谷 好通コラム

2010年02月23日(火曜日)

2432.車はどれもみんな大好きだ

トヨタ自動車の豊田章男社長が、アメリカで公聴会に立つ。
アメリカの公聴会は政治ショーの色合いが濃く、
質問する政治家たちの自己アピールの格好の場になっているのではと言われてきた。
トヨタ自動車の人たちにとっては、
トヨタ自動車の希望の星である豊田章男氏が、
アメリカの地でさらし者にされるようで、ハラハラしているのではないだろうか。
もちろん、問題があったから公聴会に出るのであって、
トヨタ自動車の命運をかけて社長自らがアメリカの全国民の前で正々堂々と語り、
全トヨタを救ってくれるのを大きな期待で見ているのかもしれない。

 

トヨタ車では、私は現行の「カムリ」が好きだ。
私も以前、社用車で乗っていたが、
セルシオよりも広い室内はシンプルな内装でより広々とし、
2.4リットルの直列4気筒エンジンは必要にして十分なパワーを持ち”軽い”。
フロントが軽いことは、FF車では特に軽快になるので非常に気持ちがいい。
足回りはトヨタ車の常であるように比較的やわらかく、
高速走行では直進性においてちょっと不利だが、
それも140km/h以上での問題で、
アメリカや日本のように制限速度が低い道路ではまったく問題ない。

 

普通、足回りがやわらかいとコーナーリングで腰砕けになって、
通常FF車ではフロント荷重になるブレーキングしながらのコーナーリングでは、
アンダーステアになり、ハンドルを切った分より車が回らない傾向が出るが、
カムリは車体の割りにエンジンが軽いので、
荷重が前に行っても頭がよく入って、アンダーステアをあまり感じない。
広々していて軽い。
燃費も高速道路では14km/リットルくらい伸びていた。
アメリカで一番よく売れている車だけあって、
本当に「カムリ」は名車であると私は思っている。
それが日本ではあまり売れないのは、私には理解できない。

 

逆に室内が豪華な車はどうも好きになれない。
夜になると運転席の周りが満天の星のようにインジケーターランプが輝き、
運転に集中できないし、せっかく広い室内体積を持った車でも不必要に狭く感じる。

 

トヨタ車で言えばレクサスの車がそういう傾向だが、
最近、乗る機会があったレクサスのGS350はいい車だと思った。
4.3リットルのV8エンジンが載せられる車体に、
3.5リットルのV6エンジンを載せていて、フロントが軽く、
パワーは必要以上に十分だ。
しかも足回りもしっかりしていてカーブを曲がるのがすごく楽しかった。
しかも、内装は比較的シンプルですごく好感が持てた。
高級小型車の代名詞のようなISよりも、私はGSに好感を持っている。
と言っても高い車なので「いいじゃん」で買える車ではないが。

 

トヨタ自動車は「機械屋さん」や「走り屋さん」からは不評だが、
圧倒的多数の車を生活の一部として人達からは多くの支持を得ているのは、
トヨタ自動車がたくさんの”普通の人”に支持される車造りを目指してきたからだろう。
一部のマニアックな「解っている人たち」よりも、
圧倒的多数の「普通の人たち」に解ってもらえればいいと考えたからだろう。

 

マニアックな自動車専門誌の評論家達からはまったく評価を受けないトヨタ車も、
自動車には詳しくないが生活の一部として車を楽しむ人達からは大きな支持を得て、
たくさんの人達が「買う」「使う」という行為で世界一にしてきたのだろう。

 

そんなトヨタが、人を危険に会わすような車造りをするわけがないと思う。
そう信じている。

 

私は日産車も好きだ。ホンダ車も好きだ。
三菱車は手堅くしかし意外ととんがって面白い。
スズキ車も、ダイハツ車も、スバル車も好きだ。
マツダ車の足回りは逸品だと思っている。
ドイツ車はどれも200km/hで走れるだろうし、イタリア車はハッピーだろう。
アメリカ車は多くの人が思っているよりもうんといい車が多い。

 

どの国の、どんな車も、
自分の流儀でたくさんの人に支持されようと車造りをしているが、
その表現の方法と、自分たちが考える「たくさんの人達からの支持のされ方」が違って
数え切れないほどの種類の車が世の中に存在しているはずなのだ。

 

どの車もそれぞれに、それぞれの味があって、
それぞれの良さがある。
私は大の「車好き」なのです。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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