谷 好通コラム

2019年05月03日(金曜日)

5.03.命令や、号令をかける空しさ

組織を動かす時、誰でもが思うのが「号令」をかけて「命令」することです。
しかしそれによって組織が意識を持って動くのかと言えばNOです。

 

組織とは、もちろん、一人一人の人間の事であって、
一人一人の人間がそれぞれに役割を振り分けられて、
一人が動くよりもはるかに大きな動きをして、はるかに大きな仕事を成す。
あるいは一人ではとぎれとぎれの動きになるが、
組織で動けば連続した動きになるので継続した仕事をすることが出来る。
ある仕事、特に大きな成果を生む仕事をするには、
組織が絶対に必要であることは当然だ。

 

しかし、それが烏合の衆であり、
一人一人の意識がばらばらであると、
どんなに大きな声で「号令」や「命令」をかけても
動きがバラバラになってしまい、
組織として力がまったく発揮されない。
その為に、
仕事が大きな成果を上げた時には大きな褒賞を用意したり、
反対に仕事の成果が小さすぎた場合、降格などの実質的な罰が与えられたり、
組織の皆がその仕事で大きな成果を上げようとする意識を作ったりする。
特に褒章はみんなのやる気をそそり、大きな効果がある。
これはこれで有効であるし、働く方も遣り甲斐が出てイイ。

 

しかし、それは大きな成果を生む為の大きな方向としての意識が造られただけ、
仕事の一つ一つの行動については、
それぞれの判断と価値観、考え方でバラバラに行われたのでは、
やはりバラバラの行動になって、有効な仕事にはならない。
それぞれが報奨欲しさにバラバラに動くとしたら、仲間割れが起きるだろう。
その一つ一つの行動について、細かくルールを作って、
みんなに明確に示して、そのルールに従って動くように、
強く「・・・をしろっ。」と命令するか、
「・・・・をしようっ。」と大きな声で号令をかけるか。

 

しかし、この命令と号令は上司が高い所から掛けるので、
下にいるみんなの頭の上を素通りして、
みんなの意識の中には入らない。
「・・・をしろっ」と言われた時だけ、みんな、「・・・をする。」だけ、
「・・・をしよう」も同じことだ。
上から頭ごなしにする命令と号令は、
みんなのその瞬間の行動を造り出すだけで、
なぜそうすべきなのかは判らないので、
「・・・をすべきだ」とも「・・・をしたい。」とも思わない。
だから、その時その命令と号令に従うだけで、
その命令と号令が無ければ別のことをする。

 

仕事とは一つ一つの行動の積み重ねであり、
特にストックビジネスである洗車・コーティングの事業は、
一人一人のお客様の、一回一回の仕事の積み重ねが物を言うので、
みんなの一つ一つの言葉と行動が、ビジネスの繁忙を決めると言ってもいい。

 

しかし、一人一人のお客様に対する一つ一つの仕事は、
その数の分だけ、条件が違っていて、
いちいちケースバイケースで対応しなければならないが、
マニュアルの中に命じられている「型」パターンでは、
ケースバイケースの対応は絶対に無理だ。

 

お客様も人、スタッフも人、
人同士の対応は、命じられた通りのパターンでは
あまりにも機械的であり、冷たく、通じない。

 

「・・・しろ。」という命令や、
「・・・しよう。」という号令では、
その事は実行されるが、
その意味や、その価値を伝えた訳ではないので、
その時と、そのケースについて、
服従の形で実行されるだけで、
それ以外の時とそれ以外のケースでは何も実行されない。
だから、ケースバイケースでの対応は出来ない。

 

きちんとその意味であり価値を伝えることによって、
それに基づいたケースバイケースの対応が出来るのだが、
それは「命令」とか「号令」では実現できない。
きちんとその意味について、きちんとその価値について
説明され、たくさんの例を用いながら、丁寧に何度も解かれなければならない。
教えられなければならない。

 

教えるには、ひたすらコミュニケーションが必要で、
コミュニケーションの一番の基本形が報・連・相。
あるいは伝えることであり、あるいは書くことだ。

 

私が命令と号令を嫌うのは、
私が人を自分の思うがままに動かしたいとは思っていず、
解かってもらいたいと思うから、
絶対に判ることが無い号令と命令を嫌うのです。
山ほどの文字と言葉が必要です。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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