谷 好通コラム

2016年10月07日(金曜日)

10.07.IPO後1年余で東証一部に上がって一つだけ後悔していること

昨年の二月、東証マザーズにIPO(新規上場)してから
たった1年と1ヶ月後の今年三月に、東証1部に市場変更しましたが、
後悔していることが一つだけあります。
東証マザーズに3年ぐらいは居れば良かったと思うのです。

 

東証マザーズに上場した時にはあまり感じなかったのですが、
東証1部のブランド力は、やはり格別であって、
1部に上がってから、
社員の一部がジワっと、一流会社の社員っぽくなってきているのです。
最も恐れていたことが現実になってきています。

 

そんな社員は、
業者の方や、訪問者に対してどことなく偉そうな態度をしたり、
なにげなく横柄な言葉遣いになったりしています。
頭を下げる高さが、相手より高くなってきています。

 

あるいは、
仕事を言いつかった上司が、部下にその仕事を丸投げしたりしています。
丸投げする自分は責任を取ろうとはしません。
偉そうに「おいお前、これ、やっとけ。」と丸投げして、ほったらかしです。
くだらない無責任体質の横行です。

 

あるいは、
一つの仕事を無駄に大勢で寄ってたかってやったりします。
大勢でやると、誰も責任を持った仕事をやろうとはしません。
みんなでやれば、誰かがやるので、自分は参加してるだけで、のんきなもんです。
こんな場では、決していい仕事は出来ません。言って見ればゴッコです

 

会社が大きくなって、
納入業者様からチヤホヤされるようになると
みんながそれぞれに購買の決済権を持っているように気になって、
事前に提出して相談すべき「稟議」が、どんどん事”後”稟議になって、
報・連・相と決済、決定の経路が崩壊します。

 

大勢の中に座っていると、
時間潰しをしていてもバレないので、
仕事量の拡大以上に、
人の数が異常に多くなって、
無駄なコストが発生するだけでなく
仕事が無駄な経路を経るので時間がかかるようになります。
仕事の質も低下して、悪循環に入ります。
「人が多過ぎると、あらゆる職場において、仕事が腐ります。」

 

自分が勤めていた会社が、たまたま東証一部に上場すると、
自分までが一流になったような勘違いをするバカ者が、
出現します。
自分は何も変わっていないのに、
会社がたまたま上場しただけなのに、
自分が「偉い人」に変わったような勘違いをするバカ者が、出ます。

 

今、思うと
昨年東証マザーズに上場してから、
そのまま三年くらいは東証マザーズにいて、
上場していることに慣れて、
自分達が何も偉くなんてなっていないことに慣れてから、
あらためて
一部に市場変更することを目標にして、
みんなで頑張ってから東証一部に上がれば、
こんなことは心配しなくても良かったのかなと思います。

 

特に苦労もなく、
特に頑張ることもなく、
普通に、与えられた仕事をしていただけで、
その会社の仕事の内容と、会社が出した実績で、
ほぼ最短で東証1部に上がり、
みんなに「すごいですね。」と、ホメられると、
みんな
「俺って、すごいんじゃない?」と、勘違いするのは当たり前かもしれない。

 

当たり前かもしれないので、
「まっ、いいか」とするのも簡単だが、
勘違いは、
意外と、浸透と進行が速く、
すべての崩壊が思ったより目の前に来ているような気がしてならない。

 

あきらめるのも簡単だが、
心がクタクタになっても
「違うっ!」と、
大声で絶え間なく叫び続ければ、
崩壊の前にみんなが正気に戻って、
みんな揃って、また前に進みはじめられるような気もします。

 

つまり、やっぱりがんばらなきゃいかんなということでしょう。

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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