谷 好通コラム

2007年11月28日(水曜日)

1785.SONAX四代目ホフマン社長

昨日は朝5時起きで福岡に行き、九州で何軒かを訪問して博多のホテルに帰ったのが夜11時半。
それで、今日の朝も5時半起きで名古屋に帰ってきた、睡眠時間を取るのが精一杯。
話が一日ずつ遅れてきた。

 

一昨日の書いた話である。

 

SONAXはヨーロッパ最大のカーケミカルメーカーで、
ホフマンミネラルという創業100年以上の古い会社を母体としている。

 

ホフマンミネラルは鉱山を持っていて、
産出されるのは「上質の珪藻土」である。
それは塗料の中に使われたり、
ゴムに中に混入される現在も重要な材料である。
昔、その珪藻土をコンパウンドとしてカルナバWAXの中に入れ、
汚れ落としも出来て艶出しが良いコンパウンド入りWAXを作ったのがSONAXの始まりであると、
ドイツ・ノイブルグにあるSONAX本社で受けたプレゼンテーションにあった。
(薄い記憶の中のことなのでどこまで合っているかは定かではないが。)

 

いずれにしてもSONAXは100年以上の歴史を持った企業であり、
しかも、珪藻土の鉱山という独自の資産を持っている会社だ。
彼らの会社の組織であり、人材であり、能力の高さは、
私たちの会社としても高い目標であるが、真似をすることは出来ない。

 

創立たった22年の会社が100年以上の会社の模倣をしても、
チンプンカンプンであろうし、
ヨーロッパ独特の文化としての社会構造に培われた人材の在り方も、
それをうらやましがっても、無いものねだりであって、
ポジティブな考え方ではない。

 

しかし現代、古い会社とは、
その由緒ある名前とか、持っているブランドに甘えて
いい加減な商品を市場に出したり、虚勢を張るようなこともありがちで、
現代においては会社の歴史の深さ=信用度の大きさには必ずしもなっていないと
どこかの銀行の講演で聞いたことがある。

 

ホフマン家4代目の当主であるホフマン社長は、
「SONAXは前進し続けている。停滞は衰退を意味します。
だからSONAXはいっ時も止まることなく前に進み続けているのです。」
そうおっしゃっていた。

 

世界でも無比の珪藻土の鉱山を持っていて、
100年以上の歴史を持ち、
優れた商品開発能力とマーケティングで
ヨーロッパ全土、中東、東南アジアなどで
SONAXというブランドの構築にすでに成功している会社が、
それでもそれに甘えることなく果敢に前進し続けないと、衰退すると断言するのは、
ホフマン社長の経営者としての志の高さを表している。
それは、営業のクリーガーさん、開発のDr.ピッチからもそう強く感じさせられる。

 

人が持っていないものを自分が持っていて、
さらに必要なものをすでに十分持っていると、
ついそれにアグラをかき、安穏とした会社経営で前に進むことを怠って、
時代に取り残され、いずれ衰退するということもある。

 

今持っているということが、必ずしも幸運なだけではなく、
かえって、沈滞を呼び、衰退に結びついていくこともあるのだ。

 

逆に、持っていない者は、
怖いものなしのハングリー精神で闘うことが出来る。
「失うものは何もない。前進あるのみ。」ということだ。
ハングリー精神で敢然と闘う者には、
必ず大きなチャンスがやってきて、時代に新風を送り込むことがある。
(逆に、持っていない事にひがみ被害妄想から脱し切れない者もいるが)

 

そう考えると、
持っていない者は、持っている者に対して必ずしも不利であるとは言えない。
むしろ、持っている者は常に驕りと油断との戦いを強いられる訳であって、
怖いもの知らずの持っていない者の方が戦いに全神経を集中できる分、有利とも言える。

 

しかし、最も大きな力は、
持っている者が、
しかも、大きな物を持っている者が、
それにアグラをかくことなく向上心と闘争心と兼ね備えた場合なのだろう。
SONAXのホフマン社長とたくさんの話をして、そんなことを思った。

 

アイ・タック技研出荷倉庫にて

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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