谷 好通コラム

2018年11月11日(日曜日)

11.11夜. きわどい競り合いの末の、負け。

#100と#1の競り合いは、
きわどい勝負で#1の負けとなり、
2018年のシリーズチャンピオンは
#100 RAYBRIC NSXの
山本尚樹と元F1チャンピオン、ジェンソン・バトンで決まりです。
#1 KeePer TOM’S LC550の平川亮とニック・キャシディは2位で、
#1は、来年、#37に戻ります。

 

それだけの事ですが、
その決戦は激しくもドラマチックな闘いでした。

 

まず、
6位からのスタート。
スタートはニック・キャシディが担当しました。
ニックはスタート直後の
まだタイヤが十分に温まりきっていない時のデッドヒートが得意で、
毎レース、スタート直後の周回で何台かを抜く離れ業を見せます。
このレースでも、スタート直後の1周目に前を行くNSXを1台抜いて、
5位で帰ってきたのです。
しかし、それからは同じポジションで周回、ニックらしくありません。
どうやら操作のどこかの具合が悪かったようです。
ピットに帰って来てから平川亮の親父に苦しげに話をしていました。

 

そのピットインは他の全車がピットインを終えた後の、
53周レースの後半、確か30周目あたりでした。
#100がピットインしたと同時に#1もピットイン。
このレースは絶対的な順位よりも、
どちらが先にゴールするかに意味があるガチンコレースだったので、
どちらかがピットインした直後にセーフティカーが入る事態になったら、
そこで勝負が決まってしまうので、
ピットインは”同”周回の同時ということは最初から決まっていました。
ほぼ同時のピットインは、真剣勝負で、
わずかにTOM’Sメカニックの方が速く、
ピットイン時は十数秒の差があったが、
ピットアウト時はほぼ同時。作戦成功であった。
がしかし、ほんのわずかの差でのピットアウト時に、
コースに出て見れば、
#100と#1の間になんと4台もの車が入ってしまい、
その差はあっという間に十数秒に広がってしまった。

 

しかし、#100が
ピットインの間に順位を抜かれた#38 ZENT LEXUSを抜こうとするが、
#38は、ガンとして抜かせまいと頑張る。
その間に後ろからは#1平川亮が迫る。
しかしまだその差は10秒ある。
#100に対する#38のブロックまがいは数周に渡って激しく行われた。
その内にふと#100は#38を抜こうとするのをあきらめたようだった。
そこからは#1が着々と#100との差を縮め、
間に入った4台のNSXとLC500も次々と抜き、
あと14周残りの時点であった8秒差を、
1周ごとにコンマ数秒縮め、
その差が1秒を切って、
#100の直後に#1が張り付き、
テールアンドノーズでのデッドヒート状態となって、
ピットの中の関係者は大騒ぎの、大盛り上がりになった。
しかし、あと5周と迫った時、
急に二台の間が狭くならなくなって、
ストレートでスリップストリームに入れず、
パッと見た目で抜けない様子に変わっていました。
ここまで追い詰めたのに、抜けない。
何とか抜いてくれ。
みんなが神にも祈らんばかりの空気の中、
最後の53周目を、
トップ#100、2位#1の順番でチェッカーを受けたのです。

 

負けました。
その差がたとえ2秒しか無かったにせよ。
全8レースのチャンピオンは#100で、来年は#1になります。
#1は負けたのでチャンピオンではなくなり、#37に戻ります。

 

帰りの車の中で考えました。
#100のジェンソン・バトンの立場になって考えたら、ふと気が付いたのです。

 

 

ピットアウト後、
#100は前に出ていた#38を抜こうと思ったのだが、
#38が前でガンとして頑張ってしまい、どうしても抜けない。
しかし、このまま#38を抜こうと頑張り続けるとタイヤが消耗してしまう。
すると、後ろから追ってくる#1といざ勝負の時に負けてしまうかもしれない。
いま大切なのは#38を抜いて2位になる事より、
それが結果的に何位であろうが、
今は#1に抜かれないこと”だけ”が肝心なのだ。
だから、
#100は#38を抜くことを放棄して、
十数秒後ろにいる#1に自分を追い詰めさせ、
#1に思いっきりタイヤを使わせておいて、
自分はその十数秒分だけ、
つまり一周1秒分遅く十数周走ってタイヤを”温存”し、
#1が追い付いて、いざデッドヒートになった時、
タイヤを使い切った#1より、
タイヤを温存した#100(自分)が勝つ。
そんな作戦を、
#38を抜けないと悟った時に、立てたのではないだろうか。
元F1チャンピオンのジェンソン・バトンである。
それ位のことは考えたのではなかっただろうか。

 

追っていた#1平川亮は、
追いつきつつある何周か、気負って、
勝てる!という確信を持ったのかもしれない。
少なくとも必死に勝とうとしていたに違いない。
それが
あと数周を残し、差1秒を切ってテールtoノーズに追いつめた時、
自分のタイヤが残っていず、ズルズルで、
前の#100が、すうっと差を少し開いた時の
彼の絶望を感じます。

 

つかんだと思った勝利がするりと手を抜け、
瞬間的に敗北を察した彼の絶望を思うと、悲しくてなりません。

 

あるいは亮の事です。
ジェンソンの作戦は、追いつめつつ悟ったのだが、
分っていても追い詰めるしかなく、
タイヤを使い過ぎることを承知しつつ、
その上で”勝負するしかない”と、果敢に挑んだのかもしれません。

 

素人の私が考えることなので、ぜんぜん的外れかもしれません。
でも、あの追い上げは、感動的でした。
あの追い上げから、
不意の負け。
悔しさと言うより、あの悲しさは、
溢れ出てくる涙を押しとどめるのが精一杯でした。

 

 

ことし一年間、
チームTOM’Sの皆さん
メカニックとエンジニアの皆さんありがとうございました。
平川亮選手、ニック・キャシディ選手、ありがとうございました。
そして、あつい応援をしてくれたたくさんの皆さん、ありがとうございました。
#1は、来年から#37に戻ってまたチャンピオンに挑戦します。

 

今日の「ツインリンクもてぎ」は、
ここ何年ぶりかの入場者数の新記録だったそうです。

 

 

今年最後の送られてきた中村カメラマンからの写真。

 

PHOTO by Yoshifumi Nakamura

 

PHOTO by Yoshifumi Nakamura

 

PHOTO by Yoshifumi Nakamura

 

果敢に#100を追い詰めテールtoノーズの#1。

 

PHOTO by Yoshifumi Nakamura

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2018年11月11日(日曜日)

11.11朝. 舘さんのレース前の予言

予選のトップは#8ARTAのNSXで、
これが、ひょっとしてポールtoウィンを果たしたとしても、
我が#1と#100が両方とも7位以下に落ちなければチャンピオンの目はない。
一方の#36auTOM’Sは予選を失敗して15位からのスタート
やはり実質上、このレースでの#1と#100の一騎打ちとなって、
どちらか上位でゴールした方がチャンピオンとなる。
ちなみに
#100は2位、#1は6位であった。しかし0.4秒の差。

 

昨日の夜、ホテルにチェックインした時、
偶然、TOM’Sの舘さんと出会って、言葉を交わしたのだが、
「今回は、どうも勝ちそうな気がする。
オートポリスと同じパターンだもの。
しかも、前回は予選で1秒以上の差があったのが、
今回は0.4秒でしょ、全然問題ないよね。勝つような気がするな~」と、

 

舘さんのレース前の予言はよく当たる。・・のです。

 

 

予選の写真が送られてきている。

 

PHOTO by Yoshifumi Nakamura

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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