谷 好通コラム

2012年08月28日(火曜日)

我々人間はゲラダヒヒとあまり変わらないのでないか

私はいかなる戦争も肯定するものではなく、
人間が、他の人間を殺してまで、
手に入れなければならない”物”など絶対にないし、
人間が、他の人間を殺してまで、
守らなくてはならない”信条”や”宗教”などあり得ない。
人間が、他の人間を殺してもいい理由が書いてある宗教など、
たぶん無いだろうし、あったとしたらオウムのように狂った宗教だけだろう。

 

あるいは、
国と国との間に、どんな事情や歴史があろうと、
民族と民族との間に、どんな事情や歴史があろうと、
人間が、他の人間を殺すことを、
正当化できるような事情とか歴史などは絶対にあり得ない。
そう信じています。
人を罰する法律では、めったにない正当防衛以外、
殺人はいかなる理由でも殺人として厳しく罰せられます。
国対国と場合、両方とも
正当防衛を主張して戦争をするが、そんな事はありっこないのです。

 

 

それでも、世界中のどこかで戦いがあるのは、
権力を持つ人間が自らの権力の保持と拡大をもくろむが故に起こるもので、
実は単純なものではないかと思いはじめました。

 

野生のゲラダヒヒは子殺しするそうです。
群れのボスが交代した場合、
前のボスとの交配で生まれた子供を、
新しいボスは、殺して廻るのだそうです。
そうしないとメスが発情せず自分の種の子供を作れなかったり、
前のボスの子供がいると、
新しいボスの子供のエサが少なかったりするので、
前のボスとの間に生まれた子供を殺して廻るのだそうです。

 

何とも身の毛がよだつような話ですが、
これをゲラダヒヒが”畜生”だからと
切って捨てるのは間違っているのではないでしょうか。

 

種の保存の本能は、それがあるからこそ、
その種は今現在存在しているのであって、
種の保存とは、
その種の中でも、より強く、
生存競争に勝てる因子を持つ遺伝子を持った個体が、
種の中でも勝って、子孫を残すことで、
種として生存競争に勝てるように進化してきました。

 

だからゲラダヒヒも、
前のボスよりも新しいボスのほうが
強かったから新しいボスになった訳なので
負けた前のボスの遺伝子を、子殺しで抹消し、
より強い遺伝子を持った自分の子孫を作って、
種としての生存競争に勝つ。
それは種の保存の観点からすれば理にかなった行為であるとも言え、
そういう意味では、野性の世界で子殺しは不思議なことではないらしい。
ライオンもそうです。

 

人間の場合も、
原始の時代から、自分の部族を守るためと言い、
他の部族を襲い、殺してきたし、
戦国の戦では、戦に勝つと負けた国の支配者を一族もろとも殺したそうだ。

 

それが現代になってくると、
世界全体が豊かになってきたので殺すまでも無くなり、
戦争に勝ってその国を支配し、富と権力を我が物にするようになりました。
あるいは自らの信条を、負けた国に押しつけるようになました。
そのために敵を殺し、味方をも、
戦争で死ぬことを強いるようになっています。

 

これは、
ゲラマヒヒの子殺し。
新しいボスが自分の種の子供を作るために、
前のボスの子供を殺して廻る野蛮に行為と、
人間の戦争は、本質的には何も変わらないと思えてしまうようになりました。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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