谷 好通コラム

2019年08月18日(日曜日)

8.18.蒲郡竹島水族館の大ヒットはグソクムシだけではなかった。

愛知県蒲郡市の三河湾に面した観光地「竹島」に、
日本で4番目に狭いと自称する蒲郡市営の水族館「竹島水族館」があります。
お盆連休の最後の日に、とうとう休んでこの水族館に行ってきました。

 

竹島水族館は狭いだけではなく半端なく古い水族館で、
観客数もある時までは激減していて、予算もつかず、
日本国中にいっぱいある閉鎖必須の、老齢、狭小、公営水族館の一つでした。
それが、いつの事か、
どうしてなのか理由は知りませんが、
30才台前半の若い館長を起用して、
彼がこの水族館に革命を起こして、今では大繁盛水族館になっているのです。
最初に大きな話題になったのは、
深海の巨大ダンゴ虫「オオグソクムシ」を、
タッチプールで観客に触らせたことでしょう。

 

オオグソクムシは深海の生物で最近発見された生き物ではありますが、
大量に生息していて希少な生物である訳ではないのですから、
多くの人に触ってもらう企画は自然保護を無視した暴挙ではありませんが、
見た目は気持ち悪いそのものであり、
それを触らせるとは奇抜な企画ではあります。
そんな変であり奇異な話題はSNSの世界であっという間に広がって、
それまで全く無名であった竹島水族館を一躍有名にしてしまいした。

と言っても、
竹島水族館はグソクムシを触れるだけが取り柄の水族館ではなかったのです。
多くのここを見に行った観客が、
「面白い」「素晴らしい」と高評価をしたのです。
テレビにも何度か取り上げられたのかもしれません。
私の頭の中には「竹島水族館→深海の生物」の図式だけが残っていて、
いつか行きたい所の一つになっていたのです。
それで今日、お盆の連休最後の日、
どこにも連れて行ってなかった家族ととうとう竹島水族館に行ったのです。

 

竹島水族館には、23号線バイパスに乗ってどんどん南下し、
バイパスの一番南の端まで良き、そこから数kmです。
びっくりするほどの古い建物で、
「竹島水族館」と書いてあるのですぐに判ります。

 

さすがに人気水族館のお盆連休最後の日、
駐車場の空きがなかなかありません。
少し並んで大人一人500円の入場券を買い、入口へ、

 

入った途端にほとんどびっしり状態の満員です。
混んでいるとはある程度予想していましたが、まさかここまで混むとは。
中に入ってからも中々列が進みません。
みんな、展示の説明の文字を一生懸命読んでいて、進まないのです。
でも、ちょっと方角を変えたら、
びっしり状態は解消して、何とか展示を見られる状態にはなったので、
一緒に見て回りました。

 

水族館の設備としては古い方なので、
決して良い設備ではないのですが、展示の内容は素晴らしいものでした。
なによりも、生き物がみんな活き活きしていて健康に見えます。
私は専門家ではないので判りませんが、
たぶん本当に健康で幸せそうです。
丈夫でいっぱい獲れる「ウツボ」なんて、これでもかと言うほど居ます。
珍しい生き物、つまり看板となるような展示はあまりありませんし、
大迫力の回遊大水槽なんて派手な展示もありません。
つまり、展示側が自慢したくなるようなハードは全くありませんが、
観る側の目的である展示の生き物は、みんな活き活きしていて、
大合格です。
展示されている生き物たちに対する飼育スタッフ達の愛情をひしひしと感じます。

 

列がなかなか進まない原因の一つになっている「説明書き」というか、
解説員のつぶやきの様な、家族を紹介しているようなコメントが面白いので、
そう感じるのかもしれません。
また、観客からのコメントにも面白いものがありました。
そう、そのやり取りはSNSのコミュニケ―ションそのものです。

 

展示の生き物たちの学術的な価値がどうなのかは
素人の私には解りませんが、
見たことの無い種類の魚やカニがいたり、
深海の生き物であって、世界最大の甲殻類であるタカアシガニが、
最大級の大きさで”生きて”展示されていたり十分に堪能しましたが、
それ以上に、
展示側と観客側に本気でのコミュニケーションがあって、
グソクムシのタッチ展示に対する批判的なコメントも表に出して、
それに対して謙虚な展示側の意見も述べて
本音のコミュニケーションが、SNS上の世界と同時にありました。

 

竹島水族館は、SNS世代のパパとママが子供をいっぱい連れて、
展示を真剣に見ているのです。
不思議なくらい真剣に見ていました。

 

この老朽狭小公営水族館の異常なまでの人気は、
どんな経緯で任されたのか判らないが、有能な若い責任者たちが
本気で生き物たちを幸せにしようと造りだした素晴らしい展示という仕事と
説明文という自分たちからの発信を本音で語って、
それに呼応する形でいただいたコミュニケーションを大切にした。
言ってみれば「本気」と「本音」が造りだした
スーパー大盛況とでも言えるのではないだろうか。

 

 

私達のビジネスでも「本気」は、
いつも本気で車をキレイにするから、
キレイにするという作業をさせられてしている作業とは別物の、
本物のキレイを提供できるし、
お客様をいつも本音で歓迎の気持ちを持った接客応対をすると、
お客様も真剣に相談していただける。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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