谷 好通コラム

2010年05月30日(日曜日)

2513.モノクロームのリアルな世界の不思議

今日、モノクロームの世界を見た。
白と黒だけが表現する豊かな世界を見た。

 

なんと表現したらいいのだろうか。
ものすごくリアルなのだ。情念的にリアルなのである。

 

ある写真家の個展に行き
その二十枚ほどの写真の中に、
私が知っている風景の写真を一つ見つけた。

 

それは、私が知っている北海道の大好きな場所の一つで、
その場所はほとんどの人が知らない場所で、
たぶん五回は行ったが、そこで自分以外の人と会ったことは一度も無い。
私一人が独り占めできる場所であったのだ。
しかし白黒写真の中の「木の道」を見たら、
そこがどこであるか、何月ごろであるかすぐに分かった。
白黒のモノクロームの写真の中にすべてが表現されていて、
一瞬の内に分かった。
むしろ、それがカラー写真だったら分からなかったかもしれない。

 

その場の空気まで、写っていない光景までが、そのモノクローム写真の中に見えた。
記憶と一致したのだ。

 

モノクローム写真が、カラー写真よりもリアルに思えたのは不思議であった。
不思議であったが、見れば見るほどそう思えた。

 

ひょっとしたら人の記憶とは白黒なのかもしれないな。

 

そういえば昔、35年ほど前、私の子供が赤ん坊の時、
友達の大沢君が子供を白黒のフィルムで写真を撮ってくれた事がある。
その頃はもうカラー写真が当たり前だったので、
私が撮った子供の赤ん坊の写真もすべてカラー写真であった。
同じアルバムの中に貼って、
その中で、唯一、鮮明に記憶に残っている写真が大沢君の白黒写真なのだ。
子供、北斗の赤ん坊の頃の笑顔が、その写真を見なくても鮮明に記憶に残っている。
不思議だと思ったことがある。

 

 

人の記憶とは、やっぱり白黒で出来ているのだろうか。
きっと、そうに違いない。

 

 

今は福岡のホテル。
今日の個展の写真家のことをインターネットで見ていたら、
こんな彼の写真が載っていた。
インターネットに公開されているのだから、転写してもいいかなと思って、
恐る恐る、載せる。(おこられるかな)

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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