谷 好通コラム

2011年04月22日(金曜日)

2769.たまたまある平和こそ幸せと思う

一昨日、福島の会津若松でQ-pitの鈴木所長とお会いしたあと、
仙台に一路、急いだ。
仙台営業所では4名のスタッフが待っている。
午後6時半、
営業所に到着したらすぐにミーティングだ。
その後、飲みに行く約束をしていたので、
ミーティングは手短に済ます。

 

震災があってから40日、みんなそれぞれに苦労をしているはずだ、
心配をしていた石巻の古くからお付き合いのあったSSさんは全滅らしい。
他にも津波に巻き込まれて廃業されたSSさんはかなりある。
しかし、とりあえず無事であるとの知らせを
メールでいただいたと中次長から報告があった。
その報告のメール
「お疲れ様です。
今、株式会社和泉屋本店 陸前高田中央SSの河野様より
やっと連絡が取れ無事を確認できました。うれしくて涙が出てきました。
しかし、SSは、報道の通り全壊で廃業となりました。
再起不能です。ので、プロショップ店を抹消してください。
尚、河野さんは、隣町の住田町名ガソリンスタンド(横沢商店出光マーク)で
仕事をしておられ元気な声が聞けました。」

 

みんなつらい知らせをいっぱい受けながら仕事をするのは
自分達もつらかっただろう。
しかし、ずっと下を向いたまま仕事をしていても、
誰も喜ばない。
新たなる付加価値を生み出すために、
活発に活動することを、短いミーティングの中で確認しあった。

 

みんな元気である。
みんな、腹からの笑顔を出せるようになった。
左から中次長、澤田君、大和君、渡辺所長

 

手短のミーティングが終わったら、
早速みんなで飲みに出る。
楽しみにしていた「いまい」さんが貸し切りが入っていていけなかったので
中さん推薦の店なので、さすがにうまかった。
しかし少々高かい。でも今回はいいのだ。
とにかくみんなとうまい酒を飲んで、うまいものを食べて、
いっぱい笑って話をしたかったのだから。

 

 

その夜、泊まったのは
仙台モントレーホテルと言う新しいホテル。
仙台は支援の人が入っていたり、色々な人が来ていて
どこのホテルもとても混んでいる。
総務の人に頼んでようやく取れたのが、このホテル。ちょっと高い。
しかもどういう意味かよく分からないが、
このホテル、昔の西洋お城のような造作になっていて、
まるでディズニーランドにあるお城のような雰囲気だ。
「変なホテルだなぁ」とブツブツ言いながら泊まったのは17階建ての16階の部屋。
仙台はまだ余震が多いので、16階はいい気持ちではない。
ベッドに入って寝る時は、
少しビビッている自分が解った。

 

翌朝は午前7時起き、ぐっすりとよく寝た。
ビビッて寝た割にはよく眠れた。
東京から同行してくれていて、同じホテルに泊まった坂本部長に
「昨日の夜は地震が無くて良かった。よく眠れたよ。」と言ったら、
「なに言ってんですか、夜中、地震で揺れましたよ。私は飛び起きました。」
と坂本部長が言う。

 

私自分で言うより、かなり鈍感なようだ。はずかしい。

 

朝は、沿岸部に行って、
わすかであっても、津波の跡をこの目に焼き付けておこうと、
仙台空港に行くとき必ず使う「東部道路」を通ることにした。
東部道路は仙台と福島の相馬を結ぶ高速道路で、
仙台の海岸から数kmのところを南北に走る。
この東部道路が、今回の津波では重要な役割をした。
十分に効果のある高い堤防の役割をしたのだ。
東部道路の東側、つまり海側は津波に飲まれて壊滅状態になり、
多くの人が亡くなったらしい。
反対に東部道路に守られた西側、
つまり陸側はほとんど津波の影響を受けていない。
東部道路を横切って東西に道路がある場所は
東部道路の堤に大きく穴が開いているので、ある程度は津波にやられたそうだが。

 

復旧支援の邪魔になるといけないので、
東部道路を名取インターで降りて、ほんの少しだけ津波に襲われた町の中を走った。
被害の大きかった所は通行止めになっていたが、
私達が少しだけ見たところでも、
その光景はすさまじいものであった。
残った建物に着いている水の跡は地上から2mぐらいのところにあり、
海岸に近くなると
もっともっと高い津波が襲ったのだろう。
最大では37mの高さの津波と報じられている今回の大津波。
私がこの写真を撮ったところでは2mの水位の跡があった。
しかし2mでこの有様だ。

 

 

まるで別の星に来たような錯覚を覚える。
テレビのニュースでは伝わってこない”現実”がそこにあった。

 

私は、この光景の現実を必ずこの目と脳みそのしわに焼き付かせ、
忘れてはならないと思った。

 

平和は当たり前にあるものではない。
平和とは、たまたま私達に与えられている幸せなのだろう。

 

自然の威力は人間などこともなげに踏み潰す強大な力がある。
その自然を、私たちは文明の力で蝕み、
自らの住む場所すら無くそうとしている。
ある時、自然から強烈なしっぺ返しを食らって、
自然の力の威力をまざまざと知ることによって、
人間はもっと謙虚にならないといけないなぁ、と思った。

 

昨晩、仙台から車で東京に帰ってきてから、
少しだけ仕事をしてから、
昨日最後の仕事で新橋の会社を訪ねた。
その会社の武田社長は元ジャズミュージシャン。
私はジャズが大好きなので仕事の話はそこそこにして、やっぱり飲んだ。

 

武田さんのジャズの話を肴にして、またたっぷり飲んでしまった。
そしたら名古屋に帰るのが面倒になってしまい、
家に一生懸命言い訳を言って、
予定外の一泊をすることになってしまった。

 

取ってくれたホテルはいつもの浅草の東横イン。
泊まり慣れたホテルなので、何の緊張感も無い。
ところが、
チェックインして7階の部屋に行こうとエレベーターに乗ったら、
6階から7階にかけて
突然、揺れ始めた。
エレベーターは止まった。
「あ~~~っ、やっちゃった。帰れば良かった。」
地震が起きて、エレベーターの中に缶詰になるのは最悪だ。

 

一昨日、昨日と、偶然にも地震に遭遇しなかった(気が付かなかった?)のに、
つい、飲んじゃって、泊まっちゃったら、
最悪の場面で、地震が来ちゃった。

 

がっくりしていたら、
すぐにエレベーターが動き始め、無事に部屋にたどり着いた。

 

人はどこで、いつ、平穏が破られるか、わからない。
これからは、つい、飲んじゃって、
泊まる予定の無いのに、つい、泊まっちゃうのは、もうやめよう。

 

そして今日、
朝、東京から名古屋に帰ってきて、
夕方まで本社で仕事をし、
それから中部空港から長崎空港まで飛んで、今、佐世保のホテルにいる。

 

 

 

昨日見た瓦礫の中に咲く桜。
たくましくも咲いていた。
たくましい東北の人たちのように。

 

 

上を見たら蔵王がそびえている。
雄雄しい東北の人たちのように。

 

ページのトップへ ページのトップへ

  • 最近の記事

  • プロフィール

    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

  • カレンダー

    2024年4月
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    282930  
  • リンク集

  • 過去の記事

  • RSS1.0

    [Login]

    (C) KeePer Giken. All rights reserved.