谷 好通コラム

2003年01月12日(日曜日)

615話 フン詰まり現象

(613話“12月年末の饗宴”の続き)

 

12月の洗車売上げが718万あって
刈谷快洗隊の新記録であった、という話だが
私は、本来ならば絶対800万円は達成できたはずだ、と今でも思っている

 

快洗Bossが2台も設置されて
年末の一週間は応援が入り
特に最後の3日間には10人以上もの応援が入り
総勢20人のスタッフを揃えた

 

最後の27.28.29.30.31日は
一日80~90万円の洗車売上げが実現できると確信していた
Bossの能力と
全国からの精鋭が応援に入っているのだから当然と考えていた
年末の5日間だけは、洗えるだけ、磨けるだけ次から次へとお客様が入る
5日間で1か月分以上の洗車が来ると経験から判っていた

 

ところが、27日に62万円の売上げが出て
新記録はとりあえず出たものの伸びがない
28日も少し伸びたものの、やはり60万円台
ピークであるはずの29日も、30日も70万円台に届かない

 

その原因が31日大晦日になってやっと判った

 

こういうことである

 

まず入り口には洗車待ちの車が、通常6台並べられる
これを拡大するために、店の目の前にあるスタッフ用の駐車場を空けて
道路にはみ出す分の待ち車をそちらに回し
入り口を空けるようにしていた
道路に待ち車がはみ出していると入ろうとした車が帰ってしまうからだ

 

入り口を1台分でも空けておけば
吸い込まれるように車が入ってくる
入ってしまえばこちらのもの
後は、代車を出すなり、何とか洗わせていただくように、お願いしてしまう

 

これを「客吸い込み作戦」と勝手に命名した
これで入り口を拡げる事が出来たわけだ
最大、待ち車20台分を吸い込むことが出来た

 

 

洗うのは、快洗Boss
洗うだけなら1台5分、1時間に12台、それが2台あるのだから24台/h
12月の平均単価は6000円/台以上あるのだから
1時間で144,000円分の車を、計算上は洗うことが出来る
12時間稼動で、あくまでも計算上だけだが1,768,000円分/日

 

もちろん車の移動に手間が掛かるので
その稼働率が2/3としても
12台/h×Boss2台×12時間×6,000円×2/3≒1,178,000円
「洗う」というセクションの能力は十二分にある

 

そして肝心なのは
仕上げ、キーパーコーティング、および室内清掃などの手作業セクション
いわば出口のセクション

 

平常の営業では、5,000円の平均単価に対して
平均30分/台/一人でこなしている
年末には、応援部隊とアルバイト総動員で
このセクションに10~12人程度が入る
2時間に10分の休憩と食事の時間を計算に入れても、8~10人は入る

 

そして、仕上げ場所が8台プラス1台のピット
スタッフの疲労がピークになってくる最終3日間は総勢20名となり
そのセクションは、二人一組12~14名
単純に計算して
手作業セクションの効率は
7台×2回転=14台/h×6,000円×12時間=1,008,000円

 

もちろん大変なことではあるが
計算上での能力は、このセクションも十分である

 


「入り口」「洗い」「手作業・出口」
すべてのセクションの能力が100万円/日以上になった

 

一昨年までは快洗Bossがなかったので
「洗い」のセクションでの能力が半分しかなかったのだ
つまり
去年までは「洗い」のセクションの能力は、約59万円

 

だから、入り口の能力をいくら上げても
そして、出口の能力=人数を上げても
結局、洗いのセクションに人手を取られてしまうこともあって
この「洗い」の能力の限界がネックになっていた

 

その結果
一昨年までのの一日売上げギネスは55万円

 

ところが今年は「洗い」のセクションの能力が“倍増”し
すべてのセクションの能力を100万円以上にセットできたが
取り回しに手間取ることを考えて
100万は無理としても
80~90万円/日の洗車が、最後の5日間に出来るであろうと踏んでいた
スタッフの極限の疲労があっての話だが・・

 

・・・・・・
ところが、ピークを迎えても70万円の台を越すことが出来ない!
おかしい。

 

「客吸い込み作戦」は大晦日3日前に指示した
道路まではみ出している待ち車で
「入り口を塞いでいる」と思ったから
案の定
待ち車を店前の駐車場に回して「入り口を空ける」と
面白いように車が入ってきた

 

が、それでも待ち車が増えていくだけで
作業台数、つまり売上げは上がっていかない
「面積に限界があるのかなぁ」
そう思って、事務所に引き上げ、一人でみんなの苦労を思いながら
原稿を書いていた

 

そうこうする内に、とうとう大晦日
もう一度だけ
この店の限界がどこにあるのか見極めたくなって
店に出て行ったのが午前10時ごろ
全体の流れを冷静に見つめた

 

ぱっと見る限りは、店の中は大混雑、コントローラーが走り回り
たくさんのスタッフが淡々と作業を進めている

 

今度は中に入って見た
しばらく見ていて
気が付いた
「Bossが動いていない」

 

しかも「手作業セクション」に「空き場所」がいくつも出来ている
このセクションについているのは、主に現役スタッフと「応援部隊」
応援部隊は体力はあまりないが
普段インストラクターをやっている猛者たち
モチベーションは高い
手が空いたら、他の車を手伝うなどして頑張っている

 

マネージャー、チーフなどコントローラーは
道路に出て交通整理、受け入れ、車の回しをやりながら
注文を聞いたり、代車を割り振りしたり、接客をしている
まさに走り回っている

 

そんな中で、Bossの中に車がなかなか入ってこない
空いている状態があり
入っていてもなかなか洗車が始まらなかったり
あるいはBossの中でホイールクリーニングなどをしていて
「洗い」に強烈な速さを持つはずのBossから
なかなか車が吐き出されてこない

 

ここでフン詰まり状態になっている

 

「入り口」「洗い」「手作業」
この三つのセクションの真ん中で、フン詰まりを起こしているので
その後の「出口・手作業」セクションが空いてきていて
その前の「入り口」が大混乱になっている

 

何故こうなったのか
“「洗い」にコントロールが効いていなかったから”
一言で言ってしまえば、そういうこと

 

普段はこんなに人数がいるわけではなく
つまり出口がこんなに大きいことは、年末のホンの何日かだけで
しかも、入り口にこんなにたくさんお客様が押し寄せることもないので
真ん中の「洗い」のコントロールを
みんなが忘れてしまった

 

忘れてしまった
パニック状態で「忘れてしまった」

 

100万馬力のBossのアクセルを踏むのを忘れてしまった
応援部隊は、快洗Jr.の時の年末しか経験していないので
気が付かなかった

 

・・・・・
それに気が付いて
マネージャーを初めて呼びつけ、指示をした
現状がどうなっていて、問題点がどこにあるのか説明し
「君は、Bossに車を送り込み、
手作業セクションに吐き出すことをコントロールしなくては」と

 

マネージャーは
「なるほど判りました。僕はもう店の中に入ります。」
そう言って、道路でのコントロールをチーフに任せ
店の中に入っていった

 

あとはどうなるか、彼らに任せるしかない

 

結果的には、大晦日のその日
通常なら午後8時までの営業(オーダー受入れ)を
午後6時にオーダーストップした上で
777,000円の売上げになった
ぶっちぎりのギネスである

 

この指示が、限界を突き抜けることが出来た要因の
すべてではないことは間違いない
しかし、その一つであったことも違いない

 

大晦日の閉店後
「今までと同じような客の入りで、営業時間が短いのに
なんで、こんな売上げになったんだろう」
そうスタッフが話しているのを聞いて、ちょっとだけ鼻が高くなったのは
店頭を引退した私の、ささやかな自己満足でしかない

 

一昨年に比べて圧倒的に優位であったはずの、Bossを中心としたコントロールを
初めからしてい“たら”
800万円の大台は破れていただろう

 

かなりの確信を持ってそう言える

 

こんな応援も持って作った記録は、ある意味、ゲームチックで
どの店でも出来ることではないかもしれない
しかし、快洗隊における年末の集中による売上げは
一つの象徴
快洗隊が実現した「未開拓の洗車需要」の象徴である

 

この店で、こんな記録に挑戦できるのは
つまり、出口=人数を大きく出来るのは今年が最後だ
からこんな店がたくさん出来て
集中した応援が不可能になるから

 

建設途中の“知立快洗隊”
もうすぐ“安城快洗隊”が作り始められる

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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