谷 好通コラム

2001年11月17日(土曜日)

279話 輸入・FOBとCIF

輸入についてのレクチャーを受けた
実際の輸入業務について
その段取りを、一つ一つ学んでいくに従って
自分の行動範囲が広がっていくような気がして、ワクワクした

 

今までは全く関係の無かったことなので
話の中で出てくる言葉も、ほとんど耳新しい単語ばかり

 

新しい発見がいくつもあった
FOBとCIFの話もその一つ
これは、輸入の仕方の単語

 

「FOB」とは、Free on Board
略語解説集によると
「輸入サイドの本船渡し条件の積み価格のこと、
受け荷主側が運賃、保険料を払い、船積み決定権がある」
と、書いてあった

 

つまり、輸入する品物の価格を
商品買入価格+現地の船積みをする港までの運賃とし
それ以降の
「船賃」「船荷保険料」をこちらが払うという方式
この方式だと
荷物を積み込む「船便」をどれにするか(実際には船そのものではなく代理店)
保険会社はどこにするかの“決定権がこちらにある”
決定権を得る代わりに、それをどこにするか決めなくてはならなくなる
いろいろな情報を得、それを決定し手配する能力を
身に付けなくてはならない
結構面倒だ
しかし、そのための“「能力」が身に付く”

 

「CIF」とは、Cost Insurance and Freight
同じく略語解説集によると
「運賃と保険料込み条件の価格」とある
輸入するに当たっての、船と保険会社を向こうに任せて
商品価格に、船賃と保険料を上積みして払うという方式
この方が楽だ
しかし、船と保険会社を決める“能力”は、身に付かない

 

多分
CIFにした方が
輸出に手馴れている向こうに任せた方が、結果的に
安くなるかもしれない
大した量を輸入する訳でもないので
向こうに任せた方がスケールメリットを出すことが出来るであろうし
第一、手間がかかる分だけ確実にコストがかかる

 

しかし、私たちは、迷うことなくFOB方式を選択した

 

当面のコストより
選択権を持ち、その能力を身に付けることを選択した

 

最初はCIFにしておいて、ある程度慣れてきたらFOBで行く
こうするのが、順当な方策であったかもしれないが
最初に楽をしてしまうと、ずっとそのままで行ってしまうような気がして
最初から、FOBで行くことにした

 

選択権を持つ
つまり「自由度が高い」ということは、コストが逆に高くなることが多い
旅行するときなど、特にそうだ
旅行では
「パックツアー」で行く方が、費用的には絶対に安い
圧倒的に安い
自分で飛行機の手配をし、宿も手配し
レンタカーを借りて旅行すると、ツアーの何倍かの費用がかかる
それに、現地でどこに行くか、自分で調べなくてはならない
面倒だ

 

しかし、しかし
私は、絶対に後者をお勧めする
自分で全部手配して旅行することをお勧めする

 

ツアーの場合は
現地の観光スポットという“「点」を観る”ということしか出来ない
食事も、団体さん用の特別食
観させられて、食べさせられて、すべて受身

 

自分で旅行を組むと、失敗も多いが
確実に
旅行先を“体験”することになる

 

この差は大きい、決定的に大きい
どう違うのか、なかなか説明しがたいのだが、これは実体験だ

 

旅行と輸入を、同じレベルで考えることは間違いかもしれないが
パックツアーでしか旅行していないと
自分で組んだ旅行の良さは、いつまでたっても解らない
そのことについては、今回の輸入のことでも言えると思ったのだ

 

自由を持つと言うことは
実は、大変面倒であるということ
そして
すべて自己責任でやって行かねばならず
「人のせい」にする習慣を持っている人にとっては
とても難しいこと

 

私たちは
輸入業務を開始するに際して
迷うことなくFOBを選択した

 

こりゃ大変だ

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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