谷 好通コラム

2009年01月06日(火曜日)

2105.あけまして おめでとうございます

あけましておめでとうございます。

 

旧年中はたくさんの方に大変お世話になり、ありがとうございました。
本年もよろしくお願い申し上げます。

 

やっとお正月の挨拶が出来ました。

 

年末の大繁忙から明けて、
世の中がこれからどう進んでいくのか、
どう変わっていくのかを考え、
これから自分たちが何をどうして行くべきなのか、
そんなことを一生懸命考えていたら、
しばらくの間、かえって何も書けなくなってしまった。

 

これからのことを考える場合、
今までのことを冷静に考え、今を正しく把握して、
これからのあるべき方向を見つけるわけだが、
テレビで経済学者や政治家が色々言っていることを聞いていると、
みんな揃って不安を掻き立てられるようなことを言うが、
一人一人においては、実はそうでもないような気がする。

 

国内の乗用車新車販売台数が減り続けていて
実に34年前の水準にまでなったそうだ。
34年前というと私が22歳の頃。
そう考えると、何かとんでもないことが起きているように思えるが、
新車販売台数が減り始めたのは金融ショックが起きるはるか前からのことであり、
みんなが新しい車を「買えなくなった。」訳ではなくて、
「買わなくなった。」だけだと思う。

 

34年前、車は今に比べてはるかに車種が少なかった。
トヨタで言えば、乗用車は「パブリカ」「カローラ」「コロナ」「クラウン」ぐらい。
やっと「マーク?」「カリーナ」がデビューした頃で、
対抗する日産も、「サニー」「ブルーバード」「セドリック」でしかなかった。
1BOXカーも、SUVも、今では当たり前の三列シートのファミリーカーもなかった。
少ない車種だったので、
モデルチェンジがあると、すぐに分かって
それまでの車が瞬く間に古い型の車になった。
だから、みんな新しい型の車を欲しがったし、それがステータスでもあったのだ。
少ない車種の中でも「コロナGT」とか「ブルーバードSSS」とか、
スポーツタイプの車がもっともかっこいいのであって「もてた」。
その頃、車は男のものであったのだ。
車は男のおもちゃであり、憧れであり、夢であり、ステータスでもあったのだ。
そして「車に乗ること、持つことが目的」であって、車は主役であった。
だから、出来るだけカッコいい、新しい車が欲しい。
新しい車を買う欲求が、男のモチベーションにまでなっていたのだ。
あの頃、男にとって車はある種の目的であった。

 

現代、当たり前になった週休二日の土日、
日本国中に張り巡らされた高速道路を走るのは、
恐ろしいくらいの確率で、三列シートのファミリーカーが占拠している。
その中には家族が乗っていて、多くの場合は複数の家族までが乗っていて、
行楽を楽しんでいる。
車は家族の行楽、楽しみのための手段となり、道具となった。
道具なのだから、特に新しい必要はない。
目的は家族の楽しみであり、お金は家族の楽しみに使うべきであり、
車はその手段でしかないので、
使われるべきお金の優先順位において、はるかに下位になってしまった。
短いサイクルで新車を買うためのお金は、その意味として存在しなくなってしまった。
また、買うべき車の車種に対する決定権は男から、
家族の代表である妻に移って、
車は男のおもちゃでもなく、憧れでもなく、夢でもなくなった。
車は男の生活の主役ではなくて、家族の楽しみの手段になり、
つまり、ある意味「目的」から、ただの「手段」になった時、
あるいは「欲しいもの」から「必要なもの」になった時、
新しい車に買い換えるモチベーションは、男のハートの中で萎縮してしまった。

 

思いっきり偏った、
部分的な視点からの「なぜ、車が売れなくなったのか。」である。

 

いずれにしても、新車が売れなくなったのは
消費者が貧しくなったからではなく、「文化が変わった」からであって、
今の金融ショックからの不況が、根本的な原因ではない。
普段の生活としての「文化が変わった」からなのだと思う。
不況と新車が売れなくなっていることとは、もともとは関係なかったのだ。

 

新車が売れなくなれば、製造業としては大変だろうが、
街を走っている車の数全体としては、ほんの少し減っただけで、
結果、車が長く乗られることになったのだから、
カーアフターマーケットが大きくなっていることに他ならない。

 

カーアフターマーケットは、我々の領分だ。
我々は、世の中の不況感に惑わされずに、
増大しつつあるアフターマーケットの需要にしっかりと応えなければならない。
そんなことを考えた。

 

わが初夢か、ただの白日夢か。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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