谷 好通コラム

2002年06月27日(木曜日)

ラーメンと洗車?(訓練)その2

では、具体的に訓練をどのようにやって行った良いのか、快洗隊で行っている“訓練”を例にして、述べてみる。

 

まずは、マニュアル作りから。

 

訓練を実施するには、どう訓練するのかという“基準”がいる。
「どこを」「何を使って」「どんな順番で」「どのように」作業するのか、基準が必要である。マニュアルは出来るだけ簡単に理解できるように作ること。マニュアルは教本であるので、細部に渡って書いてあることが必要である。しかし、字数がやたらに多く、繊細なだけの記述は“正確”かもしれないが、特に若い子には理解しづらい。出来れば“写真”を多用して、肝心なこと、あるいは注意すべき点が大きな字で強調あると良い。

 

 

作業のマニュアル化による作業の平準化

 

全員が、同じマニュアル、同じ基準に従って訓練を受けることによって、社内・店内における作業の平準化を実現することが出来る。これは洗車という商品の品質の平準化につながり重要なことである。
ユーザーにとって、同じ店で、同じ洗車商品を買っても、その作業を行うスタッフによって仕上がりが違い、満足度が変わるということは、消費者にとって理不尽なことであり、容認しがたいことです。
例えるならば、そのラーメン屋の“味”が気に入って、常連として通っていた客が、たまたま、修行の足らない新人の作ったラーメン麺が茹で過ぎで伸びていた。当然スープの味は薄くなって麺の溶けた味が混じり、“まずかった”。この客は「この店の味も落ちたなぁ~」とつぶやいて、2度とこの店には来なくなるだろう。
店として、こんな恐ろしいことはない。
一生懸命にみんなで“上質な洗車”をやって、苦労して固定客をつかんでいたのに、自分流の下手な洗車をやるスタッフが一人いると、そのスタッフが洗うたびに一人ずつ客が減っていくのだ。
作業のマニュアル化による、作業の平準化、商品品質の平準化は、絶対に必要なことです。

 

 

実際の訓練の方法

 

1.やって見せながら、言って聞かせる。

 

作業マニュアルを見せながら、インストラクターの役目のスタッフが、実際に作業をやって見せる。このときに重要なのは、作業の一つ一つにきちんとした理由があることを言って聞かせること。
「作業の目的」「なぜ、この道具を使うのか」「この道具の特徴」「なぜ、作業の姿勢はこうなのか」「手の動かし方は、このようにするのだが、なぜ、こうでなければならないのか、反対にこう動かすと、こうなってしまうから、やはり、こう動かすべきなのだ」など、実際の作業を進めながら、作業に対する一つ一つの“理由”を説明していく。
誰だって理由も分からず、ああしろ、こうしろと言われても、憶える意欲が沸くものではない。きちんと作業の意味を説明し、理解させることが作業を身につけさせる第一歩である。
第一段階=“頭”で覚えさせる

 

2.作業を分解してやらせ、正確にやれるようにする

 

たとえば、室内清掃ならば、前面の内窓の拭き方、側面の内窓の拭き方、後部の内窓の拭き方など、一つ一つの作業に分解して訓練生にやらせる。
この段階では、作業のスピードではなく、正確な動作を求め、商品単位(この場合室内清掃)すべての作業がすべて正確に出来るようにする。
第2段階=“手”で覚えさせる。

 

3.タイムトライアル

 

商品単位で、連続して作業をさせ、その洗車商品のメニューに示してある作業標準時間内に、かつ正確に作業出来るようにする。
作業を進め、標準時間をオーバーしたら、その時点でストップさせ、最初からやり直しとする。あるいは、マニュアルの作業内容を間違えれば、やはり、最初からやり直す。これを快洗隊ではタイムトライアルと言っている
出来なければ何度でも繰り返すが、1日5回までを限度とする。必要以上に繰り返しても、疲労によって合格の可能性はない。この場合、次の日にまたタイムトライアルを実施することになる。
洗車・KeePreコーティング・室内清掃など洗車商品の作業標準時間は、初心者にとって、かなりきつい時間である。だから、その時間内に作業を終えようとするには、一生懸命、急いで作業することになる。しかし、急げば作業の正確さを欠くことになりかねないので、“集中して”作業することになる。
作業に集中して、それを繰り返すことによってはじめて“訓練”になる。
この段階ではじめて、作業が、技術として体の中にしみこんでいくのだ。スポーツでも何でもそうだが、一生懸命に、集中したときに身についていく。
体にしみこませた技術こそが、安定した品質を生み出すものであり、第1段階も、第2段階も、この第3段階の集中した“訓練”のためだけに行われるものである。
第3段階=“体”で覚えさせる。

 

(段階によってスクールが用意されている。)
?の「やって見せ、言って聞かせる」の段階は、“研修”である。
これは、「ワンデースクール」での午前中の座学が終わり、午後からの「実演」がこれに当たる。(“訓練”も体験的に、一部実施されている)

 

?の「正確にやらせる」の段階は、“練習”である。
これは、「総合洗車スクール」における座学後、1日半に及ぶ「実習」がこれに当たる。

 

?の「タイムトライアル」の段階になって“訓練”になる。
これは、「快洗隊の初期集中研修」において、繰り返し行われる。
訓練の段階は、教える方も、受ける方も真剣勝負であり、インストラクターも「キツイ!」と言い、しかし、一番やりがいがあるとも言っている。

 

 

訓練は、入社試験であり、宝の発掘でもある。

 

まれではあるが、第3段階の「タイムトライアル」になかなか合格しないものがいる。
なぜ合格しないかには、その原因が2種類ある。
まず、「集中できない」タイプ。
気が散って、あるいは、一生懸命になることが出来ず集中できない。この場合、残念ながら、その子には辞めてもらうことになる。車を綺麗にするということは、作業者の目で集中して確認しながら、手に神経を集中して作業することである。タイムトライアルという一種のテストにさえ集中できない子は、普段の作業の時に集中など出来るわけがなく、品質の高い洗車を作り上げることは無理である。
「君は、残念ながら“この仕事”には、向いていないようだ」と、早い段階で告げてあげる事が、お互いのためであると考えている。
もうひとつのタイプ「ドンクサイ子」
このタイプは、店の宝になる可能性がある。動きはドンクサイが、一生懸命さは人一倍というタイプ。タイムトライアルになかなか合格しないので、人の倍以上の回数をトライすることになる。その姿はもう必死である。
時には「涙を浮かべながら、一心不乱に作業をしトライしている姿は、見ているこちらが感動してしまいます。」と、インストラクターは言う。
簡単に合格してしまった子より、ウンと体の深くまで技術が染み透り、苦労して合格しただけあって、実際に店舗に出て作業をしても、実に正確かつ、まじめに作業をこなし、安定した戦力になってくれる。これぞ店の宝である。

 

※いつもスクールで、あるいは研修で、活躍している熱いインストラクターたち、仲間たち

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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