谷 好通コラム

2020年10月18日(日曜日)

10.18.一人一人、あるいは家族が豊かに乗るクルマ

軽自動車に乗って一ヶ月余り
私は今、軽自動車乗り慣れて、大好きになっています。
今の軽自動車は、私が知っている昔の軽自動車とは全く変わっていて、
装備の充実ぶりからその操作感覚のレベルの高さまで普通車そのもので、
軽自動車だからとか、
コストをかけられないからという造る側の理由で
軽薄な操作感覚や、低いクォリティであることを許していない。
あらゆる品質レベルにおいて普通自動車と同じ基準で造られていると感じた。
軽自動車とはただ単にボディが小さいだけの普通自動車そのものです。

 

もう何十年も前のことかもしれませんが、
私は免許を取って直に軽自動車の陸送のアルバイトをしたことがありますし、
初めてのマイカーは2年落ちの中古軽自動車でした。
でもあれからずっと軽自動車とは縁がありませんでしたから
今の軽自動車は、あの頃の軽自動車とは全く別物で、本当に驚きました。

 

ちょっと考えるに、
昔の軽自動車はエンジンの排気量が360ccで、
車体サイズも今よりひとまわり小さく、
制限速度も普通自動車よりも少し低かったような気がします。(今も?)
車両価格は軽自動車のほうが明確に安く、
自動車税は今と同じように普通自動車よりもかなり安いが、
昔は、
軽自動車には駐車場の確保義務がなく、
確か、車検も無かったような気がする。

 

昔の軽自動車は、
今よりずっと小さく、遅く、でも圧倒的に安く、
金のかかる義務も少なく、税金も安く、
昔、軽自動車とは、取得費も維持費も圧倒的に安く乗れる「安い車」であった。
だか、昔、軽自動車に乗ることは優遇を受ける事であり
ある意味「豊かではない」ことでもあった。

 

しかし自動車社会が成長する中で、
何十年か前、交通事故死が年間一万人を超して
根本的に自動車社会の安全の見直しが必要になった時、
安全装備の為に軽自動車のサイズも大きくなって、エンジンも660ccとなり、
普通自動車並みの安全基準を満たすための「車検」が科せられて、
軽自動車は必ずしも、圧倒的には安くなくなった。
優遇が少なった結果、
軽自動車は中途半端にしか安くないので、
装備の貧弱さを我慢する理由が無くなってきたと同時に、
社会全体が豊かになり、人々も豊かになってきたので、
我慢して乗る車はだんだん受け入れられなくなってきた。

 

そんな需要の変化に対して
軽自動車はどんどん普通自動車化して、
特に電子デバイスは普通自動車と同じ装備で充実して
車両価格も普通車とほとんど変わらなくなった。
だから、現代の軽自動車とは、
ただ車体が少し小さく、駐車場確保義務がなく、自動車税が安いだけの
優遇などのメリットも少ないが、価値もほとんど変わらない
「豊かな人」も乗る貧弱さの全くない普通の車になっていると感じたのです。

 

それどころか、
軽自動車は、縦✖横だけのサイズ規制はあるが高さの規制はないので、
ハイトワゴンなる背の高いワゴンが主流になって、
かつての大衆車カローラなどの普通車よりも
はるかに大きな体積を持ったパッケージングに成功して、
家族のある家庭のマイカーの主流になっている。

 

エンジンはターボ装備も多くなっているので、
動力性能も普通車に遜色が無くなっており、
しかも、小排気量ターボ車は低燃費の世界の一つの主流であり、
時流にも合っている。

 

軽自動車を作るメーカーも、
ユーザーの好みに合わせて
一つのメーカーで何種類ものタイプの軽自動車を造って、
ユーザーは楽しく選び、迷って、豊かに買い、乗っている。
今の軽自動車は、
昔の、我慢して乗る安い車の面影はみじんもない。
一人に一台の豊かなクルマなのだ。

 

そんな軽自動車の良さを、
軽自動車を基本にして、
車幅を10cm程度拡げて、エンジンの排気量を1000cc程度にした、
ワイド版軽自動車とでもいうべきハイトタイプのコンパクトカーが売れている。
今、一番売れているクルマなのではないだろうか。

 

そういう意識で、街を走る車を見ていると、
軽自動車とハイトタイプのコンパクトカーが、半分くらいの感じがしてきた、

 

トヨタや日産など本体では軽自動車を造っていないメーカーでも、
一番売れているのはハイトタイプのコンパクトカーだと言う。

 

私たちは、軽自動車を「安くて我慢して乗る車」から、
「一人一人、あるいは一家庭が豊かに楽しく乗る車」に意識を変えないと、
今の時代を理解できないと思ったのでした。

 

私は約一か月、軽自動車に乗り続けて、
惨めさを感じたことはゼロであり、
狭さを我慢したこともなく、
電子装備の充実ぶりに今でも感心することがあります。
(ヘッドライトが自動的に遠目近目に切り替わるのにはびっくりしました。)
小回りの効くコンパクトな車体と、
軽さは最高でエコがうれしく感じます。

 

ただ、対向車が「どけっ」て感じで迫って来るのだけはちょっと嫌ですが。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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