谷 好通コラム

2006年04月10日(月曜日)

1378.物理的脳内法則

昨日は午前中が健康診断。
午後から「メンタルヘルスセミナー」と題したセミナーを営業社員全員で受けた。

 

これから夏・秋とすさまじいスケジュールで劇的に忙しくなり、
身も心も疲れ果てるであろうことが目に見えている。
その前に心の準備体操のつもりで気軽にこのセミナーを受けた。

 

セミナーの講師は若きドクターで、
軽妙な語り口と専門的な知識を分かりやすく説明してくれ、時折混じるジョークで、
みんな楽しくセミナーを受けることが出来た。(多分)

 

しかし、私にとってはとてもショックな話でした。
本とか文章で脳内ホルモンの仕組みは少しは知ってはいましたが、
心のことを脳内ホルモンの仕組みでクールに説明されると、
より迫真的に理解できて、
精神的な自覚としての自分が何なのか解らなくなってしまうのです。

 

自分を自分として自覚している人間とは、
外から与えられた恐怖とか辛さ、緊張が刺激となって
脳内に分泌される色々な種類のホルモンの連鎖で、
緊張が緩まない状態になってしまったり、不安から開放されなくなってしまうような、
そんな物理的な反応で自分の精神をコントロール出来なくなってしまうような、
脳とはそんな物理的なものなのか。
精神とはそんなに物理的なものなのか。

 

だから薬で治療できるという事実は一つの救いではあるが、
「我考える。ゆえに我あり。」としての自分の意味が解らなくなってしまった。
精神とはそういうものなのか。
自我とはそういうものか。
頭が混乱してくる。

 

大昔のことだが、大変ショッキングなことがあって、
あの時、自分の心が憎しみの塊になり、
頭の中が錯乱し、短時間、一時的にではあるが何も考えられなくなったことがあった。
はっきりと意識はあるのだが、ぼーっとして、
実質的に失神しているのと同じような状態だ。
そのまま、無気力の沼の中に落ち込んで行きたいような誘惑を感じながらも、
今までの正常な自分に未練があって、
よいしょって感じで、徐々にその状態から起き上がった。
一度だけだが、そんなことがあったような記憶がある。
しかし、それが何が原因でショックを受けて錯乱し、
そうなったのかはっきり原因を覚えていない。

 

あの時の脳内ホルモンは何がどのように分泌されて、
どこが狂ってそういう状態になったのか。

 

もう十年以上も思い出しもしなかったことを、
このセミナーの話を聞いて、しばらく経ったさっき、ふと思い出した。
思い出しても別に苦痛に感じる訳でもないし、
不快感を感じるわけでもないので、それが傷になっているわけではないようだが、
自分の自分に対する意識としての精神が、
ホルモンという物理的な要因によって壊され得るというということが事実ならば、
人間はとても切ない生き物であることになる。

 

私は深い愛情でいつも癒されている。
家で長々とリラックスしきっている自分を知っている。
私が心の健康を充分に得られているのは、そのおかげなのかもしれない。

 

仕事もますますシビアになってきて、忙しくもなって来ている。
精神的なストレスも半端な量でないだろう。
だから、最近、出張でホテル泊まりをするのが大嫌いになって、
とにかく、できるだけ日帰りをしようとしているのかもしれない。
札幌、九州ぐらいなら、どんな強行軍であっても
まず日帰りのスケジュールを考えるようになったのは、
私の心が癒しを渇望している証拠。
そういうことなのかもしれない。

 

心の健康には癒しとリラックスが一番の効果があるとセミナーの講師が言っていた。
そういうことなのかもしれない。

 

 

もう一つの小さな癒し。
3年ほど前に北京に行った時、
お客さんが連れて行ってくれた一流のレストランで、
北京ダックを切り分けてくれた少女。
カメラを向けたらなんとも優しい表情で笑ってくれた。

 

この笑顔を見ると何かホッとするので、
私のPCのディスクトップに、このjpg.ファイルを貼り付けている。

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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