谷 好通コラム

2003年05月23日(金曜日)

715話 知らんかったぁ~

私は銀行から、お金を借りている
事業をやっていくからには
それなりの借金はある
世の中には無借金会社というものもあるが
それはそれで、それなりの意味があるとは思うが
もともと一文無しから始めた事業であり
また、先行投資を繰り返すことが宿命の商売なので
無借金状態でいようと思ったら
それは、事業の成長のスピードを相当に落とさなくてはならないことになる

 

安いコストで有効に資金を調達して
それを、事業を進化させるために、有効に活用していく
これは事業をやっていくためにはプラスのことであり
それが事業として役立つことであり
有効な投資ならば、借金も会社としての実力の一つであるとは、実感を持って言える

 

大きな借金を背負っていることを、不幸などと感じていたら
事業はやっていけない

 

しかし
これは、事業の発展のための資金調達であり
それによって最終的に利益を生むためのもので無ければならない
そして
資金調達に伴う“金利”とは、新たな利益を生むための“コスト”であり
それ以上でもなければ、それ以下でもない
金利とは、“コスト”
新たな利益のためのコスト

 

だから、そのコストが
事業としての利益を圧迫するようなレベルであってはならないし
間違っても、利益を食いつぶすようなレベルものであっては
資金調達の、その意味から逸脱するだけではなく
事業そのものを食いつぶしてしまうことになる

 

“金利”とは、事業として、より多くの新しい利益を生むための“コスト”

 

だから、現在のように非常に金利が低い時代は
先行投資のための資金調達のコストが非常に安く済み
これから事業をもっと伸ばしたいと考えている者としては
大変ありがたい時代なのである

 

私の会社が資金調達のために使っているコスト
つまり金利は、平均約1.7%
たとえば
1億円借りていたとしたら、年間170万円、月間約141,666円
この金利が高いのか、どうか分からないが
事業を成長させていくために必要なコストとして
許容範囲であると考えている

 

 

個人の借金は
多くの場合、お金が足りなくて借りる
そのときの収入が、それまでの生活を維持するために足りなくなったとき借りる
あるいは
今の収入では買えないものを、タダ単に欲しいから買う。そのために借金する
両方とも同じような意味を持つが
これは事業の観点からすると破滅的なことと写る

 

そのときの収入では維持できない生活を
これからも続けようと考えること自体が無理なことで
それを借金でまかなってしまうと
それ以降、収入が劇的に増える、つまり
維持しようとしている生活に対して足りない収入が、足りるレベルまで増え
そして、借金を返すための資金の分まで収入が増えなければ
借金は増え続ける

 

今はデフレの時代、収入は低くなっていくのが
経済の流れなのである
収入以上の生活レベルを続け
しかも、その上に借金を返済することなど“無理”なのだ

 

そして、悲劇的なことに
個人向けの借金は恐ろしいまでに金利が高い
事業のための資金調達の金利の10倍以上
これは事業で考えた場合だと、絶望的な金利であって
そんな金利を、つまりコストをかけてまで調達した資金を使わねば
資金繰りが出来ないような会社は
遅かれ早かれ、必ず破滅する
常識的なことである
それは、個人であっても同じことであろう

 

そんな馬鹿高い金利を取る借金とは
必ず破滅する人が発生することを勘定に入れた
それも高い確率で破滅する人がいることを、最初から見込んだものであり

 

そういうものが「サラ金」であって
それは、人の不幸を前提とした事業であって
今の世の中でもっとも卑しい事業であると思ってきた

 

しかし昨日、驚くべきことを知った
個人に対して、恐ろしく高い金利をもって貸し出しをしているのは
主にサラ金だけかと思っていたら
いわゆる一般のクレジットカードも、同じような貸し出しのシステムを持っていた

 

実際に私は、銀行とか金融公庫などからしか借金をしたことが無いので
うかつにも、そんなことを知らなかったのだ

 

クレジットカードのキャッシング機能というのだそうだ

 

自分が買い物をした代金を
自分の預金から、自動的に支払ってくれるクレジットカードは
大変便利なものであり
私自身も日常的に多用している
それが、日本国内だけでなく、世界中のたいていのところで通用したのには
驚きと共に、現代社会の発達に改めて感心したものだった

 

そのクレジットカードで“現金”を調達できることは知らなかった
自分の預金に残高が無くても
貸し出しという機能で“現金”が、ATMのような機械で(これもATMというのか?)
クレジットカードを通して暗証番号を打てば
現金が出てくるというのだ
まるで、キャッシュカードのように

 

しかも、その金利が15~28%と、まったくサラ金と同じような高金利であり
同じような約款であるという

 

私は、何がどうあってもサラ金からだけはお金を借りない
そう思っているのだが
私が今持っているクレジットカードが
サラ金と同じことをやっていたなんて
びっくりしてしまった

 

カードローンだという
これでお金を借りることをキャッシングだという
「カードローンで気軽にキャッシング」か?

 

そしてそのカードとは
大手のスーパー・デパートから、航空会社、自動車ディーラー
ホテルチェーン、石油元売り、などなど
ありとあらゆるところから発行されているクレジットカードに
“カードローンのキャッシング機能”が
ついているらしいのだ

 

いや、知らんかったぁ~、である

 

15~28%という
事業のための資金調達であったならば致命的な
高金利の個人向け貸し出しの
網の目が
ここまで、消費者の身辺に、くまなく徹底的に張り巡らされているとは
そして、収入以上の消費を、執拗にテレビコマーシャルで煽っている

 

事業のための借金の金利は
1%~2%
一部の優良企業ならば、0.数%での調達すらしている
家を建てるための貸し出しは3.数%
正当な理由のある借金の金利とはそんなもの
このデフレの時代
そんな金利でも、それなりに負担なのだ

 

その10倍以上の金利の借金など考えられない
それは、正当な理由の無い
発展的な展望の無い、タダの刹那的な欲望だけに根拠する
不当な借金だから
そんな馬鹿げた金利で無ければならないのだろう

 

この先、日本はどうなっていくのであろう
暗澹とした気持ちになる

 

考えてみれば
国自体が、収入よりはるかに大きな予算を組み
借金の泥沼地獄の真っ只中におり
なお深みにはまっていくことをやめようとしていない

 

先日の名古屋の新聞に
名古屋の予算は
月40万円の収入の家庭が
毎月60万円使う生活をしているのと同じである、と書いてあった
しかも、そのための借金の金利を、また借金をして払っている
その先には破綻があるのみ

 

その姿は
返済不能の借金を繰り返し
ぜったい抜け出せない泥沼にどっぷりとつかりながら
なお、ブランド物のカバンを誇らしげに持ち歩く
悲しい姿に似ている

 

そう結んでいた

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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