谷 好通コラム

2003年01月28日(火曜日)

631話 8年前のままで

昨晩は結局、函館に泊まった
昨日は,昼過ぎに一つだけ用件を済まして、すぐに東京に飛ぶはずであった
しかし、函館の街は
低気圧の加減で、まるで台風のように風が吹き荒れていた
飛行機に乗るのが「ちょっと怖いな」と思い
翌日の飛行機に予約を取って
函館に泊まることにしてしまった

 

札幌の高所長も函館に入っていたので
こんなことなら、函館のお得意先に挨拶をしに行けば良かったと
悔やんだが
もう夜になっていて、いまさらアポを取るのも失礼かと思い
そのまま、つかの間ではあるが臨時の休暇にしてしまった

 

函館には思い出がいっぱいある
私たちが全国に出て行き始めた頃
仙台の次に行ったのが北海道・函館であった
この函館で、北海道最初のお客様を得たのは
私が独立した時に大変お世話になった「藤本さん」からの
ご紹介である

 

もう8年も前のことだ
あの頃は、私自身も先頭に立ってツナギを着
全国を飛び回り、KeePreのデモンストレーションに明け暮れていた
その中でも、北海道、とりわけ函館は
景色がよく
美味しい物もいっぱいあって、行くのが楽しみであった

 

その頃
函館のお客様と藤本さんに連れて行ってもらったのが
居酒屋「きみよし」

 

函館駅から
正面の大通りをまっすぐ行って(左側の歩道を歩く)
200~300m
左側に「菊水小路」という細い路地がある
それを入っていって
一番奥の左側に、居酒屋「きみよし」がある

 

 

昨日の夜、その「きみよし」に久しぶりに行くことにした
この店に入るのは実に8年ぶりである

 

これまでにも何度も函館には来ているのだが
いつも「きみよし」に行けないでいた

 

日曜日の最終便で函館に入って
そのまま泊まり、朝一番函館で仕事をして、そのまま札幌に入るというコースが多く
泊まるのは
「きみよし」が定休日である「日曜日」になってしまう
今度はいつか、と思いながら
なんと8年も経ってしまった

 

そして、やっと来た
いつものパターンを崩した今回、やっと来ることが出来た

 

8年後の「きみよし」は・・・・
そのままであった
菊水小路も同じ
玄関も看板も同じ(に見えた)

 

そして店の中は、間違いなくそのまま同じであった
そのイメージから匂いまで
8年前の「きみよし」
まさに、そのままであった

 

きっと少しは変わっているのだろうが
明らかに、8年前を思い出させる一つ一つのものが確実にあった

 

そして女将さんも同じであった
お世辞抜きに、8歳年取ったとはとても思えず
女将さんは8年前そのままであった
もう一人、元気のいい相棒の人がいて
その人も8年前そのままに、元気であった

 

 

まるでタイムスリップしたようだ

 

店の中の調度品から
飾りつけ
貼ってある写真まで、8年前そのままで
その一つ一つが
8年前の輝きのまま、光っている

 

一瞬、魔法の世界にまぎれ込んでしまったような
そんな錯覚を陥るような空間であった

 

 

しかし、8年前のまま、と言うと
何の工夫もなく、何の進歩もなく
だらしなく時間を過ごした怠惰な空間と取られてしまうかもしれない

 

とんでもない!
そんなものとはまったく違う
8年前のまま“輝いている”ということなのだ
魔法のように

 

考えてみれば
あれから8年経ったわけなのだから、当然、8年分古くなっているはずだ
そして、記憶というものは
古くなればなるだけ、印象の強い部分だけが強調・増幅される

 

「きみよし」の場合であれば
“キレイに掃除が行き届いた店”そんなイメージが強かったので
“キレイ”という印象が増幅され
意識の中で美化されてきている筈である

 

それが、8年経ったあと
私に「あの時のままだ」と思わせたのは
実は
「8年前より、むしろ、キレイになっている」ということなのかもしれない

 

店の中の調度品は
本格的な“民具調の引き出し的な壁”を軸とした
しっかりとした物である

 

磨き抜かれている!
すみずみまで完璧に磨かれている
毎日、雑巾で拭き磨くのであろう
だから、8年前に見たよりも、もっともっといい色になっている

 

もちろん、店内のどこを見ても、ホコリを被った所は一つもない
チリ一つ着いていない
その存在感は圧巻である

 

8年もの間、毎日
女将さんたちの手で磨かれた「きみよし」は
私の頭の中で美化してしまっていた幻の「きみよし」と
同じになっていた
これはすごいことだと思うのだ

 

 

私はいつも
「変わらなくては」と言う
そして、「いつまでも、タラタラ同じことばっかりやってちゃダメだ」とも
毎日、頭を新鮮にして物事を見、考える
これはこれで良いことだと思っているが

 

見方を変え
「一つのものを長い時間をかけて磨き上げ、
何年経っても、より人に感動を与えるようなものに仕上げていく」
そんなことも、実に素晴らしいことだ

 

毎日磨き上げることによって
愛情が込められていき、素晴らしい味が出てくる
そんなことも、実に素晴らしいことと
そう心から思ったのだ

 

居酒屋「きみよし」

 

出していただいた“付き出し”も
“タラの三平汁”も
8年前のあの頃を沸々と思い出させてくれる味であった

 

刺身は、内地から来た人のための定番であろう
「透き通ったイカ」「噛むほどに味が出る“水ダコ”」「もっちりとしたマグロの赤身」
それから、それから
「地元ですから」と女将が出してくれる
「イカの卵」

 

 

どれもこれもが、いちいち頷かなくてはならないほど美味しい
味も、間違いなく
8年前の感動そのものである

 

変わることだけが進歩でなく
一つの事を磨き上げ、素晴らしいものを作り出すことも
立派な進歩であり
大切なことである事を思い出させてくれた

 

 

※帰りの車の中から函館の街
横殴りの雨、嵐は激しさを増していた
あわてて東京に行かなくて良かった・・・・「きみよし」にも行けたし

 

 

翌日、つまり今日の朝一番
函館から東京に飛んだ
朝の函館は嵐がやみ、遠くの山が雪を被っている様子が見て取れた

 

 

羽田空港に着陸するチョッと前
意外にも富士山が見えた!

 

 

最高!今日もいいことが絶対にあると確信した

 

今朝
函館→羽田→東京→千葉→潮来→六本木
そして、今
六本木→東京駅→名古屋
終電一本前の新幹線「のぞみ」の中で書いている
あ~あ、くたびれた

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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