谷 好通コラム

2010年04月05日(月曜日)

2467.自分を動かしているものは何か

会社を興して、
一つの事業として、これを発展させようと思う自分を動かしているものは何か。

 

私は元々足が少し不自由であったので、
「それほど足を使わなくても、一人前の収入が得られるようになりたい」
と、23年前にガソリンスタンドとして会社を作ったあの頃は思っていた。
5軒くらいのスタンドを持てば、
自分は現場に立たずとも、それを管理監督していれば、
そこそこの収入が得られて、
「楽できるはずだ」と思っていたのだ。

 

だから、早く多店舗展開したいと思って、
1軒目のスタンドがうまく行き始めると、
無理をしてでもすぐに2軒目を造った。
しかし当時のSS数総量規制の問題で
2軒目を造ってもすぐにスタンドとして運営することが出来なかったので、
仕方なく、洗車・コーティングの専門店として1年間運営した。
粗利益率は大きくても売上げ金額は小さいこの商売を始めたこの時期は
資金的に苦しくなって一時的であれ倒産寸前といってもいい状態であった。
だから必死になって働いた。
この時、自分を動かしていたものは
「会社をつぶしたくない。」である。

 

 

しかし、この時期に得た技術とノウハウが、
間違いなく今のアイ・タックの基礎になっている。
あの時、すんなりと2軒目もスタンドとしてすぐにオープン出来ていたら、
今のアイ・タック技研の姿はなかっただろう。
文字通り「災い転じて福と成す」であった。

 

この会社が洗車・コーティングに力を入れ、
「KeePre」という名で自社製品を開発して、
全国展開を目指して日本国中を飛び回っていたころ、
自分を突き動かしていた動機は、
「絶対、負けないぞ」であった。

 

あの頃は競合がいっぱいあった。
それぞれに既存の販売ルートを持っていて、
新参者であった私たちはそれに食い込んでいく術は持っていない。
だから「徹底して教える」という自分たち独自の手法を作り出してきたのだ。
それでも初めは既存の用品販売ルートに勝てるわけではなく
いくつもの敗北感と挫折感を味わってきたが、
そのたびに「絶対、負けない。」をつぶやきながら、闘ってきた。

 

あの頃は
まさしく闘争心の塊であり、
ちっとも「楽になる」ことはなかったし、
どんどん先行投資を行い、
「会社をつぶしたくない」なんてまったく思わなかった。
優先順位はあくまでも「絶対に負けない。」であったのだ。
「絶対に負けない。」の言葉を口にすると、今でも目頭が熱くなる。

 

それが変わってきたのは
快洗隊が複数店舗になってきた時。
毎年の年末、みんなが総出でクタクタになりながら、
歯を食いしばってがんばっている光景を何度も見るうちに、
「一緒に苦労を共にしてくれているこの人達を幸せにせねば。」
と、強く思うようになった。

 

7、8年前のことか。
「みんなを幸せにしなくては」が自分の動機になってきた。

 

これは大きな転機であった。
それまでの自分の動機は、
「楽できるはずだ」
「会社をつぶしたくない。」
「絶対、負けないぞ」であった。
つまり、自分の側の動機が、自分を動かしていた。
それが、
「みんなを幸せにしなくては」
つまり、他人に対する想いが動機になって自分の発想と行動が起きた。
他人とは「一緒に働いてくれている人達」
「私たちの提供したことを実行してくれている施工店さん達」
そしてもちろん「お客様たち」である。

 

自分の側の都合が動機になっていた時は、
会社はなかなか発展できなかった。
しかし、
一緒に働く仲間たちのために、
私たちの製品を使っていただいている施工店の人達のために、
そしてもちろんお客様のために、
他人への想いが自分たちの発想と行動の動機になってきた時、
この会社は、加速的に成長した。

 

「みんなを幸せにしなくては」の動機は、
ある意味、万能なのである。

 

 

8年前、「負けるもんか。絶対に負けないぞ。」のかたまりであったころのH.オサム。
今、「みんなを幸せにしなくては」と本気で思う。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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