谷 好通コラム

2016年08月13日(土曜日)

8.13.信頼とか感謝を基準とした価値感と損得を基準にする人。

もう10年以上も前の話ですが、
中国の北京でKeePerと洗車の技術研修を、
みっちりと約1週間かけて、10名の中国人スタッフに行ったことがありました。
研修が終わるころには、みんなそれなりに技術を身に着けて、
一通りの作業が出来るようになっています。
それでも、一応出来るだけで、”上手く”出来るようになるには練習が必要です。
中国人スタッフ達に、それぞれの店に戻ってたくさんの作業をする中で、
一台一台に集中すれば良い練習になることを伝えて、我々は日本に帰りました。

 

約2か月後、
また北京に行った時、
2カ月前に研修を受けた10人の中国人スタッフたちが、
どれくらい上手くなっているかを見に行きました。
全員が北京市内の店で働いているはずなので集合をかけたのですが、
なぜか2人しか来ません。

 

聞きました。
「あと8人はどうしたのか。」

 

北京の会社の上司が言いました。
「後の8人は会社を辞めました。
彼らは、日本のKeePerの技術を覚えて、腕が上がったので、
もっと高い給料が取れる別に会社に、自分を売り込んで、辞めていった。
別のスタッフを用意したので、もう一度、教え直してくれ。」

 

冗談じゃない。
それでは、教えても教えても、
技術がその会社には蓄積せずに、外部に流れ出るばかりで、
KeePerの技術を根付かせることは永遠に出来ない。
しかし、それとも、別の理由がこの会社に何かあるのかもしれない。
それで、近くで働いているという辞めたスタッフの内の一人と会うことにした。

 


「Aさんは、なぜあの会社を辞めたの。せっかくKeePerの技術を覚えたのに。」
Aさん
「あなた達が技術を教えてくれたことは感謝している。
お金を出してくれた会社にも感謝している。
でも、日本の技術を覚えた私は、もっと高い給料を取れるようになった。
だから会社を変わって高い給料を取らないと、私と私の家族を裏切ることになる。
みなさんに感謝はしているが、私は自分と自分の家族を裏切れない。」

 

感謝と金の損得は別ということで、
感謝する事と、その人を裏切って金の得を取ることが両立し成立するとは、
私達の価値感ではとうてい理解できないことだが、
損得の価値感の方が、
感謝する人を裏切ることに上回る価値感を持っている人は、
中国的な価値観と思っていたが、
意外にも、身近に、普通にいたことに驚きを隠せない。
これは、バーチャルな世界が造り出した新しい価値感なのだろうか。
ゲーム感覚で、
ただ単に「得をする」だけであり、
信頼を裏切ってでも得をすると「勝った」ということなのだろうか。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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