谷 好通コラム

2021年03月10日(水曜日)

3.10.ヨーロッパでは酸性雨、日本ではアルカリ雨も

ドイツ車、フランス車、スウェーデン車などヨーロッパで造られた自動車は、
ドアの窓枠とか、モールなどの金属部分に、
白い”錆”が出てきて、美観を損ねている場合があります。
不思議と日本車にはこのような白い錆は出ません。

 

せっかく高いお金を払ってヨーロッパ車を買って、
高いコーティングなどを施工してピカピカにしていても、
金属部分に”白錆”が浮き出てくるとその部分が汚くて、がっかりします。

 

この白錆は実は「アルミのアルカリ錆」で、
ヨーロッパ車のモールの材料には
表面をアルマイト加工されたアルミ合金が使われていて、
ヨーロッパで降る「酸性雨」には大変強いのですが、
日本には「アルカリ雨」も降るので、
白い「アルカリ錆」を発生してしまうのです。
だから日本車はその多くがそのモール部分などに
クロームメッキの金属部品が使われていて、
酸性雨に耐えると同時に日本のアルカリ雨にも耐えているので白錆が出ないのです。

 

★酸性雨とはウィキペディアで引くと、
工場や自動車などのエネルギー源である化石燃料(石炭,石油など)を
大量に使用することで大気中に多くのSOxやNOxなどが放出されます。
それが光化学反応などにより,酸性物質(硝酸,硫酸)に変化します。
酸性雨は,これら酸性物質が溶け込んだ雨,と一般には知られています。
雨以外の霧や雪に溶け込んだ場合には酸性霧,酸性雪などといわれますが,
本質的には同じものです。

 

というような解説が出ます。
ヨーロッパでは工場が内陸部に多くあるのでこの酸性雨が多く降って、
「ドイツの黒い森問題」の様に深刻な環境問題になっていて、
ドイツなどのヨーロッパで生産される自動車は、この酸性雨対策として、
モール部分に、酸に強いアルマイト加工されたアルミ合金を採用しています。

 

対して日本では、工業地帯が日本の東側、太平洋ベルト地帯に集中していて、
酸性雨が発生しても、常に吹いている偏西風に流されてしまう場合が多く、
あまり多く酸性雨の被害の話は聞きません。
しかし、
日本の西の彼方には中国のゴビ砂漠やタクラマカン砂漠など
巨大な砂漠があって、そこから舞い上がる非常に細かい砂粒が、
「黄砂」となって偏西風に乗って日本にやってきます。
この”黄砂”は、ほぼケイ酸塩鉱物であり、
水に溶けるとアルカリ性になります。
日本に降るアルカリ雨の原因の一つです。
しかし、
ヨーロッパの西の彼方には砂漠がないので、
黄砂も降らず、アルカリ雨もなく、もっぱら酸性雨の方が問題で、
ヨーロッパ車には酸性雨に強いアルミ合金が使われているのですが、
これが日本に持ってこられると、
日本には正反対のアルカリ雨が降りやすく、
そのアルカリ雨が、ヨーロッパ車のアルミ合金のモールを
白く錆させてしまうのです。

 

対して、日本の自動車メーカーは、
昔から日本にはアルカリ雨が降っているので、
当然のようにアルカリにも強いクロームメッキされて鉄などを使っており、
白錆が発生することはないのです。

 

この白錆が非常に厄介で、
モールなどに汚い模様になって発生すると、
ものすごく頑固で、特殊な道具を使ってもすごく時間がかかって、
大変な作業をしなければキレイに除去することは出来ません。
それでも、苦労して取れることは取れるのですが、
再付着を防ぐ為に、
ガラスコーティング(ダイヤモンドキーパー)を塗るのは有効で、
ずいぶん再付着を防ぐのですが、
降るアルカリ雨のアルカリの度合いによっては、
完全に防ぐことが出来ず、再発生させてしまい申し訳ない事もありました。
実は、ガラス系のコーティングも酸性には強いのですが、
アルカリ雨を完全に透さずにガードする事がすごく難しいものなのです。

 

その長年のテーマであった、正確に白錆防止のコーティング剤を、
KeePer技研も研究してきました。

 

・・・・と、今日はここまでです。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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