谷 好通コラム

2001年08月17日(金曜日)

第198話 竜馬記念館

先日高知に行った時に、坂本竜馬記念館に寄った
場所は桂浜のすぐ近く
太平洋を見渡す小高い山の、てっぺんに建っていた
展示の内容は、私の気持ちの中にある竜馬像とは、微妙に食い違っていた

 

私は竜馬の大ファンだが
実は、竜馬についてはじめて詳しく知ったのは
「お~い竜馬」という漫画であった
「小山ゆう」という劇画作家と、武田鉄也が共同で創った漫画
たしか、全33巻の単行本で読んだ
(テレビアニメでもやったが、あれはぜんぜん面白くなかった)
40歳になったころに読んだのだが
あの漫画は夢中になった
思えば漫画はあれが最後で、あれ以来読んでいない

 

グリット!の吉田君に言わせると
司馬遼太郎?の「竜馬がゆく」は
最後のほうは何度読んでも、泣きながら読めてしまう、と言っていた
「竜馬は、私も大好きです」とも

 

吉田君は、巨匠の大長編小説で“竜馬”を読んだ
私は、漫画で読んだ
「イ~じゃネェ~か、何で読んだって。
漫画で読んだって、竜馬のことは、俺の方が絶対、大好きだなんだから」

 

などと、訳の分からないことを
胸の中でつぶやいた

 

※芸術的な建築で出来た竜馬資料館の内部
訳の分からない“空間”だらけで、何がいいのか分からない

 

 

竜馬記念館の中で
竜馬の妻「おりょう」が彼を追想するセクションがあって
こんな言葉がテープで流れていた
「あいつは変わった男でした。
汚い格好が好きで、きれいに洗った着物を嫌がった
だから、いつも垢で薄汚れたような格好をしていました」

 

☆それで思い出したしょうもない昔話

 

私は高校を卒業してまもなく、家を出た
ちょっとしたことがあって
親父と大喧嘩になり、家を飛び出した

 

ここの部分については、親父と少し見解の相違があった
親父に言わせると「俺がお前を追い出した!」であり
私に言わせると、あれは「私が飛び出した!」のである
そんなことはどっちでもいいのだが

 

私はそれから、二ヶ月も風呂に入らなかった
家を出てから、二ヶ月間風呂にまったく入らなかった

 

家にいるころ、私は風呂に入るのが面倒で
親に「風呂に入れ!」「いい加減に風呂に入らんか!」
と、いつも言われていた
そして2日に一度ぐらい“仕方なし”に入っていた
だから
家を飛び出して(追い出されて?)一人暮らしをするようになったら
「風呂に入れ!」と言う人がいないので
入らなかった
(正確に言えば銭湯に行かなかった)

 

一週間目ぐらいに
「やっぱ気持ち悪いなぁー、風呂に入らないかんなぁー」
と思ったが、やっぱり面倒くさい
二週間目ぐらいになったら
慣れてしまったのか、もうなんともない
気持ち悪いとも、風呂に入らなくてはとも、なんとも思わなくなってしまった

 

考えてみれば
風呂なんて、庶民は、江戸時代ぐらいから入り始めたもので
それまで入らなかったのが当たり前
「やっぱ、人間、風呂なんかに入らなくてもイイように出来てんだよ」
などとうそぶいていた

 

本人はもう平気であったが
回りがちょっと変わってきた
臭かったのであろう、みんながあまり近づかなくなってきた

 

二ヶ月ぐらいたった頃
友達の田舎の実家に、一緒に遊びに連れて行ってもらった
「うまい飯が食える!」
私は嬉々としてついていったのだ

 

飯の時間の前
その家族と談笑のお時間
(腹ペコの私は、この時間がつらいのだが)
大きな“掘りごたつ”に入って、和気あいあいである
ところが
みんなが言い出した
「臭い!」「なんだこの臭いは!」
「屁でもないぞこの臭いは」
友達の妹さんは、すでに席をはずしていた
みんなの目がこちらに向けられる
あったか~~いコタツに入って、トロ~ンとしていた私の方を

 

二ヶ月風呂に入っていない垢まみれの私自身と
約二週間洗ってない、履きっぱなしの厚手の靴下が
あったか~~いコタツに“蒸されて”
強烈な臭いを発したのだ

 

これは私自身すら“臭い”と分かった
かなりのモンであった
「とても飯など、食えたもんじゃーない」

強制的に風呂に入れられることになった
確か、五右衛門風呂であった
二ヶ月ぶりの風呂!
なんとまー、気持ちが良かったことか
まさに、この世の極楽であった
あんなに気持ちのいい風呂は
生まれてこの方、最初で最後であった

 

すっかり垢を落として、頭を洗って(一度目の洗髪では泡が出なかった)
友達の子供の頃の浴衣を着せられて
私は、ツルンときれいになって(別人のように色が変わったそうだ)

 

皆さんと極上の家庭料理を、腹いっぱいご馳走になったのだ
しかもビールをしこたま飲みながら

 

二ヶ月ぶりに風呂に入って
あったか~~いコタツで
同じく二ヶ月ぶりの家庭料理を、ビールつきで食って
愛情あふれる家庭の会話を心地よく聞きながら

 

私はあんなに幸せだったことなかった
はっきりとあの時の、極上の幸せを覚えている

 

それから私は風呂が大好きになった
今ではほとんど毎日入る
それもなぜか朝風呂が大好きである

 

☆教訓
人は強制されると、イヤイヤやって、その良さまでは分からない
何かのきっかけで、その良さを知ると、自分からやろうとする

 

そう思っても、ついつい強制したくなってしまうのは
自分が未熟であるからだろう(反省)

 

二ヶ月も風呂に入らなかった私が
今は車をきれいにする仕事をしている
これも何かの因果であろうか

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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