谷 好通コラム

2020年05月20日(水曜日)

5.20.あの日、スパーランドにたしかに人はいなかったのに

先週の日曜日、三重県のLABO店を廻った時、
最初に一番遠い松坂店に行くために、伊勢湾岸道路を走った時、
この日はもう自粛解除になっていたので、
途中の「長島IC」の周辺で、中部地方最大の遊園地「長島スパーランド」は
どんな賑わいになっているか興味があったので、
長島スパーランド入り口付近駐車場の車の込み具合を写真に撮ろうと思って、
カメラを構えたのだが、見えた駐車場には車が一台もいず、
遊園地の何台もの巨大ジェットコースターも動いているのはなく、
人影も全く見えなかった。
だから、先のブログに「長島スパーランドはまだ開いていなかった。」と書いた。

 

ところが、夕方家に帰ってきてから見たテレビのニュースでは、
長島スパーランドの様子が映り、
人が乗ったジェットコースターが走っている様子が映り、
それらの乗り物がアルコールで消毒されている絵が映っていた。

 

長島スパーランドの前を通ったのは午前11時半ごろ、
本当に遊園地が開いていたのなら、人がいなかった訳がない時間だ。
翌朝見た新聞には、
自粛解除に開いた長嶋スパーランドに、
遊びに来た人はわずかでしかなかったと書いてあった。
だから、上から覗いた私達には人の姿も、駐車場の車も見えなかった訳だ、
しかし、
テレビのニュースでは、人が乗ったジェットコースターが映っていて、
ニュースで伝えていたのは、乗り物が消毒されて動いていたことだったので、
それを見た人は、長島スパーランドがにぎわっていたように見えただろう。

 

実際に覗いた私たちには、
駐車場にたまたま一台の車も見えず、たまたま動いている乗り物が無く、
たまたま一人も見えなかっただけで、
だから遊園地が開いていなかったように見えた。

 

しかし、テレビはたまたま人が乗って動いた数少ないジェックコースターを、
たまたま映して、
たまたま係員が消毒している場面を撮り、
たまたま歩いていた人を撮ったので、
その場面をつないで伝えられた遊園地の様子が、
遊園地はもう開いていて、乗り物が動き、人が多くいるように見えたのだろう。

 

映像というものは恐ろしいものだと思った。
高速道路で通過する短い時間ではあったが、
確かに、一台の車もいなかつたし、
歩く人もいず、動く乗り物は無かったので、閉園しているように見えた。

 

しかし、たまたま歩いている人を撮り、たまたま動いた乗り物を撮って、
それを、つないだら、開いて賑わっている遊園地の様子のニュースに見えた。
作為的であったかどうかは知らないが、
私がこの目で実際に見た遊園地の様子と、
ニュースに流れた賑わった遊園地の様子はまるで別者だった。

 

映像は、写し方、つなぐ編集で、実際とはまるで違う現実を造ることが出来る。
その偽りの現実を見破ることは不可能だろう。
映像とは、動かない写真よりも、
動くことで真実の映像に見えるが、
撮り方、写し方、編集の仕方で、いかようにも造り出すことが出来、
かえって信用できないものであることをしみじみと思ったのでした。

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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