谷 好通コラム

2009年10月08日(木曜日)

番外編 : 正直言って心底怖かった

今日の未明、午前2時くらいから愛知県大府は暴風圏に入った。

 

台風18号は非常に大型で強く、
しかも50年前の伊勢湾台風とコースがそっくり。
伊勢湾台風の時のことが恐怖感を伴って思い出されて、怖かった。
昨日の内に東京から帰ってそれから
ビールを飲みながらも、テレビの台風情報はつけっぱなしで落ち着かない。
目が冴えて、日付が変わる頃になってもまったく眠くならない。

 

前の川は土の堤防で、
普段は割りときれいな水がほどほどに流れていて
流れには鯉が住んでいて、
白さぎ、鴨、カワセミなどの鳥もいっぱい来る。
名古屋市街から車で20分しか離れていないのに、
田舎の良さもあるのが、大いなる田舎である名古屋の近郊、大府市なのだ。

 

普段は自然があっていい川だが、
豪雨の時には、堤防いっぱいに大量の水が激流となる。
何年か前の集中豪雨の時には、100m先のところで決壊し、
ほんのちょっとの近所までが洪水に水没したが、私たちは微妙に高く浸水は免れた。
前の川は自然としては素敵だが、
豪雨の時は激流に豹変して恐ろしい存在になる。

 

午前2時を過ぎて、
風がどんどん強くなって来た。

 

恐怖感で目が冴えていたと言いながら、
知らぬ間に寝てしまったのは、年取った図太さだろうか。

 

目が醒めたのは午前6時。
外では凄まじい風の音がする。
あわててテレビを見ると、
午前5時50分に台風18号は知多半島に上陸したと言う。

 

大府市は知多半島の根元にある街だ。
ドンピシャの直撃である。

 

外を見ると、裏の家の屋根に沿って、雨が走っていくのが見えた。
ものすごい風が、雨を真横に飛ばして、
水煙りとなった雨を、まるで空力テストの風洞の中の煙のスジのように走らせている。
最大風速44.2mと言っていたので、時速で言えば160km/hとなる。
最大風速ではなくても、少なくとも100km/h以上で、
水煙りが、怪物のように屋根から屋根へと走り巡っているようだ。

 

川はどうか。
恐る恐る二階から覗いてみると、
それは恐ろしい光景であった。
こちら側の堤防から向こう側の堤防にかけて、何やらうごめいていて、
すごいスピードで右から左に走っている。
水だ。
最初は暗くてあまり見えなかったが、少しずつ明るくなって写真にも写った。

 

茶色く濁った泥水が、うねりながら凄まじい勢いで流れている。
水煙りが吹き荒れていてはっきり写らない。
(この写真を含め、すべて二階の窓から撮ったものです)

 

 

ますます雨と風が強くなっている。
水も増してくる。

 

 

雨が一時的に止むが、風は相変わらず強い。
しかし空は意外と明るい。
もう夜が明けたのだろうか。

 

川の水はもう堤防ギリギリまで来ていて、いつあふれ出してもおかしくない。

 

覚悟を決めて、大切なものを一階から二階へ上げる事にした。
人生で二回目の洪水か。

 

 

と、雨が止んでからしばらくして、
川の流れが減り始め、
ほんの十分くらいで水位が1m以上下がった。
危険の峠が過ぎたようだ。
一時は真剣に洪水の覚悟をしたが、本当にホッとした。

 

 

向こう岸の小さなコンクリートの橋の下に1m以上の隙間が出来た。

 

 

ほんの30分くらい前まで、この橋は川の流れに呑み込まれそうだったのだ。

 

 

いやはや、今回ばかりは、
正直言って、心底、怖かった。

 

生きた心地がしなかった朝だったが、
嵐がやんで会社に出て行ったら、
すぐにまたいつもの仕事の日々に戻ったのは、何かおかしかった。

 

それにしても、愛知県の快洗隊のほとんどは大きなテント屋根を持っているが、
どれ一つとして飛ばず、まったくなんともなかったのは、平林さんおかげだろう。感謝。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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