谷 好通コラム

2022年05月16日(月曜日)

05.15.旧式戦車を最新ミサイルで狙い撃ちされる恐怖の人たち

ウクライナ侵攻に関わるニュースは毎日見るが、

その中でも、ロシア兵によるウクライナ人に対する残虐な行為は

世界中のほぼすべての人がその無残なニュースに驚き、胸を痛め、

ロシアに対する憎しみを増します。

 

ロシアの人々とは、民族としてそんなに残酷な人が多いのでしょうか。

そんなことは絶対にないはずです。

ロシア文学は素晴らしく、ロシア民謡は憂いがあって、

昔から、世界中の人々を感動させ、愛されてきたし、

ロシア料理も無駄な贅沢を捨てた素朴さで世界中の人に愛されています。

ロシア民族そのものは優れていて、

素晴らしい文化を持った、優しく家族を愛する民族です。

 

共産主義の理念も、本来は人間愛に溢れていて

マルクスの資本論などを読んでも、あくまでも理知的で

理論そのものは素晴らしい価値観を持った哲学です。

ただ実際には、共産主義による政治体制は

指導者という名で、権力が個人に集中してしまいがちな政治体制で、

ソ連のスターリンをはじめとして

ルーマニアのチャウシェスク、カンボジアのポル・ポトなど

共産主義体制の下で極端に集中して権力を持った非情な独裁者が出やすい。

 

独裁者は権力の集中を維持する為に、個人崇拝を求めるようになって、

しかし個人崇拝を受けているうちに、

自分を「神」と思い込むようになる場合があるのか。

すると、

人々を、自分と同じ人間であることを忘れてしまうのか、

信じられないような残虐さを持って大量殺戮を行うようになる場合がある。

有名なのは、

カンボジアのクメールルージュのポル・ポトが、

カンボジアの人口の20%~30%もの自国民を、

大量殺戮と飢えで殺してしまった恐怖の時代があった。

 

極端な独裁者はナチスのヒトラーの例を出すまでもなく、

自分が人間であることを忘れて残虐になるだけでなく、

共通して、

「プロパガンダという名の宣伝行為を、

「嘘」と「言論統制」をワンセットにして行う。

今のプーチンもその物なんだろう。

 

では、今のロシア兵の残虐行為はプーチンの残虐性そのものなのか。

そういう面もあるのかもしれないが、

今のロシア兵の残虐行為は、そういう事ばかりではないと思う。

 

約2か月前、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった頃の

テレビニュースのロシア軍の侵攻場面を見て私は驚いたことがある。

画面に映った「戦車」が、

もう何十年も前の前時代的な旧型ばかりで、

T-72とか、せいぜいT-80などソ連がブレジネフの頃に開発された戦車で、

その旧型戦車にとって付けたように増加装甲をベタベタにぶら下げていた。

最新のハイテク戦車T-14はほとんどいない。

(私はこんなどうでもいい事をよく知っている。)

どうもハイテク装備の為の電子部品が少なくて維持できず、

ほとんど最新T-14は稼働していないようだ。

 

それに対して、ウクライナ軍の反撃に出てくる携帯対戦車ミサイルは、

驚くほど最先端であり超高価な対戦車ミサイル「ジャベリン」や、

地対空ミサイル「スティンガー」を、惜しげもなく使っている。

 

これではまるで鉄砲と刀の戦いのようなもので、

ロシアの戦車・装甲車等は狙い撃ちで、ロシア兵の恐怖が手に取るようにわかる。

 

数ばかり多くても、旧式の兵器に乗り、

最新兵器に狙い撃ちされるおびただしい数のロシア兵たちは、

侵攻以来20,000人も亡くなっているらしい。

全兵力の1/3にも当たるロシアの兵力が損失し、

その数はウクライナ兵の何倍もの数の死者だという。

しかも、死んだロシア兵は、

ロシア兵の手で放棄されるように遺棄され、

その消息は家族にも伝えられないとニュースに書いてあった。

 

だから侵攻しているのは確かにロシア軍であり、ロシア兵なのだが、

そのことで犠牲になっているのは圧倒的にロシア兵の方が多く、

当のロシア兵にとっては自分達の方が、犠牲が多く、大きく、

兵器的に弱い立場で負けている「被害者意識のかたまり」なのではないか。

人は被害者意識が極限にまで大きくなると、残酷になれる。

残念ながら、

今回のプーチンの狂気による一番大きな被害者はロシア兵なのかもしれない。

その被害者が恐怖の極限で、

ウクライナ人に対して残虐な行為になっているのかもしれない。

だとすれば、

私はウクライナを応援する気持ちと同時に、ロシア兵を憎むことは出来ない。

彼らも、狂気の独裁者の犠牲者でしかないのだから。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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