谷 好通コラム

2017年02月03日(金曜日)

2.03.人が増えると、仕事量が増える怪現象

人が増えると仕事量まで増えることがあります。
同じ仕事なのに、
人が増えると自動的に仕事量が増えてしまう怪現象です。

 

一人が5時間でこなしていた仕事が、
二人がかりでその仕事にかかっても、5時間かかることがあります。
仕事そのものは何も変わっていないのに、
人が2倍になっても同じ時間がかかっているとしたら、
つまり、その仕事にかかる人手が二倍になっても、
一人の時と同じ時間がかかっているとしたら、
人が二倍になったその瞬間に”仕事量が二倍”になったことになります
そんなことってあるのでしょうか。

 

あります。ごく普通にあります。
そういう現場を何度も見たことがあります。

 

例えば「A→B」の仕事を、
人が増えると「A→A´→B」にしたとします。
なぜかというと、
Aから直接Bに行くより、途中でA´を挟んだ方が、
確実にBに行くことが確認できて安心だからです。
それでA´に行く手間を加えて、
全体の仕事量を二倍にしています。
それまでは、A→Bで問題なく済んでいたのに、
人が増えたので、より確実な「A→A´→B」に変更したのです。

 

より確実な方法にしたのだから、
その仕事をそのようにした人は何も悪いことはしていないと思っています。
しかし、
それまで何の問題もなくA→Bで済んでいた仕事を
何か問題が発生する兆候もなく、予兆もないのに
人が増えたからできる「A→A´→B」の方法を、
その必要性があったからではなく
人が増えたから実行しただけで、
人が増えたから、その方がいいと思って仕事を二倍にしただけです。

 

今までは一人でA→Bを実行するのに、
それなりの緊張感を持ってやっていた仕事が、
「A→A´→B」とより安全かつ確実な方法に変わったので、
そんな緊張感を持つ必要もなく、
二人とものんびりと緊張感なく仕事をするようになりました。
これを労働環境の改善?というのでしょうか。

 

しかし、一つの同じ付加価値(同じ収入)を作り出す仕事に、
人件費などの経費(支出)は確実に二倍になりました。

 

しかも、悪いことに
「A→A´→B」でより安全かつ確実な方法に変わったので、
緊張感を持つ必要が無くなり、
その二人は、緊張感を持てなくなってしまい、
「A→A´→B」でも問題発生の確率が減っただけで無くなった訳ではないので、
いざ、何かあった時には、
緊張感を持たなくなっている二人には対処することが出来ず、
取り返しのつかないことになることも考えられます。

 

人手が増えたから出来るだけで
人の張感を減らすような安全策は、
かえって新しいリスクが発生したことにもなりかねません。
つまり、
実際の安全性は上がりもせずに、確実性が上がった訳でもないのに
ただ単に人件費などの経費が増えただけで、
収益の悪化と、だらけた職場を造っただけの結果になることが多いものです。

 

今、一人でやれている仕事を二人に増やすことは、
何の益もなく、単に職場を腐らせるだけの愚策です。

 

特にこれは、現場のように付加価値がよく目に見える職場でではなく、
付加価値が目に見えにくい事務所でよく行われがちな過ちです。
その証拠に、
よく事務所で見かける光景で、
ずっと椅子に座って、
机の上のPCをにらみ続けて操作している割には、
この結果のデータ、あるいは報告が、
他の人のPCにはまったく届かない人がいます。。
PCをにらみ続けて、自分だけのためのデータを造っているのでしょうか。
自分のためだけに何かを調べているのでしょうか。
そんなことが、仕事としてあり得るのでしょうか。
ただの時間つぶしです。
職場とっての害毒でしかありません。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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