社の本体であり頭脳と精神である現場に関わる者が少な過ぎて、
役員会が、数字の”追認”と議決の為だけのセレモニーの会になりがちであった。
これでは、
ほんの一部の者だけしか肝心な議論が出来ない偏った会になります。

 

だから思い切って、LABO、企画のマネージャー、営業の所長など、
建設的な意見を述べられる者を10名近く「参考出席者」として加えて、
拡大役員会の形で役員会を開きました。
そうしたら、驚いたことに、
参考出席者たちの「なるほど」と思わされる意見がいっぱい出て、
議論が白熱し、近来稀に見る充実した役員会になりました。

私だけが無駄に演説をするような場面もほとんどなく、
KeePerの価値とお客様のことをよく知っていて、
KeePerを実践している者は、やはり正しくKeePerの議論が出来ます。
今日は生産的な議論から導き出された結論をたくさん得ることが出来ました。

 

これこそ、社会に付加価値を提供する実践者である現場が最優先されて、
主役であり主人公であるKeePer技研株式会社の価値が発揮された
意味のある役員会なのでしょう。
六月に決算を迎える来期は、
この会社が、もっと価値を発揮する
名実共に現場が活きた活力あふれる会社になれるかもしれません。

 

私はこの役員会で
私が思い描いていたこの会社の遠い未来、身近な未来を、
はじめて夢と共に話をしました。
その意味が理解できたのは現場に関わる役員と参考出席者だけでしょう。
というより、初めて、理解された手ごたえを感じたのです。

 

この会社は、私が想像する以上に成長して、
世の中のために役に立ち、世の中から必要とされる会社になるかもしれません。
真剣にそう思いました。

 

 

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2017年05月10日(水曜日)

5.10.日刊工業新聞「不撓不屈」(2017年4月25日~28日掲載 4話)

先日、日刊工業新聞さんより取材の申し入れがあり、インタビューを受けました。
その記事が「不撓不屈」という題名で、
4日間の連載で日刊工業新聞に載ったので、ほぼそのまま掲載します。

 

 

第一話、全国展開実現、錦を飾る(名証に上場) 4月25日
2016年3月31日。KeePer技研社長の谷好通は、
名古屋証券取引所で満面の笑みを浮かべていた。
この日、名証市場第1部に株式を上場し、セレモニーが開かれたのだ。
15年2月に東京証券取引所のマザーズ市場への上場を果たし、
1年後の16年3月には東証市場第1部にくら替え上場した直後の名証への上場。
客観的にみればインパクトは小さいようにも感じる。
父の喜ぶ姿
「名証に上場できたことが名誉であり、うれしく思っています」。
谷が発したこの言葉に込めた思いを深く理解するには、
時計の針を30年近く戻さねばならない。
カーコーティングや洗車を手がけるKeePer技研の創業者である谷は、
ガソリンスタンド(GS)の経営で独立して数年が経過していた1989年に、
今は亡き父から自慢話を聞かされる。父が役員を務める会社が名証に上場したのだ。
「独立したからには、いつかはそういうことをしてみたい」。
谷は自慢する父のうれしそうな表情、喜んでいる姿を鮮明に覚えている。
そしてこの時、あこがれが脳裏に焼き付く。谷にとって名証は特別な存在になっていた。
地元に株主を
もちろん、遠い日のあこがれだけが上場の目的ではない。
名証が毎年、吹上ホール(名古屋市千種区)で開く
IRエキスポは名証に上場する企業や証券会社がブースを構え、
一般投資家らでごった返す。その様子を目にした谷は「ぜひ参加したい」と感じた。
「やはり地元にアピールし、地元の方に個人株主になってもらいたい。
地元で生きていかなければならない」。
カーコーティングと洗車の直営店「KeePerラボ」は全国で50店舗以上を運営し、
トレーニングセンターも全国11ヵ所に構え、
カーコーティング技術認定店「KeePerプロショップ」は全国5300店舗以上に広がった。
一足飛びで事業を全国展開したゆえに、谷は地元への意識が強い。
創業までの曲折
東証1部に上場したことで、名証1部には無審査で上場できるため谷に迷いはなかった。
事業規模はこれからますます拡大する局面で、
上場で得た資金や信用も生かしながら地元での基盤固めを進める。
創業から30年で上場企業になるまで会社を引っ張ってきた谷。
だが、独立の決断に際しては、
幼い時に負ったハンディキャップと向き合わねばならなかった。

 

 

第2話、拡大途上に総量規定の壁(GS経営で独立) 4月26日
左足にハンディ
「お前は、机仕事しかできないのだから、勉強しろ!」。
KeePer技研社長の谷好通は、学生のころ父によく怒鳴られた。
なぜなら4歳の時にポリオ(小児まひ)にかかり、
左足が不自由になったからだ。今でも左足には特注の靴を履いている。
ただ、「そんなことはない」と谷は気にとめていなかった。
実際、高校時代には柔道部に所属し、
セオリーから外れた変則的な動きで対戦相手を翻弄して活躍した。
高校卒業後、大学は夜間に通い、ガソリンスタンド(GS)で働いた。
GSでは20歳で店長に起用され、大学は辞めた。
会社も移るなどして、数店舗のGSを統括する立場にもなった。
32歳。がむしゃらに働いてきた。
しかし、ふと、ある事実に気がつく。「現場を離れられない」。
体力には自信があったが、
年齢とともにハンディキャップを抱える左足が負担に感じてきた。
愛知・刈谷で開業
「こんなものはと考えていたが、サラリーマンではいつまでも現場」
ということに突きつけられた。
ハンディキャップをものともせず、実績を残してきた谷。
それでも、不自由な左足と向き合う時がきた。
独立するしかないー。谷は腹をくくった。
キャリアを重ねたGSを運営するため
1985年にKeePer技研の前身となるタニ(愛知県刈谷市)を設立し、
共同石油高津波給油所を開業した。
現場を離れられない状況を打破するために独立した谷だったが、
裏腹になにもかも自らしなければならず「余計にしんどくなった」。
会社を大きくしようと、一生懸命に働いた。
設備負担過大に
頑張りが実り、GSは成功する。勢いづいた谷は、
2店舗目の出店に乗り出すため同じ刈谷市内に約460平方㍍の土地を購入した。
だが、当時の揮発油販売業法の総量規定により、
GSの新店舗を開業するには既存店舗を閉めなければならなかった。
「なんとかなる」と高をくくっていた谷。
買った土地にGSの設備を建設し、ガソリンを販売する準備を万端にした。
それでも、ガソリン販売は認めてもらえない。
1店舗目のGSがもうかっていたので谷には土地を賃借するという発想がなく、
当然のように土地は購入。しかもGSの設備まで整えた。
「ガソリンさえ販売できれば」。谷は自信に満ちていたが、
無情にも時だけが流れる。一気に設備負担が、会社の経営にのしかかった。

 

 

第3話、施工ノウハウ・材料拡販(コーティング大好評)4月27日
洗車で集客
KeePer技研の前身会社のタニ(愛知県刈谷市)が設立した
ガソリンスタンド(GS)がガソリンの販売が許可されず、
社長の谷好通は頭を悩ませていた。
しかし、いつまでも悩んでいてもしょうがない。
そこで、谷はしかたがなく、認められていた軽油の販売と洗車を始めることにした。
「ガソリンを売っているGSと同じ洗車をしていてはダメだ」。
洗車はあくまでガソリンを入れるついでにするものだったため、
谷は洗車のみで集客できるすべを思案する。
振り返ると追い詰められたこの時期が、現在の業態のベースをつくる出発点となる。
その頃、クルマを磨くコーティングが日本に入ってきていた。
谷はそこに目を付け、横浜市にある学校に通って技術を身につけた。
ガソリンの販売ができないGSは、クルマをピカピカに磨く店舗に衣替えした。
スクール開設
それでも客足は芳しくない。「もうダメだと思った時期もあった」。
谷は歯を食いしばり、耐え続けた。10ヵ月ほど我慢していると、朗報が届く。
規制が穏和され、谷の2店舗目のGSでもガソリンが売れるようになったのだ。
ここから本領を発揮する。ガソリン販売を始めると、お客がどんどん来るようになる。
すかさず谷は洗車やコーティングを勧め、収益が拡大していった。
評判となって業界新聞に記事も掲載され、同業者が見学に来だした。
見学者は絶えず、それぞれに説明するのが大変になったため、
1週間から10日おきに無料のスクールを開くようにした。
普及活動に疑問
KeePer技研は現在、全国11ヵ所のトレーニングセンターで
技術インストラクターが年間約4万人の研修生に
カーコーティングの施行技術を伝授しているが、
そのきっかけとなるのがスクールだった。
1993年にはタニのスーパーポリマー事業部を分離して、
アイ・タック技研(刈谷市)を設立。
洗車やカーコーティングの施工、技術研修やコーティング材料の販売を推進した。
コーティング材料は市販品を工夫していたが、物足りなくなっていた。
「自分で作ろう」と思い立った谷は研究所を買収し、
特許を取得しながら品質に磨きをかけた。スクールやセミナーも奏功し、コーティング材料の販売は全国のGSに広がった。
ところが、良いものだからと普及活動に努めた谷だったがビジネス手法に
「自分がペテン師のように思えてきた」。矛盾を感じ始めた谷の心は揺れた。

 

 

第4話,感動のコーティング好循環(直営店と材料開発一体) 4月28日
ラボ」50店以上
全国のガソリンスタンド(GS)で好評を博し、
カーコーティング材料をGSに販売していたKeePer技研社長の谷好通。
営業をしなくとも、施工技術取得の希望者がスクールやセミナーに集まり、
コーティング材料がどんどん売れた。
ビジネスは順調だった。しかし、谷は自分を“ペテン師”のようだと思い始める。
人に勧めておいて、自社では大々的に展開していない。
矛盾を突きつけられた谷は、「実践しよう」と決意した。
そのための店舗として1998年に「洗車屋・快洗隊」をオープンする。
現在のカーコーティングと洗車の直営店「KeePerラボ」の始まりだ。
徐々に店舗数も増やし、今では全国50店舗以上に拡大。
当面の目標は100店舗に設定する。
技術認定制度
01年には自動車用ケミカルメーカーの独SONAX(ソナックス)と技術提携し、
コーティング材料の共同開発に乗り出す。
異なる技術と文化を持つ両社のノウハウを融合して、
コーティング材料の品質は「劇的に良くなった」という。
効力の強いコーティング材料を完成した谷が次に手をつけたのは、
コーティング材料を供給しているGSでの品質の安定化だ。
新しいコーティング材料は「効果があるから技術力がないとうまく施工できない」。
せっかくだから資格をつくろうと、07年1月にコーティング技術の認定制度と
カーコーティング技術認定店「KeePerプロショップ」を始めた。
同じ年の7月には登録店がすぐに1000店舗を超え、現在は5300店舗以上を数える。
海外・異業種照準
全国11ヵ所で施工技術の指導や営業を担うトレーニングセンター、
直営店の「KeePerラボ」、コーティング材料の開発が三位一体となって会社を強くし、
そこにGSが手がける「KeePerプロショップ」が加わって経営を支える。
この好循環を谷は大切にする。
「ここまできれいになるのという感動を与え続けられたから、ここまで来られた」。
谷はお客さんが想像以上にクルマがきれいになることに驚き、喜ぶ姿を見て実感する。
社員の定着率が高いのも、
「ありがとう」と人に感謝されることに魅力を感じる社員が多いからと信じる。
国内の新車販売台数の伸びは期待しにくいが、
クルマの保有台数や平均車齢は上昇しており、カーコーティングにはチャンスが広がる。
香港やタイでほそぼそと展開する海外市場や、
異業種へのコーティング材料の提供などやりたいことはたくさんある。
谷は断言する。「これから面白くなる」と。

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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